ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 凸凹デイズ

凸凹デイズ

凸凹デイズ

 この本を貸してくれたのは、なんとオットです。こんなかわいらしい?!本をオットが買って読んだというのがそもそも不思議でおかしかったのですが、ラジオ番組の書評コーナーで取り上げられ、興味を持ったらしいです。読みやすかったし面白い本でした。軽いタッチでさらっとユーモラスに書かれているようで、案外深いところを突いている部分もあります。これから社会に出て行くアネやオトートに、「お仕事をするってこんな感じかもよ」とさりげなく読ませたい1冊です。
 内容はというと、弱小デザイン会社の若手社員3人と、彼らを取り巻く人たちの仕事や日常のあれこれを描いた物語なのですが、なんとも新鮮だったのが、登場人物がやたらめったら恋に落ちたりしないこと。そして、見目麗しい男の子とか、美少女とかって言うような定番の登場人物がいるわけでもありません。男性陣も女性陣も、たとえば合コンに誘いたくなるような感じには見えないのですが、読み進めるにつれ、ひとりひとりに愛着が沸いて、友情とも違い恋愛とも違う、「仕事仲間」という関係がとても素敵に思えてくるのです。
 変に異性として意識しすぎていないから、それぞれがそれぞれに対して欠点もイライラもむき出しだし、時にひねくれたりもします。でも共通の目的「仕事」に対しては、みんな同じ方向を向いています。みんながそれぞれのやり方で、でもちゃんと仕事に情熱を燃やしていて、そういう姿がとても新鮮です。一生懸命だから、仲間の悔しさも行き詰まりも、自分のことのように堪えて落ち込んだり、不器用に励ましたりします。自分の気持ちをむき出しにすることにもあまり慣れていない20代、30代前半の若い子たちが、仕事を通して不器用に「仲間」としてのつながりを深めて行く姿は、素敵です。ほのぼのとしあわせな気持ちになります。
 それにしても、この本の作者は独特のユーモアのセンスがある方で、主な登場人物はもちろん、バイト先の社長など、本筋に絡んでくる登場人物ひとりひとりが、とてもユニークで個性的です。「変なヒト」とクスクス笑いつつも、「こんなヒト、いるかも?!」なんて思わされ、好き嫌いは別として、一人ひとりの人間像にとても惹きつけられます。デキル人ではなくても、欠点だらけでも、がんばれるものがひとつあれば、全然いいんじゃない?と勇気が沸く1冊です。