ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 ピアノの森

ピアノの森 1 (モーニングKC (1429))

ピアノの森 1 (モーニングKC (1429))

 このコミックとの出会いは、たまたま見ていたテレビで、高田純次氏が絶賛していたことからです。オットが高田氏の大ファンなので、いつもは見ない番組にチャンネルが合わされていたわけですが、出会いって不思議です。音楽のそばにいすぎて忘れかけていた大切なことを、読み進めるに連れてどんどん思い出させてもらっているような気がしています。
 実は高田氏のテレビの放映があってこのコミックを知ってから、ずいぶんあちこち探し回ったのですが、1巻がなかなか手に入りませんでした。1巻を買って気に入ったので次を探したら、今度は2巻以降が飛んでいたり・・・多分、同じテレビを見て買いに走った方が多かったのかも。何人かのお友達のサイトで、すでにこの本の感想を読みましたし、話題になっていることは確かなのだと思います。ちなみに今のところわたしが手に入れたのは、5巻までです。6巻はどこにもありません。なくてちょっとホッとしているわたし。先は読みたくて仕方ありませんが、ここのところのオトナ買いっぷりはあまりにも無節操なんですもん。さすがに「いい加減にしろ!」と自己突っ込み。
 中身について少し触れると、同じようにピアノおよび、クラシック音楽がテーマになっている「のだめカンタービレ」とは、毛色が全然違います。主人公は小学生ですが、子ども向けの話ではないし(かなりきわどい描写があったりします)、少女マンガのような甘い感じもありません。生活感あふれる過酷な人間ドラマが展開する中に、一筋の光のように森のピアノやピアノの音が出てきます。
 主人公の男の子は、ピアノの類まれなる才能があることは間違いないのですが、きちんと習ったこともなく、森に捨てられていたピアノを友とし、ピアノで遊ぶことを楽しみにしてきた少年です。この子がその才能を発掘されて、少しずつクラシック音楽や楽譜や作曲家に出会ってゆく過程がなんとも面白くてステキです。初めて聞いたモーツアルトショパンに胸がいっぱいになっている主人公、楽譜を始めて見た彼の驚き。わたしの場合、物心つく前に音楽と出会ってしまい、気がついたときには当たり前のように音楽がそばにあったので、ピアノとの出会い、音楽との出会いの記憶があまりないのです。なので主人公を通して、大切なことを疑似体験をしている感じです。うちの生徒たちの中には、うちで初めてピアノに触ったという子もたくさんいるのですが、彼らに「忘れられないピアノとのステキな出会い。」をさせてあげられているのかどうか・・そんなことを自問自答しながら読んでいたりします。
 5巻まで読んでいくと、ライバルの子たちもたくさん出て来るのですが、今のところ音楽に関してはどの子も純粋でまっすぐ。負けたくないという気持ちはもちろん持っていながら、友達の音色を聞いて、潔く自分よりうまいとか、なんてステキなんだろうとお互いを認めることができている彼らが本当にいいなあと思います。スポコン物や芸能界物ににありがちな底意地が悪いライバルなんて子も今のところ出てこないし、彼らを支えるそれぞれの家族の書き方も丁寧だしみんなわが子を思って温かいです。
 発売されているすべてのコミックを早々に読んでしまいたいような、ゆっくり一巻一巻噛みしめて読みたいような・・・・ただ今とても葛藤しているところです。