ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

新しい生徒

1月から新しい生徒を迎えることになりました。年長さんのSちゃんは、おねえちゃんのMちゃんがすでに2年間わたしのところに通ってきているので、顔見知りにはなっています。いまどき珍しいくらい姉妹ふたりともおとなしい印象で、おかあさまに「おうちではどうですか?」と聞くと、おうちでもふたりともおとなしいのだそうです。
今日は30分間のお試しレッスンです。ひとりでは恥ずかしいということで、おねえちゃんと一緒に来てもらい、ふたり続けてレッスンすることにしました。
おねえちゃんのMちゃんは、毎日欠かさずきちんと練習するし、練習しましたシールも貼り忘れたりしないきちんとした女の子です。2年経ってもちっともボロが出たりしません。同じペースで、気持ちものんびり安定していて、真面目を絵にかいたような3年生です。不思議なのはピアノを弾き始めると自由な発想で豊かな音楽表現をしてくれて、別人のようになります。文句のつけ所がないのですが、おとなしくて口数が少ないだけに何を聞いても、イエスノーで答えるのがやっとで「彼女が本当にレッスンに満足しているのか?」がずっと気になっていました。不機嫌そうには見えないのが救いですが、2年もつきあいながら、いまひとつ彼女の芯に到達できないもどかしさも感じていたのです。
ところが妹のレッスンの番になって、Sちゃんがちょっとだけしり込みしたこともあって、いつもはおとなしいおねえちゃんが大活躍してくれました。「先生のレッスンはいっつも楽しいよ〜。大丈夫だからね、おねえちゃんと一緒にやろう」と、初めて私の前でたくさんしゃべって積極的にレッスンをスムーズに運ぶためのお手伝いをしてくれたのです。
一回妹がやる気になってからは、スムーズにレッスンが運び、歌を歌ったりリズムゲームをしたり大いに盛り上がったのですが、ふと見ると今日の主役のSちゃんよりもおねえちゃんのMちゃんのほうが、目が輝いていることに気がつきました。
Mちゃんは「将来はピアノの先生になりたい」と文集に書いていたと聞いたことを思い出しました。わたしが妹にしている「導入のレッスン」そのものにあきらかに興味を惹かれて目が輝いているのです。
責任の重さに急に気がついたわたしは、「彼女の目にあこがれの職業がステキに映ってくれるかしら?」との疑念がちらっとよぎりましたが、楽しそうな姉妹の姿にそんなことはすぐに忘れてしまいました。
わたしはなるべくその子にあった教材を使いたいので、何種類かの候補から選ぶのですが、1月までにSちゃんのための教材を決めて買いに行かなければなりません。この新しい子を迎えるまでの一連の作業は期待と不安が入り混じった恐い時間です。
そして新しい子が来初めてからの半年くらいは、お互い探り探りでちょっとしたことで誤解したりされたり、手加減がわからなくて大変です。
それでも新しい子を迎えるのはいつもわくわくするし、どんなに最初にもがいた時でも不思議と1年2年と経つうちに自然に仲良くなれるから不思議です。
今日はSちゃんとの出会いのほかにも、2年たって始めておねえちゃんのMちゃんの気持ちに少し近づいていけたような気がして、余計にうれしく感じました。

土曜からの日記をアップしています。ご興味のある方はさかのぼって見てください。今日は他にも書きたいことがあったのですが、(恒例のココノカドー話とかね)力尽きてしまったので、続きは明日にしようと思います。