ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 もうひとつの旅

サハラ砂漠の王子さま」 たかのてるこ 幻冬舎文庫
「モロッコで断食(ラマダーン)」 たかのてるこ 幻冬舎文庫
 ちょっと前の2005-03-15 - ふぇるまーたでも触れた「ガンジス川でバタフライ」の続編です。今回の旅のつれづれに読んでいたので、国内旅をしながら一方では、パリ、スペイン、モロッコを旅しているような気分でした。前作ではひたすら抱腹絶倒してばかりでしたが、この2冊の中ではなんとたかのてるこ嬢はせつない恋に胸を焦がしているのです。それもひとつの旅の間に2度も。しかもいつの間にか彼女は国内に残してきた彼氏もいるらしいのです。そんな中での旅ではありますが、それでもやっぱりたかの嬢らしさは健在で、相変わらず行き当たりばったりで綱渡りの珍道中も同じように繰り広げられます。
 特にすごいなあと思ったのは行き当たりばったりのサハラ砂漠徒歩旅行と、モロッコの田舎での断食体験です。マレーシア人もモスリム(イスラム教徒)なので断食をしている人たちに身近で接したこともあれば、断食の話を同じ主婦の立場の方に聞いたこともあるのですが、自ら断食に飛び込んで、一緒にやってみる日本人は初めて見ました。モロッコの田舎の一家とのラマダン生活はまるで「うるるん滞在記」で、生活の匂いやら風景が目に浮かぶようにリアルでした。
 この人はどうしてこんなにも短期間に、その場所の風景や人々ににすっかり溶け込んでしまうのだろうと不思議に思っていましたが、読みながらだんだんわかってきました。彼女はいつだって出会ったその瞬間から異国の人たちに心を開け放って、臆することなく本音で勝負している感じがするのです。言葉がわからなくったって宗教が違ったって頓着することなく自分から異国に入って行くその勇気はすごいなあと思います。あんな風にできたら、どんなに旅が楽しいだろうと思います。その分、たくさん怖い思いもしそうで、そんな勇気はないわたしには彼女の本での疑似体験で十分な気がしますが・・・。
 いつもなら旅行に持って行っても読み残すことが多いのですが、今回の2冊は旅行中に簡単に読み終わってしまいました。しかも旅先で大真面目に大恋愛をしているたかのてるこ嬢なんて今までのイメージからしても全く信じられないではありませんか。
なのにそんな彼女とともに雨の河口湖で一緒になって身を焦がしていたわたし。ロマンチックであるようなないような。うらやましいようなそうでもないような。いずれにしても旅を彩る素敵なスパイスをいただきました・・・いろんな意味で(笑)
 ご興味のある方は一読をお勧めします。絶対に面白いです。