こんな日は本を読もう!
そもそもそんな日ではなかったのです。妹とふたり、原宿や渋谷を歩いて、おいしいランチを食べて、楽しい話に花を咲かせて。しかも帰りの電車に乗ったら、ダイヤが変わっていて、渋谷から地元駅まで直通の急行ができていて、「すご〜い!一時間ちょいで帰って来れるのね!」とハイテンション。レッスンもまあまあ順調に終わり、気分良く夕食の準備をしよう・・・そう思いつつ、「その前にちょっとだけ休憩」とネットを開いたら、意外なところで地雷を踏み、さっきまでの充足感が嘘のように、心のお天気も急降下。こういうことってありませんか?皆さん。
こころのお天気というものはやっかいで、一度崩れ始めると際限がありません。しかもオンナの女たるゆえんだそうですが、どんどん怒りの矛先がずれて変わって行くのです。最近心を悩ませていたあの問題、この問題へと飛び火してゆき、気がつけばカリカリしながら食事の支度に精出すわたし。千六本に切った大根をダシ汁の中に放りこみ、火にかけたところまでは覚えています。煮えるまで、ちょっとだけ洗濯物を畳もうと思ったのも覚えてます。しかししかし・・・怒りにまかせて仕事をしつつ、次に気がついたときには、コンロがパチパチ言ってました。傍目にも真っ黒な鍋と、もうもうと上がる煙。鍋底に張り付いた大根の残骸。薄手の軽いアルミ鍋は重宝なので、一つだけ持っているのですが、焦げに弱いので、またまたダメになりました。(わたしは良くお弁当用のおいもを焦がすので、今の鍋が3代目だったのです。他の焦げに強い鍋はなぜか焦がさないのに…不思議です)
おかげで夕飯の時間は大幅にずれるし、近くにいたはずの子供たちには、盛大に八つ当たりしてしまい(ごめん!)、あとでドッと落ち込みました。その時はまだ怒りが燃えたぎっていたので、盛大に焦げた鍋をみて、「ここまでだと、むしろあっぱれだわ」なんて自虐的に大笑いしてみたり。小さいなぁ!わたし。
そのうちに、怒りが落ち込みにシフトしてしまい、益々やっかいな事態です。目の前にぶらさがっているいろいろなことに、なんだかとっても限界を感じはじめ、頭を抱えてしまいます。これも一種の5月病なのでしょうか。まだ、ちょっと早いですが。考えてみれば、いつもわたしの5月病はちょっと人より早く来ます(笑)こんなことじゃダメだ!なんだかなぁ」と思うことが多すぎです。大人がこれじゃダメだろう。と自分が悔しくなってきます。無力だなあとせつなくなります。道徳観とか、正義感とか、死生観とか、なにが正論でなにが間違っているのかわからなくなって、途方に暮れてしまいます。一応答えを出したところで、気持ちはまた別モノで・・・理屈だけで納得なんてできるもんですか!
そんなことをとりとめなく考えながら堂々巡りをしていたら、テーブルの隅っこに自分で置いた藤原正彦さんの本が目に入りました。これです。
- 作者: 藤原正彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1997/06/30
- メディア: 文庫
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思わず手にとって読み始めたら、気がつけば夢中になっていました。心が元気になって、ゲラゲラ笑いつつ心底すっきりしました。笑いがちりばめられていながら、聡明さがにじみ出ているこの方の文章を読んだら、大人としてやっていくためのコツみたいなものが、ちょっとだけ見えて来た気がしました。どうあれ、要は心の持ちよう一つということなのでしょう。