ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

どの「好きルート」を進んでも、なぜか奈良にたどり着く不思議旅 その4 薬師寺世界遺産コンサート 

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平成最後のコンサートは、あいにくの雨。しかも小雨とかぱらぱらとかではなく。水行のような雨でした。
堂本剛さんのファンになってこのかた、神社仏閣ライブにも野外で行われるライブにもずいぶん慣れた気がしていましたが…
考えてみれば季節が違~う!!
GWとはいえ、まだまだ一日の寒暖差が激しいこの時期に、半端ない雨。
しかも日中が湿気高めで少し暑く感じていたので、あきらかに油断していつもより薄着だったのが大失敗。
寒くて凍えそうで、びしょぬれの手が、感覚がなくなるくらい冷たかったです(笑)

でも、そんな雨降りの中のライブだったおかげで、きっと一生涯忘れられない経験となりました。

玉置さんの歌声を、よもや大好きな奈良の薬師寺の大講堂の弥勒三尊像の前で聴くことになろうとは!!!
まったくもって人生ってやつはわからない。

プログラム(画像の大きい方)には「世界遺産コンサート in 薬師寺 玉置浩二×西本智美 premium symphonic concert in 薬師寺ーPROLOGUE OF THE SILK LOAD RENAISSANCEー」と銘打たれています。

管弦楽団はイルミナートフィルハーモニーオーケストラ。イルミナート合唱団もいて、合唱団の総勢は250名だとか。

まずは、そのスケールの大きさにびっくりです。

そして。

演目も最初にすでにプログラムに入って配られていたのですが、あまりの雨で事前にはまったく開くことができず。

濡れないようにリュックの奥深くにしまい込んだので、結果的にまったくネタバレなしでコンサートに臨むことになりました。

1週間前に見たシンフォニックコンサートでは、一部と二部にそれぞれオーケストラだけの演奏が1曲ずつだけでしたが、今回は歌とオーケストラが半々くらいという印象で。もともとの専門はクラシックなわたしにとっては、大ご馳走をこれでもか!!と並べられたとっても贅沢でハッピーなコンサートだったのでありました。

いつものパイプ椅子は横長に並べられていて。両側に大きなビジョンがあったので、これならどこからでも見えるかも?と安心しつつ、席についてみたら、ど真ん中の2列目!!!度肝を抜かれました!!
ビジョンを見るまでもなく。ステージの方々がものすご~くよく見えます。
ふと気づけば、わたしたちが入った開演15分くらい前、すでに西本さんがオーケストラの席に座って、団員さんたちと談笑しているのが見えました。
間近で拝見しても、なんて美しい方なのでしょう!!西本さんってば。
顔の造作がひとつひとつとても端正に美しくて、まずはその容姿の美しさにくぎ付けになりました。
そして、西本さんがいらして、オケのみなさまがいらして。その後ろにどっしりと、存在感抜群の弥勒如来さま。

ただし、フードを深く被っているために、ステージはものすご~くよく見えるものの、逆に視界が狭すぎてビジョンや西塔など、ライトアップされている歴史的建物は、ほとんど見ることができませんでした。
こはちょっと残念だったかも・・・贅沢な悩みですけれども(笑)

演目もすでに画像の中に入っているのでご興味がある方は拡大して見ていただくとして・・・

宿に帰ってからゆっくり反芻してみるに、オーケストラパートでは、エジプト、中央アジア、中国そして日本にいたるシルクロードを音楽で辿る旅だったのだなぁと気づきました。

さて。

時間になると、西本さんが至近距離から指揮台へ。

拍手が起こりましたが、この拍手の音だけで、この日の自然条件はかなり厳しくて。湿気と雨により、かなり音がかき消されてしまうことがわかります。
大丈夫かなぁと思ったのは一瞬で、深く音楽に入り込むことになるのですが…

始まる前はちょっとだけ不安を感じていたことを思い出します。

1曲目はヴェルディの歌劇『アイーダ』より「凱旋曲」でした。

歌詞がついている動画を見つけたので、今回のものとはまったく関係ないですが、この曲を演奏したことの意味が納得できたので、貼っておきます。

 


東急ジルベスターコンサート2018-2019 ヴェルディ:歌劇『アイーダ』より「凱旋行進曲」

途中まで聴いていくと、あまりクラシックをご存じない方でもこの曲だったか!!とわかることと思います。

サッカーの応援といえば!な、あのメロディーです。心躍ります。

予想よりも雨足が強かったのか、さらにそのうえに風も吹いて、譜面台から楽譜が落ちたりずれたり、勝手にページが進んだりしていて、ステージのみなさまはとても大変そう。

拾ったりページを繰ったりいろいろしている間に、スタッフさんが出て来られて、大きな傘を楽器に向けて差しかけて雨や風をしのいでくださっていて。
みなさまのご苦労がしのばれました。

音楽の旅のスタートはエジプトでした。

このオペラの舞台はエジプトとエチオピア。エジプトと言えば、中国から海路でつながる海のシルクロード上にあり。ああ、なるほどだからこの選曲なんだ!とうならされました。

西本さんは女性ですがダイナミックに指揮棒を振り、時にジャンプしたり、元々比較的大柄な方ですが、さらに大きく見えました。包容力があって、終始、素敵な指揮をされる方だなぁと惚れ惚れしながら見てましたよ。

1曲目が終わり、いよいよ玉置さんの登場です。

初っ端は「宙」(そら)でした。

ここでまた、わたしはひそかにわたしが好きな方たちの共通点を思いました。

堂本剛さんも「空」をテーマに奈良の空の下、何度も歌を歌っていますが、玉置さんもまた1曲目に「宙」を持ってきたのだなぁという感慨。

時々空を見上げるようにして歌ってらっしゃるその姿も、どこかデジャブな感じがしていて。

わたしも何度も奈良に行っていて、奈良と言えば「広い空」と常々思っているのですが、なんだか不思議なシンクロが起きているような気持ちで聴いていました。

玉置さんのこの曲は同じ「そら」と発音しても宇宙の「宙」と書きます。

つよしさんの空が昼間の空ならば、玉置さんの空は夜空のイメージ。

そういえば、星をテーマに歌う歌も玉置さんは多いなぁ。

この日、夜空にちりばめられた星は見ることが叶いませんでしたが、玉置さんのその瞳には、どんなそら(宙)が映っていたことでしょう。

愛より強いもの、この世にないことに

あなたを失くして気づいた 長く寒い冬に

藍より思いもの、この世にないことに

まだ気づかずに生きてたよ 熱い夏の宙(そら)に

 

あなたに逢えてよかった この宙(そら)の下で

遮るもののない、宙(そら)の下、この曲が聴けたしあわせを思いました。

以前はこの曲を聴くと、美しいけれどもどこかに別れへの「後悔」とか、哀しみが滲んでいるのを感じていたのですが、今回は聴いていて「感謝」という言葉が浮かびました。

前向きでとても温かな歌声。

続く「GOLD」には

黄金色に輝く天使に導かれて

という歌詞があるのですが、この日ばかりは玉置さんの頭上にたくさんの音楽を奏でる雲に乗った飛天たちが飛び交うのが見えたような気がしました。

この曲には

見知らぬ街 ぼくらは別々の場所に降り

はぐれそうになったら追いかけるのはやめて

 

という歌詞があって。

ずっと意味深だなぁと思っていたのですが、もしかしたらそれぞれ人は一人一人。

流されないで、ちゃんと自分の道を行こう!ということでもあるのかなぁと、この歌をこの場所で聴きながらそう思いました。

最後の最後は

だから

行こう星屑と地の果てへ

もう一度 もう一度 生きられるから

笑いながら 

いこう

で、締めくくられます。

孤独を選び、流されず我が道を行くことはとても勇気がいるけれども。

包容力に満ちたやさしい歌声が背中を押してくれて、まるで後ろの弥勒さまと共に玉置さんにも見守られているかのようで・・・

とてもとても温かで前向きな気持ちになって、明日への希望が湧きました。

さらに玉置さんの歌声は、ここ数年で円熟味を増して。

一緒に演奏しているオーケストラに。

濡れそぼっているお客さんに。

そしてかつてここ奈良で暮らした古代の人々に、心を寄せ、寄り添おうという気概が感じられました。

数日が過ぎた今日になっても、温かいものが胸に満ちて行くような感覚が続いていて、まるで母なる奈良の大地に抱かれたまま埼玉に戻ったかのような気持ちでいます。

持続する包容力!恐るべし!!

その後の曲たちも、今回は「包容力」「寄り添おうという気持ち」を感じさせられる表現が多々あって。

玉置さんは決して平坦ではない道を、時にぶつかり、時に転びながらここまで来たようなイメージがありますが。

そんな風に苦労して苦労して、やっとやっとたどり着いたからこその、今の境地で今の表現なんじゃないかな?と思いながら聴いていました。

何より今が幸せそうで、よかったなぁと思います。

玉置さんパートで一番心に残ったのは、やっぱり以前から大好きな「JUNK LAND」。

この曲はそもそもバンドでこそ映える曲だと思っていて、まさかオケとやるとはよもや思っておらず、前の週の上野文化会館でも本当に感動したのだけれど。

西本さんとはさらに好相性で。

玉置さんも西本さんも楽しそうだったこと!!!

オーケストラもみんな終始ノリノリで。

ここのところ、オケとやることが多い玉置さんは、思いっきりのびのびと声を出すというよりはオケに寄り添うこと、溶け込むことに終始尽力している気がしたのだけれど。

この辺りはとても、このびのびと楽しそうだった気がしました。

フェイクもシャウトも入って、生き生きとしてました。

田園もまた楽しそうなのですが、それよりもさらに自由度が高いのがこの曲な気がして。

玉置さん側がオーケストラによって新しく命を吹き込まれた表現もたくさんあると思うけれど、この曲をみると、ずっとクラシックをやってきたオーケストラの方にとっても、新しい世界への扉が開いたのではないかと思うのです。

予定調和じゃなくて、その場でグルーヴが自由に動く音楽。

全員が大きな船に乗っていて、行先は決めず舵は風まかせ。

でもみんなが心さえ合わせてひとつになりさえすれば、まだ見ぬゴールへとたどり着ける楽しさ。

音楽が自由に揺れ動き、大きな塊となって、ゴールへ飛び込んでいく瞬間はみんなの顔がきらきら輝いていて。とてもとても素敵でした。

この曲がここで聴けたのが、何より幸せだったのは、そんなイメージを持ったからかもしれません。

「待ってる人のその前で~」からのくだりで、なぜかわたしはいつも宮沢賢治の「雨ニモマケズ」を思い出すのですが、この日は特に雨がざんざん降っていたので、ますますもって宮沢賢治がイメージされたのでありました(笑)

ちなみに・・・わたしは何度もこのブログでJUNKLANDのことに触れていて。

いつもちょっと熱く語りすぎているキライがあるのですが…

かつてこんな日記を書いています。

純粋に玉置さんだけのファンの方は飛ばしていただいても。

堂本剛さんのファンの方なら、ああ、そういう好きのカタチなのね!って理解してくださるかも???

わたしの好きな方々をいろいろと絡めつつ、わたくし事たっぷりの日記なのですが、再度掲げてみました。

どうしてこんなにわたしがこの曲に心惹かれるのか。

よかったらどうぞ!

fermata.hatenadiary.jp

 

夏の終わりのハーモニーでは、とんでもなく至近距離で生声が聴けたし。

田園では雨をもろともせずに、ステージの前、端っこの方まで出て来てくれて、きっと彼の精一杯のファンへの「ありがとう」の気持ちだったんだろうなぁと思いました。

この日、MCはまったくなかったのですが、心は十分に伝わりました。

一方で、西本さんとオーケストラパートの曲たちの中では『カヴァレリア・ルスティカーナ』が聴けたのが、一番幸せでした。

この曲は、わたしが中学の時吹奏楽部でクラリネットで演奏した思い出の1曲で。

懐かしさと郷愁と、曲そのものの持つ清らかな美しさに思わずウルウルしながら聴いていました。

まるで大人になってかなり汚れてしまった心を浄化してもらっているかのようで(笑)

「こんなオトナにしかなれなくてごめんなさい!!」という気持ちでいっぱいになりつつも(笑)

平成で溜まった澱のようなものを、令和に向けてあの雨に打たれたライブで浄化してもらったのかもしれない!

やっぱりあのライブは水垢離で、カタルシスだったかも?と、打ち上げの席で、オットと熱燗で乾杯しつつ思ったわけだったのでありました(笑)(笑)

オットが一番食いついた1曲は夜来香(イエライシャン)で、こちらは李香蘭が歌ったチャイナメロディーの代表曲。

ベルディーのナブッコの舞台はバビロニアだし、今回の選曲はとても意味がある選択だったのだなぁとわかります。

最後の演目は、ボロディンイーゴリ公』より「ダッタン人の踊り」でした。

総勢約260名の合唱隊の声の塊が飛んできて、おぉ!!となったのですが、ここばかりはお天気がいい時に聴きたかったかも。

雨にだいぶ吸われ、音が消されて少し残念でした。

この曲こそ、何それ?という方がいらしたら、ぜひぜひ下のリンク先を開いてみてくださいね。

絶対にみなさま、ご存じです(笑)


歌劇「イーゴリ公」より「ダッタン人の踊り」東急ジルベスターコンサート2016-2017

例によって、歌詞つきのものを貼ってみました。

そうなのです。

この曲はJR東海のCMで流れているあの曲なのです。

初っ端が

わたしたちの祖国の歌よ 風に乗って故郷へ飛んでゆけ

ああ、そうだったのか!!となんとも言えない気持ちになります。

そしてここで最後にこの曲を生で聴いてしまったことで、そのあとずっとこの曲が脳裏をぐるぐるぐるぐるして。

どうしても『長谷寺』に行かなくては!!となるオットとわたしの単純脳(笑)


JR東海 奈良 長谷寺

これですね!!(笑)(笑)(笑)

こうして、次の行先は簡単に決まりました!!えへへ。

指揮棒でその情熱を音楽に乗せ、オケをひとつにまとめあげた西本さんの表現も。

包み込むようなやさしさを表現した玉置さんの歌声も。

きっと客席のみならず、一緒に聴いてらしたであろう弥勒さまたちにも、ストレートに届いたに違いないと思いました。

いろいろな国の曲、いろいろな時代の音楽、いろいろな楽器の音、数多くの歌声が、そぼ降る雨の中一つになって、壮大なメロディーを奏でました。

この日は決して条件がよかったとは言えなかったですが。

さらに多分、ほとんどの方々が、雨で滲んで五重塔やお堂のライティングなど、見やすかったとは決して言えないと思いますが…。

だからこそ、そこで行われている音楽に一点集中のとても純度の高い時間になったような気がします。

そんな素晴らしい時間に参加できて、とてもHAPPYでした。

玉置さん、西本さん、イルミナートフィルのみなさま、イルミナート合唱団のみなさま。本当にお疲れさまでした。

また、どこかで!!!

(お気づきでしょうが、あまりにも雨がひどかったので、画像が一枚たりともありません。残念過ぎる~くぅ~っ!!泣笑)