ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 リードでつながれている安心感

 犬を飼う前は、犬という動物はいつもリードでつながれていて、かわいそうだなあなんて、おぼろげに思っていました。以前からずっと飼っている猫たちは、決してリードでおとなしくつなげられているような子たちではないし、なんだか犬が不自由そうに見えたのです。
 ところが実際に犬を飼ってみて気がついたのは、リードというのは単に言うことを聞かせるための道具ではないのだということです。もちろん車などの危険から犬を守ってあげるという役割もありますが、なにより、バロン自身がつながれている安心感を抱いているようなのです。ほどよくわたしがリードを引いて歩いていると、とても落ち着いて彼も隣を歩いています。よその犬の吼える声、車のクラクション、突然の物音など、大きい音に怖がる犬なので、余計にそうなのかもしれません。
 道端でつまずくとか、不意うちになにかがあって、一瞬でもリードが離れてしまうとびっくりしたように振り向いて、こちらへ寄ってきて首を差し出します。「はやくリードを持ったほうがいいよ」と言わんばかりの態度です。犬ってみんなこうなのでしょうか?我が家はバロンが最初の犬なので、その辺の勝手はさっぱりわからないのですが、おもしろいなあと思ってみています。勝手にどこかへ行ってしまう心配がないので、何より楽です。
 彼をずっと観察していると、リードを引かれていると、どうやらきちんと飼い主である我が家の誰かと「つながっている」という安心感があるようです。穏やかに散歩する彼の横顔を見ていると、責任重大だなあと思ったりもするのです。