ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

anego

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 アネの高校の図書館の本で、アネから回ってきて読みました。ドラマでの記憶も新しい、あの「anego」の原作本です。
 読み終わって最初に思ったのは、「うそ、こんなの高校の図書館に置いていいの?!」ということで、次に思ったのは「アネはすでに読んだってこと、だよね、どう思ったんだろう?」ということ(笑)

まさに、恋愛ホラーともいうべき、新ジャンルを確立した衝撃の長編小説

という帯がついていましたが、最後まで読んでその結末にどっきり。だからホラーなんだと納得しました。奈央子の性格も着地点も、ドラマとは全く別物と思って読むべきなのですが、帯に篠原涼子嬢の顔がでかでかと載っているし、どうしてもドラマの俳優さんの顔を想像しつつ読んでしまうのが難点です。
 それにしても、ひとりの女性を中心にこう次から次へと繰り出される恋愛のパターンや出会いや別れの縮図を読んでいると、なんだか濃厚なチーズか生クリームをむさぼり食べたみたいな気分です。お腹いっぱいです。今をときめく「電車男」なんかがこの物語を読んだら、女性なんて真っ平ごめんだなんて思うかも?ストーリー自体にはあまりにも現実感がなくて、誰かに感情を移入することもなく、「そうなの?」「そう転がるの?」とまさにホラー小説を読むように背筋を凍らせながらある意味わくわくびくびくしながら読んでいたのですが、物語の筋とは直接関係のない部分の主人公の考え方や描写を読むのも面白かったです。
 おいしいお酒やディナー、軽快に繰り出される会話、途中まで冷静に分析していたくせに、その場の雰囲気にメロメロになって、熱にうかされるように一線を越えてしまう奈央子。ちらちらとのぞく男の人に対するブランド志向の価値観。あまり意識して読んでいなかったのですが、細かいディテールなど気がつけば林女史らしさが満載じゃない・・とあらためて気がつきました。ドラマの方では、そんな強烈な「女くささ」みたいなものが薄められて、もう少しマイルドになっていたので気がつかなかったのですが。
 ドラマの時も、「え〜?!ありえない展開!」なんて言いつつ見ていたのですが、原作はドラマをはるかに越えて、もっともっとすごいお話でした。「濃厚な刺激」を求める方にはお勧めの一冊かも。ドラマではともさかりえさんがすごく上手に演じていた絵里子という女性は原作の中ではより恐ろしく、より存在感を増して迫ってきます。ある意味もうひとりの主役と言っていい彼女の結末はドラマとは大きく違っています。ドラマではなんだか中途半端に終わった感じが否めなかったのですが、原作を読んで納得。こういう結末にはできなかったのかもしれないなあ・・と。でもこの部分がないと、小説としての面白さは半減するような気がしてちょっと残念でもあります。好き嫌いは別にして、あまりにもすごいんですもん(笑)