ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

サントゥールとの邂逅

これ、少し前ですが、代官山のライブハウスで見てきました。

北インドの古典音楽ライブです。

ご存じのように、今年はどうしても参加したいライブがあって(なにかは言うまでもないと思われますが、笑)今年始まってからここまで、行ったものと言えば「Endless SHOCK」のみ。もう5月だということも考えると、わたしにとっては稀有なこと(笑)

ほかのライブは一切入れず、修行僧のようにここまで来たのですが(笑)これは別。

たまたまオットと共に遠方の友人にご紹介いただいて、サントゥール奏者の新井さんとお知り合いになる機会があって。

前日に「この日、空いてますか?ここに来れますか?」と言われたのですが、たまたまぽっかりとこの時間だけ空いていて。たまたま指定された場所がオットとよく行くインドレストランで。一緒に逢おうよ~と誘った友人もたまたま時間がここだけ空いていて。偶然が偶然を呼び、ご縁が繋がりました。

真っ先にいただいた情報は、新井さんが現在ムンバイ在住というお話で、たまたまその日のメンバーは全員海外生活経験者だったので、そんな話で盛り上がったり、現地での衣食住について伺ったりもして。

実は彼は音楽家なんですよ?という話はその後から。

もちろんもちろん、わたしたちはその話にものすご~く食いつき(笑)

結果、サントゥールという楽器にとても興味が湧いたし、新井さんご自身もとても魅力的な方だったので、どうしてもサントゥールの生の音色にも、演奏される新井さんの音楽にも触れてみたくなったのです。

というわけで、GWに入った日。4月28日に、オットと東京の友達と3人で、代官山のライブハウス「晴れたら空に豆まいて」に行ってきました。

ライブハウスの名前からして、どんな場所だろう?と想像もつかなかったのですが、行ってみたら、なんと畳敷きでした!!

ところどころ椅子も置いてありますが、ほとんどの方が畳の上に座って、この不思議な音楽を聴きます。

どんな方が来られるのかな?と思っていたのですが、わりとお客さんは年齢も雰囲気もさまざまで、大盛況でしたよ。

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このポスターにあるように楽器は二つで、ユザーンさんという方がタブラ。新井さんがサントゥールです。

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左にあるのがタブラです。右側がサントゥール

最初に出て来られてすぐ、ユザーンさんがMCをされて、結構ぽつぽつお話になるのですが、なかなかにおもしろい!!たくさん笑いを取ってらっしゃいました。

横で黙々と新井さんは調弦をしてらして、これが意外に長いです。

ユザーンさんに楽屋でやってくればいいのにとかなんとか、いろいろつっこまれたり、新井さんのことを話しているのに、まったくどこ吹く風。

聴こえていないかのような集中度合いです。

そして新井さんの調弦が終わったと思ったら、その音を基準に今度はユザーンさんが調弦?じゃなくて調太鼓?を始めます。

そして長い長い音の調整の後、やっと演奏が始まります(笑)

新井さんが、最初の曲は45分くらいあります。まずは調子が早い自分のソロが15分くらいあって、その後からふたりの掛け合いになります…というような予告をされ。

(うろ覚えです。ごめんなさい!)

こういう曲の説明の仕方、斬新!!何分くらいとか言うんだ!と驚いてみたり(笑)

45分、長いなぁ、大丈夫かなぁ?と一瞬思ったのですが、始まってみたら、本当にあっという間ではありませんか。びっくりです。

歌が入るわけでもなく、インストの曲なのに、まったく飽きることなく、おもしろくておもしろくて、わくわくしているうちにあっという間に1曲が終了して心底驚きました。これは癖になる音楽です!!

ちょっとガムラン音楽とも近いような雰囲気で。エキゾチックな香りもして。

特徴的なフレーズが多数ありそうですが、即興的な要素が大きそうで、新井さんもユザーンさんも、今自分の心の中にある音楽を、黙々と届けてくださっているようなイメージ。

お互いがお互いの演奏にインスピレーションを受けて、さらに複雑に絡まりながら高みを目指していくような、そんな感じ。

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ちなみに、どんな音がするんだろう?と思われる方多数だと思うので、この記事あたりを張っておきます。

これは昨年の記事ですが、過去のお二人の演奏がちらっと聴けます。

そもそも新井さんは、サントゥールに出会う前はドラマーだったと伺っていたのですが、この動画を見ると、なるほど、ドラムからこの楽器の奏者になるというのもありそうかも?と思えます。

たくさんの弦が並んでいる様子は、ピアノとも近いようでもあり。

撥のようなもので叩く様子は木琴とか鉄筋のような楽器のようでもあります。

細かいリズムの正確な刻みで心地よくて、長く聴いていると、こっちまでトランス状態に入りそうなくらい、なんだかとっても癖になる気持ち良さです。

一方でユザーンさんのタブラーという楽器もまた、鳴らすだけでも実は、とてもむずかしいんですって。

たまたま近くでタブラーを見たことがあるオットは、触らせてもらったこともあるそうですが、いい音はついぞ出せなかったと言ってました。

 その二人がアイコンタクトを取りながら奏じると、たいそう魅惑的な音がします。

時にゆっくり、だんだんとテンポを上げたり急に落としたり、自由自在です。

多分キメフレーズなんだろうなぁ?というのが時々現れて「それ」の瞬間やってくるとユザーンさんも呼応するように情熱的な音を鳴らし始めて、2人でどんどん上ってゆく感じ。なんだかまるで心音と呼応しているようで、ドキドキします。

ステージでは、一見あまり表情を変えず、ものすご~く寡黙に見える新井さんが、時々ふわっと演奏しながら笑顔になったりするのも、深く深く音楽の世界に入り込んでいるのが伝わって素敵でした。

そもそも、普段やっているクラシック音楽は、即興の割合の大きい音楽とは真逆で、作曲家さんの作られた楽譜が絶対で、創られた方の意図に沿って演奏するのが常ですが、ここ10年くらいで、どんどんこういう音楽が好みになっていておもしろいです。

わたしの中で二つの場所は喧嘩せず、隣同士に並ぶように成立していて、どちらの方が好きとも言えないところもおもしろいです。

この北インドのライブもまた「古典音楽」で西洋の古典音楽と、東洋の古典音楽。

まったく違うようでどこか共通点もあるような気がして。

それが「どこ」という答えはいまだ出なかったのですが…とてもおもしろかったです。

もっともっと聴いてみたいと思わされました。

 

liverary-mag.com

 

さらに次に貼る記事も一昨年のものですが、この方のサイトにユザーンさんと新井さんの同じ形態でのライブの話が載っていて。

新井さんの詳しいプロフィールもあったので、よかったら飛んでみてください。

 お二人の雰囲気がとても伝わります。

liverary-mag.com

新井孝弘(サントゥール)×U-zhaan(タブラ) | ピアノの惑星ジャーナル

 プロフィール部分だけを簡単に転載させていただくと…

1979年生まれ。

ドラマーとしての活動を経たのち、 2005年よりサントゥールを始める。

2007年よりインドに渡り、世界最高のサントゥール奏者Pt.Shivkumar Sharma氏に師事。

2009年にインド国内で公式にデビュー。

ムンバイ・ボパール・チェンナイなどインド各地で多数の公演を行う。

2012年にはCross Cultural Understanding Awardを授与。

2014年、Tina Turnerらによるアルバム「Love Within」に参加。

現在もムンバイ在住

 演奏はあっという間に終了し、演奏後に少しだけご挨拶をさせていただきました。

演奏中はとても寡黙なイメージに見えたのですが、一度ステージを降りられた新井さんはすでに、いつもの新井さんに戻っていて。

とてもフレンドリーで、演奏のことや楽器のことなど、いろいろお話してくださいました。

ほがらかで明るくて、とても素敵な方です。

ユザーンさんの演奏もまた聴きたいし、他の現場での彼も見てみたいかも~

機会があればまた行きたいと思わされるライブでした。

素敵な邂逅に感謝!