ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 つよしさんの創作、表現活動とミラノコレクションなど

本当はもうひとつ。「銀魂」についての日記もほぼ書き終わっているのですが、諸事情あって順番は逆ですが、先にこっちからアップします。

というか、明日からはまたKinKi Kidsのツアーも始まるし、気持ちを上手に切り替えたいと思っていて・・・これともうひとつの日記はその前の悪あがきです(笑)

書いているうちに、いつもながらとっても長くなっちゃったので、お時間と気持ちの余裕がたっぷりある時に「続きを読む」からお入りいただけたらと思います。
まずは本題に行く前に、うちのレッスン事情から・・・
ちょっと先のテーマとつながる話なので、タイトルをご覧になった方は???なんで仕事の話?と思われると思うのですが、どうぞここから書かせてくださいね。

うちの生徒のみさきちゃんは、ただ今4年生。
まだピアノを始めて1年ですが、先日小学校の学年のピアノ伴奏に立候補して、今日、保育園時代からずっとうちに通ってきているモカちゃんと共にオーディションを受けることになりました。
幸いなことに、課題曲が2曲あって、ふたりが別々の曲を選んだから、ふたりとも選ばれる可能性もあるわけで。
どちらも選ばれるといいなぁと思ってます。
練習するにあたり「ふたりとも不安だったら毎日だって来ていいよ!!」と言ったら土日もなく通い詰めてきて、きのうでちょうど2週間。
ずいぶん上手になりました。
オーディションはどちらの曲も10人近く受けるみたいなので、受かるかどうかは、半分は実力としても半分は先生の好みとか、クラスのバランスとか、いろんなことがあって、必ずしも生徒の実力だけじゃなさそうで、あとは神さまに祈るのみという感じ・・・

さて。

初オーディションのみさきちゃんは、練習が進むにつれ、テクニックもさることながら、初心者とは思えないとても繊細なタッチで、とっても心を掴む演奏をするようになってきて、毎日びっくりしています。

去年の今頃はドレミだって怪しいくらいだった子が、こんなにうまくなるんだなぁという感慨。

小指の使い方とか、大事な音を出すときのしぐさを見て、あれ?こんなピアノの人、どっかにいたなぁと思ったら・・・わたしだった!!(笑)(笑)(笑)

そっか、このコはちょっと弾いてあげると、すぐに伝えたいことの真芯を捉えるから。
気をつけないと、音楽のうたい方までわたしの演奏に似ちゃうんだと気がつきました。

ピアノのレッスンは楽譜はあっても、教科書的なものがあるわけでもなく。
たとえば手の形にしても、レガートやスタッカート、ノンレガートの奏法にしても、音楽の歌い方にしても、すべてはマネから入るわけで。
学生時代、教育音楽学の先生が「学ぶということのスタートは『真似ぶ』ということなの。」とおっしゃったことが思い出されます。

初期のピアノレッスンは、真似るのが上手な子ほど、早いペースで上達して行きます。
(もちろん逆は必ずしも真ならずで、不器用でまねがヘタな子が、ピアノがうまくならないということではありません。
そういう子はそういう子で、後になってぐっと伸びてくることがあるし、頂上をめざす道はいくつでもあります。)

ただ、ずっと続けていくならば、どこかで「真似」を超えて個性を出していかないといけないわけですが・・・
まずはしっかりと上手な人を観察して、本質をつかみとっていくのが目標です。

そんなみさきちゃんを見ていて、ふと思い出したことがあって・・・

つよしさんが雑誌で語っていた「薔薇と太陽」をどう歌ったか?という話です。

雑誌「CDジャーナル」さんでのお話です。

最初は吉井さんの真似から入ったという話。
ちょっとだけ引用させていただくと・・・

いちばんいいのは、(吉井さんの)物真似(笑)
そうすると、アレンジも活きるし、メロディーも生きるんです。
物真似と言っても本当に似せるわけじゃないんですよね。
似顔絵を描くときみたいに、真似る相手の特徴を大袈裟に探す感じ。
喉仏の長さであったり、骨格であったり、そこから生まれる自分の声のことは知り尽くしているわけだから、じゃあ吉井さんのような声が出る態勢はこれかな?とか、マイクはこれかな?って工夫しながら歌っていきました。

もちろんできあがったつよしさんの表現は物真似なんかじゃないですし、とても個性的なのはもちろん誰もが知るところですが、こんなにベテランの域に入ってきても、やっぱり曲への「とっかかり」「アプローチ」はこんな風にいろいろな試みをして、努力の上で落としどころを探るんだなぁと思ったのです。

そうやってできあがった「薔薇と太陽」は、KinKiのシングルの中でも、とっても斬新な歌い方をしつつ、表現がとってもぴったりはまっていたからさすがだなぁと思いました。

(ちょっとこの話の芯とは逸れるけど、引用文中央あたりの「自分の声のことは知り尽くしている」と堂々と言えたりするのが、凄いことだとも思うわけですが・・・)


そして、彼自身が堂島くんと共作で作った「陽炎〜かぎろい」は、聞き込んでいくうちに、思いのほか意識下にまで攻めてきていて、ここ二日くらい、夜中に不意に目が覚めると、頭の中で常にこの曲が鳴っているという・・・無意識の世界でまで音楽が鳴っていて、ふたりの声がしているなんてびっくりです。

どれだけ惹き付けられているんだ!という感じ。

時間の経過とともに、歌を聴きこむほどに、この歌の凄さがどんどん感じられるようになって。

初期の頃は誰の影響を受けたかがあらかた想像できるような曲もなかったとは言えないし、ベースにしてもギターにしても、やり始めの頃から、わりとステージの上や作品で見せちゃうことを怖がらない人なので、ファンも彼がメキメキと音楽家として上達してゆく過程を知っている方だと思うけど・・・

それにしてもいつの間に、こんなに見事に誰にもまねできない、オリジナリティーあふれる作品を作るようになったんだろう?とあらためて驚嘆したのでした。

ほんと、ここのところのなんやかんやを見ていると、凄い才能を持った人のファンになったものだ!としみじみと思います。

この人の才能については、まだまだ天井はまったく見えないし、これからさらにどんな曲が世にでていくのか、楽しみだなぁと思います。


で、話を元に戻して。

そんな才能あふれる人でも、最初は「真似ぶ」ところからなのだなぁとあらためて思ったのです。
そして今くらいのところまで行っても、ちゃんと学んでいるのだなぁという新鮮な驚き。

尊敬する先輩から勉強させていただくことをいとわない人。
他の人のやり方や、素晴らしいところをちゃんと認め、取り入れられるところは積極的に取り入れようとすること・・・

簡単なようで、意外と簡単ではないような気がします。

ちょっと最近いろんな出来事を通してそんなことを思ったので、そう書いておこうと思いました。

さて。

おっと、ものすご〜く長い前置きになっちゃった。

どうしてこれを前置きにしたのかは、後で種明かしをするとして・・・



ミラノコレクションで、つよしさんが作ったインスト曲が流れたという話は、あっという間にツイッターで流れ、ファンの間に拡散されていきました。

まずは後で記憶を辿る用に、ニュースの概要がまとまっているサイトを張ります。

こちらです。


この話が表に出たきっかけというのは、お仕事でミラノコレクションに行った方が、偶然につよしさんの名前を見つけた・・・ということだったのだと思うのですが、この「偶然」により、いろいろな謎が解けて、あれよあれよという真に拡散されていきました。


逆に言えば、その場に誰もいなければ、まだ彼がこの仕事に関わったことは誰も知らないままだったのかもしれないわけですが・・・


今考えてみると、結果的にミラノコレクションが行われる前に騒ぎにならなくてよかったという気もするし。
ひとりのクリエーターとして、つよしさんがこんなにもスマートに関われるんだ!という驚きもあって。
(ファンはまったくそんなことは最初から思いませんが、またマスコミ関連で「事務所の力で」・・・みたいに邪推されることもないでしょうしね、笑)

やっぱりこんな風に後になって世間に伝わったのでよかったかもしれないと思いました。

で、ファッションショーの動画が動画サイトに上がっていたので、とりあえずはリンクを貼らせていただきいました。

Atsushi Nakashima | Spring Summer 2017 Full Fashion Show | Exclusive

まずは何の先入観もなく見たわたしが、どう感じたかをツイッターに残したのがこれです。

これ、絶対フルで聴いた方がいい。びっくりするほどドラマチック。日本人らしい和のテイスト。侘び寂びもイメージされつつ、スペーシーで近未来的、最先端を感じさせる要素もあって。日本から発信して世界へ。過去から今を経ての未来へ。堂々としたフィナーレは、未来への大きなうねり。カッコイイ。

ツイッターは字数に制限があるから、なんだかこねくりまわした作文のようになってしまったけど、正直に思ったことをつらつらと書いたのがこれでした。

中島氏はつよしさんのアルバム「ラカチノトヒ」の「Disc2」のインストの作品群に共感したことから、このコラボが始まったそうですが、あの時のインストと比べても、ずいぶん進化したなぁという率直な感想を持ちました。

つよしさんのインストは、これまでもたくさんアルバムに入ってきたし、その後は、この時のように一枚まるまるインストのDiscが付いていることはなかったにせよ、きっとその音楽的探求、進化は続いているのだろうとは思ってましたが、今、このタイミングでさらに花開いたんだなぁと思うと感慨深いです。

わたしは音楽を聴くのが好きな素人ではありますが、ファッションショーとなるとさらに畑違いで、アネのようにデザインの勉強をしたわけでも、そういう感性が育っているわけでもないので、ファッションショーの作品そのものの視覚的素晴らしさの感想を述べられないのがとても残念なのですが・・・

そんなわたしでも、ここで使われている音楽は、前に出すぎず、主役であるところの、日本人の手なる洋服たちを上手に引き立てていることは十分に伺われたし、中島氏の創り出した世界観の一部として自然に溶け込んでいるように感じました。

で、ツイッターでは書ききれなかった分を、もうちょっとだけ長い文章で、この動画を見ながら思ったこととして残しておきます。
(もちろん勝手なわたしの主観的な文章ですので、どうぞそこのところはよろしくです!)


最初の方はとても静かな音楽で、まるで水禽窟のしらべのようでもあり、虫の声を思い出すような、自然の中に存在する音といった佇まいでした。

「わびさび」「禅」の文化を感じさせるようなイメージもあり。

かと思うと、宇宙的な、どこか真空?な感じも受けたり、サウンドは「和」な感じなのに、鳴っているリズムは必ずしも和ではなくて。
そんな静かな音の中、現れたモデルさんのスカートの裾の揺れだったり、シースルーのカーディガンに通る風の気配だったり。
耳は音を追いつつも瞳は画面に釘付け。
思わずその場の空気を感じたくなって大きく息を吸ってみたり、洋服をまとう人の息遣いまでが聞こえてきそうな、そんな感じがして・・・
とても味わい深いなぁと思いながら、飽きずにどんどん見ているわたしがいました。

見ている間に「シン」とした音楽から、次第にcresc.して、洋服もモノクロームからカラフルへ。
その辺の音と絵の連動にも心を奪われます。

さらに見ていくと、またお洋服の感じが変わり、今度はすみれさんが出て来られたシーンへと進むのですが、この辺りも音楽とお洋服をまとったモデルさんの雰囲気が視覚的にもとても美しく連動していて、釘付けでした。

気がつけばいつしか音楽もファッションも、懐古的な和のイメージから、もっと広がって時の針が進んだかのような印象で、現在へ。そして日本から世界へ・・・

そんなムードになって、最後は堂々としたフィナーレへ。

斬新な色使い、さまざまな出身地の多様な人たち。
日本から世界へ。世界から・・・もっと広がって宇宙へ?

ふたりが並んで歩くと日の丸が浮かび上がるあのお洋服の印象的なこと!!

フィナーレは思いのほか強い音色、強い音。

まるで、昔のドラマ「阿修羅のごとく」に使われた「ジェッディン・デデン」みたいなイメージでした。
エキゾチックで東洋的。

おもしろいショーだったなぁと、気がつけば音楽のことを忘れそうなくらい、画面に見入っていたのですが、それだけ音楽が視覚的なイメージの中に溶け込んでいるということだったんだろうなぁと思います。

こんなことを思いながら、飽きずに食い入るように画面に見入っておりました。

おもしろかったです。

そして、見終わったあとにこちらを見つけました。

「DHL Exported」を受賞されたときの、中島篤氏のインタビューが載っている記事です。
この受賞があって、ミラノコレクションで公式スケジュールでランウェイショーを行うことができたということなのですね。

いろいろと順番がおかしい出会い方をしましたが、とても刺激的で、おもしろかったです。

そして、このサイトなどを見ていたら、平安神宮ライブの時の衣装は「これ」だったのか!!というのもわかりましたし。
先日のMステスペシャルの時の衣装もまた、この中島氏の手なるものだったのですね。

なんだかいろいろと気がついてからもう一度、SONGSさんを見たり、録画してあったMステを見たりすると、とっても感慨深いです。
いろいろヒントはあったんだなぁ。

あとになって謎が解けていく過程をゆっくりと体感できたのもまた、おもしろい経験でした。

ちなみに・・・

多分この騒ぎがひとしきり先にあって、きのうくらいになって、芸能ニュース的なものが出てきた気がするのですが、その記事を見ていると、「もはやジャニーズの域を超えた」とか書いてあって、びっくりしました。

ジャニーズの「域」とはなんだろう?
誰が引いた線で、何を示すものなんだろう?

あえてその一文はいるのだろうか?

そんなところがとても引っ掛かりました。

もちろん事務所がOKを出して、初めてこの仕事が成り立っているのでしょうし、彼一人の力でこれができた・・・とはまったく思いませんが、お仕事の性質上、関わった人がたまたま「ジャニーズ」の人だったことはなんら特筆すべきことではないと思うし、そこをことさらに強調する意味もわからないです。

それは彼に限らず、他のジャニーズのみなさま方にとっても「ジャニーズ」の域に留まったり超えたり・・・というような観念で物事を考えることに何の意味もないと思うのです。

そういう表面的なことに捉われず、本質的なことにまっすぐにたどり着くような、そんなプロの文章と出会いたいなぁ。

そして、こんな風に縁の下の力持ちに徹し、静かにショーを引き立てるインストを創り、世に出した彼もとても魅力的ですが、一方で自分たちが前に出る、歌が主役の曲創りの方もどんどん進化を遂げていて。

最初の方に書いたように「陽炎〜かぎろい」の曲としての力に翻弄されたり、かと思うとまだまだ最新アルバム「Grateful Rebirth」もずっと聴き続けたりしている今日この頃です。

先日MISIAさんが春日大社の公演で「街」を歌われたそうですが、そうやって彼の手なる曲が、彼がいないところで歌われたりするのも素敵だなぁと思います。
もしくはももクロちゃんたちが、フェスで桃色空を歌ってファンの方々に喜ばれているツイートを目にしたのも、なんだかとってもうれしい出来事でした。

彼が曲創りを始めた頃は「ミスチル」っぽいだの、林檎ちゃんの影響を受けてるだの、ファンクスターたちの名曲と似ているだの、いろいろ言われて来た歴史もありましたが、ここのところの活躍ぶりを見ていると、そうやって稀代の名匠たちに触発され、まずは吉井さんの歌い方をトレースしてみたように、いろいろな天才たちの素晴らしいところを吸収、消化、昇華する努力を惜しまずに重ねた成果が、今、だんだんに現れてきたように思います。

どう聴いても今の音楽は誰の真似でもないし、詞にしても曲にしても、アレンジにしても、彼の音楽は彼でしかありえない彩(いろ)が出るようになってきたように感じています。

おおやけに認められるまでになる、その過程は必ずしもゆるやかではなく。

ファンからみれば長すぎたくらいですが・・・

音楽をする人を育てる者の目線で考えてみても・・・

常に自分もスポットライトの下にいて、日常のルーティーンを重ねつつ、一方でクリエイティブに芸事を極めるための手順「先人に『まねぶ』から始まって本気の『学ぶ』への過程をショートカットせずに、しっかりと地道に踏んで、育ってきたんだなぁという感じがしていて。

さまざまな知識や経験の積み重ねが、やがて「彼しかできないもの」へと進化し、独自の創作、表現として花開いた今日なんだなぁと思っています。

やっと彼の素晴らしさが少しずつ、届くべきところに届き、じわじわと広がり始めた感があって、とてもとても感慨深いです。

そして、まったく次元が違いますが、そんな風にがんばっている彼にインスパイアーされて、わたしはわたしで裾野の方で、明日のつよしさんのような、自信を持って先に進める小さな音楽家の卵たちを育てられたらいいなぁなんて。

なんだかこの人の背中を見ていると、わりと頻繁にがんばらなくっちゃという気にさせられます。

わたしの方がずっと年上のはずなのに、ちっともそんな風には思えない瞬間もあって(笑)

常に刺激をくれる人に出会えたしあわせを思う今日この頃です。