ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 「ちいさいももちゃん」

昨晩の堂本兄弟は端から端までいろいろ楽しかったのですが、坂井真紀さんが「ちいさいももちゃん」が好きと言っていたのがとっても印象に残りました。この本は松谷みよ子さんの書かれたもので、わたしも子供の頃暗記するくらい読んだ本なのです。「ちいさい〜」はももちゃんが生まれてから3歳くらいまでのエピソードがいろいろ書いてあります。登場人物は主にママとももちゃんですが、ほかに「ももちゃん」のおにいちゃんだと思いこみ、赤ちゃんがえりしたり「ももちゃん」を守ったりする黒ねこのぷーが出てきます。好きなエピソードはたくさんあって、ももちゃんが生まれた日にじゃがいもやらにんじんやら豚肉やらがお祝いに来て「カレーはいかが?」というファンタジックなエピソードやら、ママが小さいももちゃんにトイレトレーニングを開始するために、ミシンでいっぱいパンツを縫ったお話やら、注射が大嫌いでガムを買ってもらう約束でがんばってお医者さんに行く話しやら、いくつでも思いつくことができます。全編を通して適度に想像の世界が混ざっているこのお話には本当に愛着があったので、2段ベットの端っこにいつも置いてあって、眠れない夜には幾度となく読み返したものでした。また挿絵にかわいいお人形が使われていて、そのお人形がとてもかわいかったことも覚えています。
 ところがもう少し大きくなってこの本に再会したとき、このお話には続編が何篇かあって、お父さんとお母さんの離婚の話やら、「死」にまつわるお話やらがでてきて、これは良質の「ファンタジー」というだけではなくて、かなり現実的なお話でもあることを知ったのです。今ならきちんと受け止めて、続きを読んだだろうと思いますが、思春期のわたしにはこの本の圧倒的な現実をちらっと見ただけで、夢から覚めたような悲しい気持ちになって、続きを読むことを拒んでしまいました。機会があれば改めて全部最初から読み返してみたい本です。おかあさんの気持ちになって読むとまた、違った思いで読めることと思います。松谷さんの本にはほかにもたくさん好きなものがあって、たとえば「ふたりのイーダ」とか「竜の子太郎」とか、幼稚園の実習で出会って子供たちにも買ってあげた「いないいないばあの本」とか、好きなものがたくさんあります。