ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

胸きゅん

電車男

電車男

きのうも少し触れましたが、今日の往復の電車の中で一気読みしてしまい、ただ今余韻に浸っています。こんなに胸がきゅんきゅんした本は久しぶりで、なんだか往復の電車の3時間で自分が大恋愛をしてしまったかのように、気持ちをひきずっています。予想をはるかに上回る素敵なお話でした。軸になる高校生みたいな純愛物語が語られる場はあの2ちゃんねるのとある掲示板の上というのがそもそも不思議ですが、そこに集う外野の人たちも見かけによらず純情であたたかくて愛情に満ちていて、なんて人間って素敵なんだ!と素直に噛みしめられるお話でした。読んでいる途中で電車の中で「電車男」を読んでうるうるしている主婦ってどうなんだろう?という冷静なわたしが途中ほんの少しだけ顔を出しましたが、そんなことはどうでもよくなってしまうくらい集中してしまい、あっという間に最寄り駅に着いてしまいました。
2ちゃんねる」にまったく縁がない人にとっては、最初慣れるまで独特な言葉の意味がわかりにくかったり、とっつきが良いとは言えないかもしれませんが、中身は普通の恋物語です。主人公のふたりが純粋でかわいくて、今どき珍しいくらいお行儀の良い感じ。うまく説明するのがむづかしいですが、すこしづつ近づいていくふたりの言葉の選び方とか、相手を思いやる行動とか、決して「はすっぱ」じゃなくて、人としての育ちのよさを感じるのです。彼らの繊細で手探りな恋物語と、これまたお人良しでおせっかいな善意に満ちた人たちのやりとりは、深まり行く秋にぴったりなデザートのようで、心にずんと響く物語を求めている方にお勧めいたします。当分はこの物語の世界から抜け出せそうにありません。出会えてよかった一冊です。