ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 久々の家族旅行

27日、28日、29日と旅行に行ってきました。伊豆高原のホテルに一泊、そして翌日は河口湖のそばのペンションに一泊です。肌寒い早朝の地元を出発して春爛漫の伊豆からまだ雪がたくさん残る河口湖へ、そして帰ってきてみれば、こちらにも確実に春がやって来ていたというおもしろい旅になりました。
 日曜の朝5時には出発したのですが、案外道もすいていて8時半には伊豆に到着してびっくりです。(とはいえ、近くまで行ってからナビコ@カーナビにだまされて、行き止まりや階段の前に出たりして散々な目にあいました)特にビュンビュン首都高をひた走るのは気持ちがよくて、オットが大好きな「スキマスイッチ」をBGMに、ご機嫌な旅がスタートです。遠いという理由で伊豆旅行を敬遠していた我が家ですが、多分これからは伊豆方面へのお出かけが増えそうです。なんたってオットは独身時代、毎週末たんびに湯河原/吉浜にサーフィンに通っていて、本当はこちら方面が大好きなのです。
 富士山が裾野からてっぺんまでくっきりはっきり見えたのはこの日だけで、伊豆到着後はあたたかでうららかなひざしの中、海辺でぼーっとしたり(目の前でダイビングの講習をしていて、夏生やユキちゃんがいそうでした)ドギーパークでバロンを遊ばせたり、菜の花やスイセンが咲き乱れるお花畑に見とれたりして、ゆったりと時間が流れて行きました。
 この日に泊ったホテルのお客さんはほとんどがペット同伴で、新しい大きなホテルなのにみんな当然のように館内でリードを引いていて不思議でした。和食のコース料理がついた部屋を奮発したのですが、夜のレストランでは各テーブル毎にリードを引っ掛けるフックがついていて、犬用のベットとささ身のご馳走付き、犬も人もとても快適な夕食タイムになりました。一見普通のレストランでの食事風景ですが、よく見るとどのテーブルの下にも犬が寝そべっているのが不思議な感じ。この日は案外どの犬もおとなしかったです。メニューには念願の焼き蟹が入っていて小さくガッツポーズ、これでもかと小皿料理が出てきて、アネと「これを洗わずに済むのが一番うれしいよね」なんて言い合ったりしました。
 二日目は雨の中、「ワイルドスミス」絵本美術館へ。ここはだっこしていれば犬連れで入ることができます。ワイルドスミスは「色彩の魔術師」と称されているそうですが、本当にカラフルな色使いで特に動物を描いているものがとても気に入りました。彼の原画がたくさん展示されているのですが、それらと一緒に井上正美さんのコパー(銅)クラフトが展示されていて、こちらにも目を奪われました。平面のコパは以前習ったことがあるのですが、銅は見かけよりずっとやわらかくて扱いがとってもむずかしいかったことを覚えています。しかし、この方はワイルドスミスの絵本の世界を美しい曲線で立体的に表現しています。銅という素材がとても生かされていて、手作りの温かみが感じられるステキな作品たちでした。(ほしいなあと思って値札を見て高価さにもびっくりしたのですが)
 我が家は絵本の美術館を見るのが結構好きで、じっくりとひとつずつ見て回っていたのですが、絵本と言えばやっぱり小さい子と一緒にその反応を確かめつつ見たくなるもの。そこでターゲットは抱いているバロンに。気づかないうちに「バロンみてごらん。ぞうさんだよ。こっちはにわとりさんかなあ」なんてずっと幼児に話しかけるように犬相手にひとりごとを言いつつ歩いていて、途中でオトートにバカじゃないの?と注意されました(恥ずかしい!)またバロンがワンとも言わずもっともらしい顔で静かに作品群をながめているのです。江国香織さんは愛犬の「雨」と一緒に音楽を楽しむとエッセイの中でおっしゃっていましたが、バロンはその瞬間、確かに一緒に絵を楽しんでいたと思います・・・(もちろんただの妄想ですとも。)
 この場に限らず、旅のそこここでバロンは気がつけば我が家の赤ん坊状態で、海をみても山をみてもみんながバロンに「みて見てバロン!」と声を掛け、世話をしようとするので笑えます。この犬は本当にほえないし、何より青いお出かけバックの中が大好きで、自分から入ってまったりしているので手間いらずなのですが(しつけが良いのではなくて、運がよかったのです)それでも折に触れて声を掛けずにはいられません。「犬でよかったよねえ。これが年の離れた本物の赤ん坊だったりしたら、家族全員で溺愛してしまって、とんでもなく甘やかしてダメな子にしてしまうかもね」なんて話になりました。
 それから車で河口湖への長いドライブをしたのですが、この日はずっとしとしと雨が降っていたので、雨のドライブは情緒がありました。3時過ぎにはペンションに入り、日が落ちる前にお風呂も済ませて、本を読む者あり、逆転裁判に興じている者あり、ペンションのコミック棚を夢中で漁る者あり、惰眠をむさぼる者ありで、思い思いにのんびりしました。
 帰る日の朝は、ペンションのオーナーに教えてもらった広場へ(野球場2個分はあろうかという考えられない広さです)。平日の朝ということで誰もいなくて、もったいなくもありがたくも貸しきり状態です。残った雪がお日さまに反射してキラキラしていました。バロンは芝生の端から端までところ狭しと家族の間を縫って走り回っていました。(この時になんだかバロンが走るたびに何か小さいものを蹴散らしていると思ったら広場に野うさぎの糞らしきものでいっぱいで、唖然としましたが後の祭りです。)
 そして何より富士山です。残念ながら雲が次々かかって、裾野は半分ぐらいしか見えないし、てっぺんも半分雲に覆われていましたが、近くで見る富士山はあまりにも大きくて存在感がありすぎて、わけのわからない畏怖の気持ちが沸いてきました。この山の見えるところに住んでいたら、なんだかこむずかしいことを考え始めて哲学書でもひも解いてしまいそうなんてふと思いました。別に意味はないのですが、なんだかそんな気がしたのです(笑)
 帰路は都内で何度か渋滞にはまりつつも、なんとか夕方には地元に帰り着き、たった2泊家を開けただけなのに、明らかに街に色がふえています。行きにはつぼみだったいろいろな春の花が一斉に咲いていたのです。(桜はまだのようですが)まだまだ冬が居座っている河口湖から戻ったところなので余計にそんな風に感じたのかもしれませんが、3日間で季節を行ったりきたりする素敵な旅ができました。リフレッシュリフレッシュ!