ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

[日記][映画]「博士の愛した数式」 (そして小さなお知らせ)

 オットが今日から上海なので、5時半に起きました。彼は6時には出かけてしまったのですが、二度寝するにはあまりに中途半端なので、「博士の愛した数式」のDVDを見ました。見始めてほんの少しでオトートも起きてきたので、彼も一緒に映画鑑賞。こんな早朝から見るのもなあと思っていたのですが、止むにやまれぬ事情が!そう、返却日が昨日だったの。延滞料金を払わずに済まそうと思ったら、開店前までになんとしてもBOXに入れに行かなくてはならなかったというわけです(笑)6時から見始めたお陰で、朝ドラ前には見終わって、ものすごい達成感!アホです(笑)
 さて、本編。とってもいいお話でした。原作の本とは少しストーリーが違っていましたが、映画になっても本のデリケートで素敵なところを壊したりしておらず、心温まるお話でした。
  登場人物は、事故により記憶が80分しか保てない数学者の「博士」(寺尾さん)と、派遣された若き家政婦(深津絵里さん)、そして彼女の10歳の息子。博士にルートと愛称で呼ばれています。そして、離れに住んでいる義理のお姉さん(博士のことは「ギテイ(義弟)」とぎこちなく呼ぶけれど、実は博士と静かに愛をはぐくんでいる女性(浅丘ルリ子さん)です。
 原作では家政婦の視点で描かれていますが、映画では、息子のルートが成長して数学教師として教壇に立っている今(これを演じているのが吉岡くん)から、自分が10歳だった当時を振り返るという形で物語が進みます。
 原作本があまりにも好きだったので、配役が心配の種だったのですが、普通に満足。映画では、とにかく物語を彩る景色が美しくて、自然の息遣いが聞こえてきそうです。静かな物語なのですが、愛があふれていて、とても見終わった後、しあわせな気持ちになれます。
 一番心に残ったシーンはというと、息子のルートがケガをしたとき、気が動転してしまった母親が、思わず博士を非難するようなセリフを口にしてしまうシーン。博士は自分がとっさに取った行動を責められて、消え入りそうに哀しい顔をします。
 その時の博士の気持ちを、表情を一瞬にして汲み取ってしまい、自分も一緒になって深く傷つき、怒りをあらわにしたのは、怪我をした本人のルートです。
 帰り道、「どうして、博士を信じないの?どうして博士を傷つけるの?」とまっすぐに母親に訴え怒るルート。息子相手に間違いを素直に認め、まっすぐ向いて「ごめんなさい」を言うおかあさん。博士に感化され、素直に正直になった親子。
 最近気がつくと、みんなみんな自分の傷口をいたわることで手一杯。自分の気持ちには素直にありたいと思い、一生懸命物事を考えるのに、案外人の気持ちには鈍感なような気がします。わたしも含めて。なんて無神経なこと言ったんだろう?!と落ち込むこともしばしばですが、人を傷つけたことにも気がつかなくなることは尚怖いこと。
 この映画を見ていると、世の中にはまだまだよじくれたりねじれたりしていないまっすぐなものが、確かに存在すると、希望が沸いてきます。器用に立ち回れなくても、お金や健康や地位を満足いくまで持ち合わせていなくても、誰にでも愛される人にはなれなくても、それでも人と人が上手に出会えれば、誰だって手に入れられる小さなしあわせは確かにそこにあるんだとうれしくなりました。
 原作本でも映画でも、数字や数学にまつわるあれこれが、実に芸術的に指摘に表現されていて、それもとても素敵です。
 前にも触れたかもしれませんが、わたしが義父(つまり、オットの父)に始めて逢った日に、「君は音楽の勉強をしてきたんだね。ボクはねえ、数学が大好きでねえ。音楽と数学は絶対に似ていると思うんだよ」と言って、その瞬間はえ〜?!と当惑したことを思い出します。数学が途方もなく苦手だったわたしは、その時は面食らってどういう意味だかさっぱりわからなかったのですが、この物語と出会った後思うことがたくさんありました。勘を頼りに、そして大切にしつつ、正しいと思われる方向に近づこうとするところ。美しい形が美しい解や公式(音楽の場合は、演奏)に到達する手助けになることなど。
 今は亡き義父ですが、もし生きている時にわたしたちが一緒にこの本に出会ったとして、義父がどう思うか聞いてみたかったなあと思います。孫みたいな年まわりのダメダメな嫁でしたけど、不思議と義父の本棚には好みの本がいくつもあって、たくさん本を譲ってもらったことなんかが蘇えり、性格も顔形も全く違うのに、義父のイメージと博士のイメージを重ねつつ映画を見ていました。朝だったからかもしれませんが、清々しい思いができて、本当によかったです。
 さて、この映画を見終わったのは8時過ぎですから、今日も今日とて、普通の1日が過ぎたわけです。時間がなくもなかったのですが、なぜか夕べの続きをがんばる意欲がなくて、現実逃避をしてあることをしておりました。3日前からちょいちょい夕食のメモを付け始めたのです。我が家の恥をさらすようで、ちょっと恥ずかしいですが、自分ちの夕飯の献立を一定期間がんばってつけておけば、今晩のおかず決定に煮詰まった時に、給食の献立表みたいに考えるヒントになればと思い、しばらく記録してみようと思ったのです。場所は、こんなところ。覚えていらっしゃる方もいるかもしれませんが、前に全く違うことに使っていた場所です。 「タイトルがa piacere(自由に)というくらいですから、どうリニューアルしようが何について書こうが勝手だもんね!」くらいの無責任さで、また使い始めました。あちらは食にまつわるあれこれのみで回してみるつもりです。三日坊主かもしれないのでまだ本格的にサイドバーからリンクさせてはいません。あくまでも試験的に・・・ということです。興味がおありでしたら、のぞいてみてください。
 「中途半端にまたはじめるの?!」という気もしますが、もうひとつの場所、もっと重たい場所のことも忘れてはいません。あちらは9月になってから本格的に手をつけるつもりで準備中。わたしももう少しちゃんとしなければ・・・いろいろな意味で。