ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

[本] 図書館戦争

図書館戦争

図書館戦争

 この本は、アネの高校の図書室の本です。先に読んだ彼女は一旦返してしまったものの、「すごい面白いから読んでみて!」と、わたしのために再び借りてきてくれました。
 そもそも荒唐無稽で、ある意味滅茶苦茶な話なのですが、どこかありそう?!いやないない!と思いつつ、肩が凝らないテイストで一気に読んでしまいました。
 表紙に

公的良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まる法律として「メディア良化法」が成立・施行された現代。超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館!!狩られる本を、明日を守れ!

と書いてあって、なにやらむずかしい話?と思ったら全然そんなことはありません(笑)
 あまりにも言論の自由が過ぎた反動が来て、書物に対する検閲が恐ろしく厳しくなってしまった時代という設定で物語が始まります。結果、児童書であろうが文芸書であろうが、「違法書」と目をつけられてしまうと、ほとんど手に入れることは絶望的です。本屋さんにいきなり抜き打ちで査察が入り、並んだばかりの新書を全部手荒に没収されてしまったり、発売予定に載っていたのに発売禁止になってしまったりするのです。
 そんな中、そういう過度な取締りに侵されないで唯一どんな本でも読める神聖な場所として図書館が存在しているという設定なのです。「図書館不可侵条約」もどきがあって、一応どんな本でも唯一図書館でだけは、読んでもいいということになっているというのも面白いです。とにかく歴史のどこかから切り取って来たようなアレと似ている?これと似ている?という「悪法」のさまざまな側面が浮き彫りになったり、お互いの論争が舌戦に留まらず、お互い武力行使により大事件に発展してしまったり、なんて過激な?!ありえない・・・とうなりつつも、架空のお話としては面白かったです。

図書館の自由が侵される時、われわれは団結してあくまで自由を守る

なんて書いてあるとおり、イメージとしては(本を守る)自衛隊?という感じのプロの戦闘集団、組織があって、そこの新入隊員がヒロインです。な〜んて書くとややこしいですが、簡単に言えば、ヒロインは図書館に就職したわけです(笑)わたしたちが想像するような文系の穏やかな女の子ではなくて、戦闘能力を買われて図書館に入館してきた、猛々しいヒロインなのです(笑)
 一見理屈っぽくて無骨な感じにも見えますが、筆者によればコンセプトは月9連ドラ風だそうで(笑)主人公の女の子はアスリート系、体育会系素質にずば抜けてはいるけれど、とっても純情で夢見る夢子さん。上官との淡い恋模様もありという不思議な物語です。
 高校の図書館で人気の本ですから、少女マンガ風展開もありますが、設定はとっても面白かったし、続編も高校の図書館で借りてきてもらうように頼んだところです(笑)
 真面目にとっても印象に残った文章があって

「本を焼く国はいずれ人を焼く」

という一文なのですが、なんだかとっても心に残りました。わかったようなわからないような感じながらも、なんとなくそう・・・かも?!と思わされてしまうような説得力を感じたのです。
 我が家は全員異常なくらいの活字好きで本好きなので、もしもこんな世の中になって、本当に言論統制が厳しくなり、読みたい本も読めないような時代になったら、過激派になってしまうかも(笑)な〜んてちょっと思ってしまいました。とはいえ、なんだかんだ面白くて、あっという間に読み終わりました。