ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

  八咫烏シリーズとスナックちどり

昼間は暖かいですが、朝晩が寒いです。

そのせいか、まだまだ地元の桜は半分いっていないかも。

もちろん日なたか日陰かで差はありますが・・・

多分すでに満開とウワサの千鳥ヶ淵から、あっても数十キロくらいの距離だと思うのですが、こんなに咲き方が違うのかしら?とびっくりします。



さて。


烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ 2 (文春文庫)

烏は主を選ばない 八咫烏シリーズ 2 (文春文庫)

黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)

黄金の烏 八咫烏シリーズ 3 (文春文庫)

空棺の烏 八咫烏シリーズ 4

空棺の烏 八咫烏シリーズ 4

少し前に1巻目の「烏に単は似合わない」の感想を書いた段階では、先を読むことはあるかなぁ?くらいの低めのテンションだったのが(笑)

感想を書いてほどなく、ふぇるまーたに時々コメントをくださる20代の仲良しさん、よみ嬢が、ものすごくタイミング良く拍手コメントをくださいました。


彼女もわたしがその時の日記で書いた「守り人シリーズ」と「八咫烏シリーズ」の両方を、たまたま同時期に読んでらしたそうで。

しかも八咫烏シリーズはかなり先を読んでらして、先へ行くとおもしろいですよ〜とおっしゃるではないですか!!


実は2巻はすでに持っていたし、とりあえずもう1冊、手元にあるところまでは読んでみようと思いました。

そうしたら、2巻はもうちょっと文章がこなれていて、主役もチェンジ。

何かに似てるなぁと思ったら、そうだ!十二国記だ!と気がつきました。


1巻でつかみどころがない人物だと思い込んでいた若宮が、意外とできるヤツだったり。
2巻からの主人公の少年、雪哉が立体的で魅力的だったり。

一巻と2巻が表裏一体になっていて、あの時は!!なるほど〜的な部分があったりして、一気に引き寄せられました。

意外にもとてもおもしろく読めたのです。

どの登場人物も、いい人、悪い人のような単純な分け方では語れない部分があるし、誰かについて、何考えてるんだ?と当惑したり。

ややしばらく読み進めると、納得する事情が発覚したり、薄っぺらだと思っていたことが実はとても重い事情につながっていたり。

なかなかに奥が深いです。

ああ、もうちょっとで「つまらない」と決めちゃうところでした(笑)よみさ〜ん、ありがとう♡


どうも年と共に頑固になってイヤだなぁ!ダメだなぁ!損するぞ!?(笑)と思う今日この頃。

めざせ!柔軟でしなやかな脳みそを持つ老婦人!!

カーブスにそんなお姉様がたがたくさんいらっしゃるので、見習いたいです。


おっと話が逸れちゃった!!


とはいえ、すでに本を持っていたのは2巻までだったし、ここで終わる可能性もあったわけです。

そうしたらそうしたら。

先日のSHOCK観劇がたまたまよみ嬢と同じ日で。

4巻はまだ文庫になっていないけど、持ってるから貸せますよ〜っ!!と貸してくださったではないですか!!

というわけで、あの観劇の日の帰り道、3巻を購入。

今週末によみ嬢と再度逢えることになっているので、その時までに読めるかしら?
さすがにちょっとムリかも?なんて思っていたのが・・・

今週になって3巻に手をつけたのに、ほぼ一日1冊のペースですでに読み終わってしまいました。

おもしろかったよ〜(嬉泣)

ほんと、久々に寝る間も惜しんでぶっ続けで読んでしまいました。



発想はものすごくおもしろいのですが・・・

オトナの読者としては、少し言葉が今風過ぎて軽く感じられてもったいなかったり。
時々んん?っと思う表現もあって、この作者いくつくらいなんだろう?と検索したら、1991年生まれ。
オトートと同い年でした。

びっくりです。

まだまだ作家さんとしても成長期なんだろうなぁと思わされました。


とはいえ、この作品で2012年に松本清張賞を受賞されていて。

これからもっともっとおもしろい話を書いて行かれるんじゃないかな?と期待大です。


八咫烏の世界では、八咫烏と書いて「にんげん」と読ませるのがおもしろいし。

普段は人間の形で暮らしているのが、時に鳥形を取って空を飛ぶこともできたり。
姿を変えることができなくなって死んでしまうというような設定とかも、ああ、なるほどと思ったり。

勧善懲悪ではないところも好きでした。



1巻は女の闘い的な要素がちょっと鼻についてヤダなぁと思ったのですが、2巻から4巻では主となる登場人物が男の子になって、話も多少さっぱりしたので?(笑)とても読みやすかったです。

3巻ではさらに、八咫烏族を食ってしまう、大猿という恐ろしい存在が出て来て、ミステリー風味?サスペンス風味が追加されたり。

4巻になると、今度は2巻からの主人公が学校に入り、学校生活が話題の中心になるので、さながらハリーポッター風味?ホグワーツ?みたい風味も追加されて、読んでいて、とてもわくわくしました。

どの巻にもどんでん返しが仕掛けられていて、途中まで心を寄せていたり、きっとこうなるんだろう?と思っていたりすることが急にひっくり返ったり、肩すかしを食らったりするのもなんだかとても新鮮でおもしろいかったです。

久々、ご飯を食べるのも忘れるくらい熱中したものの、今は読み終わってしまってちょっとさみしい気持ちです。



一カ所だけ、とても好きなシーンを引用しようかな?

4巻目「空棺の烏」のワンシーンです。

生まれながらの身分がまったく違う学生たちが、その違いゆえに最初とても反発し合うのですが、やがて心を開き、同じ目的のために協力し合い、仲良くなってゆく。

その過程で、とんでもなくぶつかり、絶望しかけた時に、ある学生が発した一言です。

お互いに、分からないことは分からないで構わないと思うんだ。無理に、分かった気になるよりも、その方がずっといい。理解できないってことが、自分の知らねえ世界に生きる八咫烏(にんげん)を馬鹿にする理由にはならねえんだと、弁えて(わきまえて)さえいれば十分だ。

たまたま、ここのところ、わたしが考えていたこととリンクして、とても心に響きました。

もう一巻、出ているようですが、ちらっと本の評価を見たらびっくりするほど賛否両論だったので(笑)こちらも文庫になってからゆっくり読もうかなぁということで、一旦感想を挙げます。


ちなみに・・・今はオットが守り人シリーズを夢中になって読んでます。

だからおもしろいって言ったのよ!!(笑)

お勉強の本がちっとも進まなくなったと苦情を言われました(笑)
あちらは十分過ぎるオトナでも(オットはタカミーと同い年!)読み応え十分の小説だ!と大絶賛されてます。

そうでしょうとも〜(鼻高々〜笑)



あと一冊、これまた最近読んだ本。


これはよしもとばななさん。

これから電車に乗ろうという時に、ブックオフで200円だったので、思わず中古で買ってしまいました(笑)

内容(「BOOK」データベースより)
四十歳を目前にして離婚した「私」と、親代わりに育ててくれた祖父母を亡くしたばかりの、幼なじみで従妹のちどり。孤独を抱えた二人は、一緒にイギリスの西端の田舎町・ペンザンスに小旅行に出かける。淋しさを包みあう二人の間に、三日目の夜、ある「事件」が起きる…。日々を生きる喜びが心にしみわたる傑作小説。

わたしのイメージの中のイギリスは曇天ですが、この物語はそんなイメージぴったりのイギリスの旅先が舞台です。
アラフォーくらいのいとこ同士が、観光地というわけでもない、静かなイギリスの田舎町のホテルに滞在する間に起こる、ふたりの心の動きを丁寧に追っています。

旅先は海がとても近く、ホテルもこぎれいでいいところですが、美しい場所として書かれているというよりは、ちょっと怖いような雰囲気があります。

ホテルからほど近い夜の海辺が真っ暗で、人を寄せ付けない雰囲気を持っていて。ちょっと怖さを持って描かれてます。

イギリスを舞台にした旅の話なのに、なぜ「スナックちどり」というあまりにも日本的なタイトルなの?というところにも惹かれました読み進んでいくとわかりますが、
「スナック」をやっていたのは彼女たちの祖父母で。

ちどりさんは早くに親を亡くし、このスナックをしている祖父母の元で育てられ、手伝ってきました。
その祖父母が亡くなり、今は祖父母の意思を受け継いだバーを始めようとしていますが、いまだぽっかりと心に穴を開けたままでいます。

一方の主人公のさっちゃんは、離婚して仕事も失い、傷心旅行とでも言うような旅の途中です。

そんなふたりがたどり着いたこの町が、まるでふたりの隠れ家のようにそこにあって。

ホテルからほど近い海の存在感が、ふたりをさらに「ふたりっきりの世界」だったり、お互い自分の生きてきた「過去」との対峙へと誘う感じもあり。

まるで夢の中のような、現実から少し遠いような感じもありつつ、ふたりの過去の生活の話はとてもリアルだったり。

それに比べて旅先の「今」がどこかふわふわとして、夢の中の出来事みたい。

旅から帰れば、きっとふたりともしゃきっと生き返ったように、生き生きとし出すのだろうけれど、今は小休止・・・的な雰囲気もとてもよかったです。

何度も言いますが、イギリスにいるにも関わらず、全体としてふたりや町の景色に漂う雰囲気が、決して海辺に立ち並ぶお洒落な「バー」とか「カフェ」とか言うような感じではなくて。

「スナック」的こなれた世界観なので・・・

ああ、だからスナックちどりなんだ!!と気がつきます。

もっと自由でもっと人間くさい感じ。

そんなところもおもしろかったです。

途中、決して大事件が起こったりするわけではないですが、しみじみと五感が刺激されるような、情景がいちいち目に浮かぶような、海の匂いや風のざわめきまで聞こえてきそうな、雰囲気のある物語でした。

そうそう。

電車の中で読んでいて、ものすご〜く集中していたら、ほぼ女性ふたりの登場人物しか出て来ない物語なのに、突然とても官能的な濡れ場が出てきて、びっくり!!

ええーーーっ!?そうなる??

まさかまさかでしょ!(笑)

思わず、読んでいるページを中学生男子みたいに隠すわたし(笑)(笑)(笑)
隠しつつも、平然と続きも電車で読みましたけども(笑)(笑)(笑)

ああ、びっくりした!

そんな意外な展開も含め、先の展開の読めなさ加減込みでおもしろかったかも。

一見アリエナイ出来事も、まっ旅先だもの、そんなこともある・・・かも???ね・・・的なふしぎな感じもあり。

ちょっと人には言えないようなとんでもないことが起こっても。

たったひとりでさみしくっても。

いいの、いいの。きっとまだまだ先はある。少し休んだら、またきっとやれる・・・的な肯定感もあり。

何よりもわたしは言ったことがないくせに、イギリスってこんな感じに違いない!という空気感がすごくある意味リアルに迫ってきて心地よくて。

ひとつ旅を終えたような気持ちになりました。

最後の方で出て来たイギリスの老婦人とふたりが、紅茶を語り合うシーンとか、とても趣があって好きだったなぁ。

スナックちどり。いいです。

椎名林檎さんとか、 EGO-WRAPPIN’とかの音楽が無性に聴きたくなりました。

他にも読み終わった本があるのですが、一旦切ります。