ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 「炎路を行く者」と「烏に単は似合わない」

今日は書きたいことがいっぱいあるのですが、まずは軽くこれから!!

昨夜のMステよかったなぁ〜♡とまだまだ噛みしめてます。
いっぱい見返したいシーンがあるし、いろんなオマケもついて、とってもわたし得なスペシャルでありました。
(多分「つよしさん得!」でもありましたよね?むふふ。)

ほかにも下書き途中の日記が3つ。

どこまで書けるかわかりませんが、今日はがんばる所存です(笑)

最近また、そこそこのペースで本を読み漁ってます。
「ふぇるまーた」に初期の頃の雑多さが戻ってきたね〜「らしい」感じが戻ってきたよ!!と先日長く読んでくれている友人に言われました。
そもそもは「ファンブログ」が前面に出たサイトでもなくて、たまたま彼や彼らのファンの人がやってる「普通の日記」という性質だったのが、いつしか好きな人たちの名前で検索するとなぜか一発で引っかかっちゃうような不思議なことになってました(笑)

こういう状況の方がふぇるまーた的には「普通」かも?という感じなので、いやいや、あなたの日常には興味ないし!という方はどうぞタイトルのカテゴリー分けをご参考にいらしていただけたらと思います。

というわけで、これは本のカテゴリーです。

まずは炎路を行く者」から。

炎路を行く者: 守り人作品集 (新潮文庫)

炎路を行く者: 守り人作品集 (新潮文庫)

常日頃から『守り人シリーズ』は全部持ってる!と豪語していたわたしですが、この本が出たことをまったく知りませんでした。
いつの間にか文庫にもなっていて、しかも「売れてる本」コーナーで見つけたなんて(笑)

びっくりだわ!と思いつつ・・・ある意味お財布にもやさしいことだし、文庫になってから見つけたのでよかったかも。

そして読み始めたら止まらなくなって、大事に読みたいと思っていたくせに、一気読みしてしまいました。

amazonさんの内容紹介のところにはこんな風に書いてあります。

(「BOOK」データベースより)
『蒼路の旅人』、『天と地の守り人』で暗躍したタルシュ帝国の密偵、ヒュウゴ。彼は何故、祖国を滅ぼし家族を奪った国に仕えるのか。謎多きヒュウゴの少年時代を描いた「炎路の旅人」。そしてバルサは、養父と共に旅を続けるなか、何故、女用心棒として生きる道を選んだのか。過酷な少女時代を描いた「十五の我には」―やがてチャグム皇子と出会う二人の十代の頃の物語2編。シリーズ最新刊。

上橋さんのこのシリーズはNHKで「精霊の守り人」がすでに実写化もされているし、次回作も今日始まるので、ご存じの方も多いことと思います。

わたしたちが今いる世界と重なり合うように、精霊のいる水の世界があって、互いに影響を及ぼし合いながら存在しているという設定や、希にその異世界を見たり感じたり、人によっては異世界の者たちと話をしたり、情報交換したりすることもできるという設定だけを見ると、かなりファンタジー要素が強めな感じですが、それだけではなく。

わたしが上橋さんと同世代だということもあると思いますが、ファンタジーでありながら、どこか現実の延長線上にあるように感じるので、読みやすいのだと思います。
普通の人間ドラマとして見ても十分におもしろいし、ずーっとずーっと人類の歴史をさかのぼって行ったら、どこかの時代のどこかの地に、こんな国々がありそうな気がします。

人間の感情とか人と人をつなぐ思い、国と国との駆け引きとか、伝統の守り手と新しい空気を入れたい人たちとのせめぎあいとか、そういうことがとても丁寧に描かれていて、その細やかな設定も人々の心模様も、どこか哲学的で、ちょっとオトナの心をくすぐる感じもあって。

物語が架空のではありますが、たくさんの国をまたがって描かれているので、視点もさまざまで、価値観も多様、正解がひとつじゃないところが好きです。

テレビで始まった大河ファンタジードラマも、オットに勧めたらあっと言う間にわたしよりもはまってしまいました。

その後から再放送が始まったアニメの方は、長期連載だったこともあって、ドラマよりもずっとディテールまで丁寧に描かれていて、しかもその発想力が素晴らしくて、さすが作者が文化人類学の先生だというだけのことはあるな!という感じ。ありそうでなさそうな架空の世界なのに、リアリティーが半端なくて、毎回うなりながら見てました。

さて。

今回の「炎路を行く者」は守り人シリーズのたくさんの物語の中で、わたしが最も読み返す率が高い『蒼路の旅人』という物語の登場人物のひとり、ヒュウゴという人を掘り下げているということで、わくわくしながら読みました。

ヒュウゴという人は、テレビでもお馴染み、精霊の卵を宿されるチャグム王子と敵対?と言ってもいい立場になる人なのですが、どこか謎めいていて、人間としてとても魅力的なのです。
今回の短編集の最初の物語の主人公がその惹かれてやまない「ヒュウゴ」だというので、興味津々。
読み手としては、チャグム王子目線になっているはずなのに、ヒュウゴは気になって仕方ない人で、なぜなんだろう?とかねがね思ってました(笑)

その秘密を知るためにもこの本は読まないわけにはいきません!

というわけで、わくわくしながら張り切って読みました。

もう一話はバルサが15歳の時の物語ですが、こちらも父親代わりのジグロと、彼らならではの濃密で強烈なエピソード。

とてもいいお話でした。

ふたりに共通して、過酷な子供時代があって、ふたりとも親がとても立派な人で、国を背追う重要な立場にあった人だったがために、理不尽に命を狙われることになったり、過酷な運命の渦に巻き込まれていきます。

ヒュウゴが親を殺され、国までもが大国に飲み込まれた関わらず、勝者の国の王子の密偵として働くことになる運命の過酷さ。
しかも参謀として親の敵とも言える国の中枢にいることがとても不思議に思えていたのが、この外伝を読むと、とても納得がいく答えが用意されていました。

そこに至るまでの紆余曲折は想像以上で、バルサにジグロがいたように、ヒュウゴにも父や姉のように、赤の他人でありながら、守り大切にしてくれた人たちとの出会いがありました。

そして数々の矛盾と闘いながらも、自分をどこまでも守り信じてくれる芯の通った大人との出会いに助けられ、自分を見失うことなく、少々のことではへこたれない、誰よりも強い大人になる・・・という道筋。

この観点において、ヒュウゴとバルサはどこか似ていて。

立場は違い、たとえ敵味方に別れていても、自分なりの信念を持ってまっすぐに生きる大人へと立派に成長を遂げました。

守り人シリーズの最終章『天と地の守り人』の最初の方では、ふたりは協力してチャグムの行方を案じ、追いかけるという場面があったのですが、多くを語り合わずとも、ふたりが同じ目的を前に、黙したままひと時だけ、協力してことに当たり、そして引き際もまた鮮やかに右と左に別れて行った、その辺りの事情もよくわかったような気がしました。

人は「良い」「悪い」の二択ではとても語れないし、そんな単純なものでもなく。

さらに言うと、やっぱり幼くして奇異な運命に翻弄され、渦の真ん中に追い込まれていくチャグム王子を放ってはおけなかったのは、ふたりともチャグムの中に、かつての自分を見たのだろうし。

ヒュウゴは自分のボスが敵対している相手でありながらも、どこかチャグムにも心を寄せずにはいられなかったのだろうなぁと、あらためて思いました。

上橋さんの物語の中では、いつも架空の人物たちが、本当にみんなとても生き生きしていて、思わず心を持っていかれます。

アニメやドラマでは、さらに異国情緒の風景とか、細かい国々の描写などがとても凝っていて楽しいです。

くしくも、実写の方は、今晩から第二シリーズが始まる予定です。

そちらもとても楽しみで、わたしよりも先に、オットが早速予約を入れてました。

もちろん大河ファンタジーのドラマの方は、長い長い物語のあちこちをつまんでいるので、時々展開が早すぎて驚くところもありますが、今夜からの新シリーズもとても楽しみです。

(ちなみに、くだんの「ヒュウゴ」は鈴木亮平さんが演じられるそうです!イメージとわりと近いかも!)


さらにもうひとつ。

これは発掘シリーズ。

買っていたのに読み損なっていた本です。

烏に単は似合わない? 八咫烏シリーズ 1 (文春文庫)

烏に単は似合わない? 八咫烏シリーズ 1 (文春文庫)

わたしはたまたまあとがきも読まず、評判も見ずに、表紙の山深いところにある桜と桃源郷のような景色を見てジャケ買いのようにふらふらとレジへ。
ちらっと見た「八咫烏の一族が支配する世界」というところだけで買ってしまい、寝かせに寝かせたあと、一気に読んだので、先入観も予備知識もまったくなかったので、何も知らずにお化け屋敷に入った人のような反応をしてしまいました(笑)

え?お化け屋敷?とお思いのみなさま。

いえいえ、お化けは出てきませんけど、4分の3くらいまで読んだあと、盛大などんでん返しがあってゾっ!とします(笑)
そしてニヤニヤしつつ、読者をミスリードしたであろう?筆者に拍手!!

で、終章まで読んで、序章の2ページに戻って読み返して、ああっ!!と初めてその意味がわかったという、自分のマヌケっぷりに笑いました(笑)

最初の時点では、それが誰目線の話なんだか、登場人物の誰のことなんだか、さっぱりわからなかったのです。

だーまーさーれーた!!(笑)(笑)(笑)

よ〜く見たら作者の阿部智里さんは、この物語で史上最年少松本清張賞受賞なんですって。

納得!!

八咫烏さんとは常日頃からなかなかに馴染み深くって???いろいろと親近感を覚えていたのですが…

はぁ?頭おかしい?レイン、頭が沸騰してんじゃないの?という感じですが(笑)

わたしの好きな八咫烏は奈良の日本酒であり、近鉄奈良駅のそばの大好きな居酒屋さんの名前です。むふふ。

八咫烏 特別純米酒 1800ml

八咫烏 特別純米酒 1800ml

そしてそして、奈良の橿原神宮で見た、神話の中の「神武天皇を大和の橿原まで案内した」八咫烏
(最初にそれを言えよ!笑)

ところがところがこの物語の八咫烏の一族は、もっと卑近でもっと泥臭く、もっとドロドロなメロドラマもどき?を展開しておりました(笑)

これはなかなかにスパイシー。

ごていねいに、ジャケ買いしたとき、次の巻まで買ってあるのですよね〜
怖いもの見たさもあって、きっと読むと思うけど(笑)(笑)(笑)

読後感はさわやか…ではなかったですが、たいそう刺激的でありました。
たまにはこういう刺激もいいよね!という感じでありました。

むふふ。