ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

麦の海に沈む果実

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)
恩田陸著 講談社
これもアネの図書館の本です。世間から隔絶された全寮制学園で起こる数々の事件と謎の物語です。タイトルとカバーに惹かれて読み始めたのですが、後半から一気にひきつけられて、時に熱く、時にぞ〜っと怖がりながら読みました。最後まで読み終わったら心が「しん」と急に覚めて静まり返ってしまった感じです。ミステリーなのでこまごまあらすじを書きませんが、主人公をはじめ登場人物のキャラクターがみんな個性的で、好きか嫌いかとか物語上の役割を別にして、それぞれに愛着がわきました。学園のありかたといい、校長のキャラクターといい、消えてゆく生徒たちといいリアリティーのある話ではないのですが、不思議と主だって出てくる人たちにはずっしりとした存在感がありました。主に電車の中で読んだのですが、本が厚くて重たいことを別にすれば(笑)車中にいながら周りの喧騒も気にならなくなるくらい別世界に飛んで行くことができて、楽しかったです。