ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

2021奈良天川旅日記 その7  みずはの湯と桃色空

みずはの湯は、天川村のかなり西の方にあります。

かの地に行き始めた頃に思っていたよりもずっと、天川村は東西にとても長い地形をしていることを徐々に知ってきて。

行きたいところがどんどん増えている今日この頃。

わたしたちが宿にしているところが洞川エリア。

ここから約5.5キロ下ったあたりに、天川村の入り口、天川村川合があります。

その辺りが中央エリアで、川合から天河弁財天社までが約3.2キロだそうです。

そして、栃尾観音堂や伊波多神社、天和の里(元の小学校跡地です)を通り抜けて、さらにすずかけの道をひた走り、川合から15キロの辺りに「みずはの湯」という温泉があります。

狭い道をくねくねと車で長く走るので、かなり遠くて大変な感じですが、最近は軽自動車を借りているので、そこまで苦にならないとオット。

道のあちこちに待避所が設けられていて、対向車があればどちらかが待避所に停まり、すれ違います。

最初の頃、夜この道を通るのは怖いと思っていましたが、夜は車のライトでかなり前から対向車が来たことがわかるので、今は夜の方が走りやすいかもと言ってました。

時系列としてはこの前に絵の梱包の儀があって(笑)

まだ日が暮れる前、薄暮一歩手前くらいの時間にかの地に向かいました。

車窓はずっと天ノ川と雄大な山々です。

川に沿って道があって、走っていると川が右になったり左に変わったりします。

十分に高い山の上にいる感じなのに、さらに左右に山々が高くそびえているのを眺めながら通って行く不思議。

いくつかのキャンプ場や釣り場を越えていくうちに、日がだんだんに傾いてきて、うっすらとピンク色。

ドライブの最中は家から持ってきたBluetoothのスピーカーに音源を飛ばしてずっとさまざまな曲を聴いているのですが。

まだ昼間の名残が残っている中で、うっすらと西の空に夕方の気配が始まったものすごくいいタイミングでこの曲が流れました。

open.spotify.com

ももいろクローバーZのアルバム「白金の夜明け」の中の1曲。

堂本剛さん作詞作曲の「桃色空(ぴんくぞら)」です。

少女たちの「刹那」を切り取ったかのような純な歌声。

旬のアイドルの、キラキラの裏にふだんは隠れている普通の女の子としての孤独や哀しみがふと、直接頭の中に流れ込んできたような気持ちになりました。

明日へ夕陽が綴らせる桃色空 胸の五線紙染まっていく桃色空

一瞬にして心をぎゅーっと掴まれてしまいました。

何度も聴いている歌なのに、あっという間に曲の世界へとさらわれます。

「叶わない永遠(とわ)」不意にあふれ出すから

逃げもできずに 見惚れたまま桃色空

この初めの方の歌詞が妙に心にすんなり入ってきたのは、この時まさしく大自然の中にいて。

滅多に見ることができない野生の生き物に遭遇したり、太古の昔からそのまんまなんじゃないかと思われるような苔がびっしりと生えた大木とか、燃えるような紅葉に染まる圧倒的な存在感の山々がそこにあって。

一方で水の力で道路が寸断され、進路をずらして補修された跡が残っていたり、崖崩れで山肌がむきだしになっているところがあったり。

誰にも逆らえない絶対的な「自然の理」が容易に想像できるこの場所にいるからこそ。

誰の命にも永遠なんてないということがすんなり入ってくるし。

この道のずっと先の方に、いつかは誰にも「果て」があって。

Life is one time Life is one time

リフレインするとてもとても大切なメッセージ。

映画のような 漫画(アニメ)のような 壊れゆくいま…

僕らはなにを 愛と呼ぶかを 心に映し 痛む悲劇を終えてはならない

この詞は現代(いま)を生きる私たちにとって、とても実感のある言葉で。

太古から続く地球の営みをこれ以上破壊してはならないと思わされたり。

少女たちの飾り気のないまっすぐな声からなぜか(風の谷の)ナウシカを連想して。

ナウシカに切々と「もっと地球を大事にしてよ!!」と訴えられているような妄想が出てきたり(笑)

山々は太古の昔から、何度こんな景色を見てきたのだろう。

また人は過去から学ばず、同じことを繰り返すのか…

人々が自滅してゆくさまを何度山は見てきたのだろう。

そんなことを誰目線なんだか、ずっと考えたりもしてました。

そして究極は大好きなこの歌詞に行き当たる。

朝日が街へ 還ってくる幸せ 抱きしめながら 還らない今を生きよう

ああまったく。ほんとうにね。

間奏で剛さん自身が奏でる夕陽のようなギターのメロディーが、こめられた感情が…

なんとも温かくて、おじいちゃんにそっと頭を撫でられているようで(笑)

たとえ街に帰っても、この山の魔法が解けないといいなぁなんて。

そんなことも思ってました(笑)

さて。

そんな風にいろいろと感じ入っていたら、気づけば「みずはの湯」が見えてきて。

あれ?早くない?なんて(笑)

ちなみにこの温泉にやってきたのは2度目なのですが、1度めは遠い遠いと思っていたのに今回はあっという間でした。

あれっ!?こんなに早かったっけ?

慣れたからかしらね?なんて言いながら(笑)駐車場に車を停めて。

しばし川面や対岸の山々の紅葉を眺めてから温泉の中へ。

 
 
 
 
 
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Instagramの画像は4枚あるので、どうぞスライドしてご覧くださいね。

4枚目の画像は本当は滝があるはずの場所を写してます。

滝からは結構な量の水が出ていた気がするのですが、今回はみたらい渓谷と同じように圧倒的に水量が少ない感じで、水は出ていませんでした。

ちなみにちゃんと滝が流れていた時の画像ってなかったっけと探したらありました。

これ。

f:id:rainfall:20211220230941j:plain

季節が違いますが、この時も今回のインスタ画像の4枚目と同じ角度で撮りました。

露天風呂は川に面していて、この滝は露天風呂からも見ることができます。

とても癒される景色です。

天河弁財天のそばの「天の川温泉」も大好きですが、ここ「みずはの湯」はさらにかなり遠いので、人が少なくて静かです。

どちらも建物そのものもとても綺麗だし、気持ちの良い温泉なのでオススメです。

www.vill.tenkawa.nara.jp

まずは、天の川の水音を耳にし徐々に日が暮れてゆく山々を眺めながら露天風呂に浸かりました。

わたしたちが行った日は平日だったし、まだ少し早めの時間だったので実はほぼ貸し切り状態。なんという贅沢でしょう!!

内風呂の方には薬草のトウキを中心とした生薬配合のこだわりの薬湯や、ハーブサウナもあって。

カモミールの香りの蒸気に蒸されるサウナに入ったのですが、なんだかとても不思議な気持ちになりました。

まるでかつての少年ドラマシリーズの「タイムトラベラー」(原作は筒井康隆氏の「時をかける少女」)のラベンダーの香りを嗅いだ和子みたい。

異世界へ連れていかれたりして(笑)(笑)

ハーブの威力もあってか、身体だけじゃなくて、心もぽかぽかおだやかな気持ちになって至福の時を過ごしました。

そんな風にのんびり1時間ちょっと温泉で過ごして車に乗り込むと。

晩秋の日没はとても早くて、気づけば日がとっぷりと暮れてました。

まだ宿の夕飯の時間まで余裕があったので、赤い橋を渡って天河弁財天社に寄りました。

「夜はライトアップされていて、24時間お参りできます。」と朝拝の帰りに巫女さんに伺っていたのでした。

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幻想的でやさしい時が流れていて。

しばし静かな祈りの時間を過ごし、また車に乗り込んでお宿へ。

この日の夕食はなんとぼたん鍋でした。

イノシシのお肉を食べたのは初めてですが、全然癖がなくてとても美味しかったです。

そして。

まだまだこの日はこれでおしまいではなくて、食後は温泉街をぶらぶらしました。

お宿に「宵々天川」というイベントのアンケート用紙が置いてあって、行ってみようかということになりました。

それにしても久しぶりだからと言って盛りだくさん過ぎ(笑)

その話は次の日記で。

なにぶんにも年末進行なので、とてもゆっくりですみませぬ。

世知辛いニュースや辛くなるような出来事が多い昨今なので、あえてのんびりこんな日記を書くのもいいかなと思ってます。