ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 奈良旅の記録 その6 当麻寺 水琴窟

ええーっ!?この日記続いてたんですか?というツッコミがあちらこちらから降って来そうですけど(笑)
どうしても続けたかったので(笑)

オットに「続きを書くから当麻寺の資料貸して〜♪」とねだったら、低〜い声で「はぁ?いつのや?」と冷たく言い放たれてしまいました。
あれから一人でもう一度二泊三日で奈良に行ったオットは、法隆寺興福寺など、オーソドックスな奈良を堪能してきたそうです。

さて。

わたしが当麻寺に行くのは二度目です。
とはいっても一度目はなんと高校の修学旅行の時です。
うちの都立高校は京都が一泊で残り2泊は奈良というちょっとユニークなスケジュール。その中の一日が班行動でわたしたちの班は万葉集にちなんだ旅・・・ということで大津皇子姉弟の足跡と気持ちを辿る旅。
当時も山の辺の道を歩いて当麻寺を訪れているはずなのですが、今回行ってみて、あまりの覚えてなさ加減に愕然としました(笑)ダメダメです。

以前にふぇるまーたでも書いた気がしますが、わたしは大津皇子とおねえさまの大伯皇女の物語になぜか高校時代からずっと心惹かれていて。
決して後味のいい物語ではないし、むしろとても哀しいお話なのになぜなのか。
特に大伯皇女に心を寄せてしまうみたいで、彼女の残した句たちが折に触れて思い出されたり。
前回奈良に行った際は、たしか大神神社で大好きな句がプリントされているクリアファイルが偶然手に入ったり。

なぜかご縁があるのですよね〜

中でも超有名なこの句

うつそみの人なるわれや明日よりは 二上山を弟背(いろせ)とわが見む

は、謀反の疑いをかけられて殺されてしまった弟のお墓がある二上山のことを歌った歌で。

高校生の頃も「二上山をどうしても見たい」と思ったことは覚えているのですが、今回の旅でもやっぱり「どうしても二上山が見たい」・・・と思ったのでした。

今回、一日目に一度当麻寺を訪れたのですが、見所が多すぎて回りきれず、三日目に再び訪れました。

それでもやっぱり辿りきれずで。
美しい手入れの行き届いた庭園がいくつもあるし、お写経や写仏の体験もできるそうなので、またの機会に一日かけてここだけのためにもう一度来てもいいね?なんてオットと話しておりました。

近くまで行って車でくねくねと小さい道を入っていくと、小さな駐車場があります。
小さな小屋みたいな場所がありますが無人で、駐車場代の500円を入れる箱が用意してあって、資料とか地図とかが小さく並べてありました。
とてものどかな光景です。

駐車場の近くにあった看板を見てすでに感動しているわたくし。

二上山!!

いつか登山口から登っていくのもいいかも?なんてウキウキしながら思いました。
両日ともとてもいいお天気で、抜けるように青い空。


ちなみにこれが噂の二上山です。

一日目は駐車場のほど近く、北門から中に入ると大きな柿の木があって、秋だなぁと景色を満喫します。
奈良市の真ん中と比べるととってものどかな光景で、行き交う人たちもどこかのんびりしています。

不意に正岡子規の「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」という句が思い出されました。秋だなぁ。

中はものすご〜く広くて、薬師寺みたいに大きな西塔と東塔があります。三重塔だそうです。

正面に本堂があります。

このお寺といえば中将姫伝説で有名です。

どうやら中将姫はモデルとなる方は諸説あるものの、実在の人物ではないようなので。
とはいえ、このお方についての説明がテープでずっと流れていて。

「中将姫は継子いじめに合い、一度は殺されそうになるも、情けをかけられて山に捨てられた。後に父と和解するも、世上の栄華を望まない姫はこの当麻寺にて仏の道に入られた」・・・
な〜んて、ドラマチックな昼メロのようなお話を聞きながら(笑)彼女が織ったとされる曼荼羅を眺めたりしているのがなんだか不思議な感じでした。

その中将姫が一夜にして織り上げたとされている曼荼羅は、蓮の糸で織られた・・・ということになっているそうですが、実は蓮の糸では曼荼羅が織れないことはもうわかっているのですって。

いろいろと夢があるんだかないんだか・・・な中将姫伝説ですが、後の人々にもとても人気があって、浄瑠璃になったりして、何度も上演されたりしているのだそうです。
日本人がいかにも好きそうなお話なのだなぁと思います。わたしはちょっとどろどろしたのは苦手なのですけれど(笑)さらっといこうよ!さらっと!

その曼荼羅のポスターをオットが買ってきたので、額に入れて、寝室のベッドサイドに飾ってあります。
すでに掲げてあるものを撮ったので、ちょっと見づらいですけど。

「カラーだからね。この色合いといい・・・すっごくいいだろ?」なんてひとり悦に入っているオット(笑)
まっいいんですけどね。むふふ。
気がつけば寝室がとんでもないことになってます!

天川さんの曼荼羅やらこの當麻曼荼羅やら。

かと思うと海外産かぶとむしの「交尾の画像」が飾ってあったり(笑)

ポスターやうちわのKinKiさんがいたり。

ベッドサイドにはギターを抱えたつよしさんの後ろ姿の写真立て。小さい鹿みくじの鹿さんや、マスコットサイズの鹿たちもいます。

お守りやお札でしょ、izmさんの小さな仏像フィギュアでしょ?ガチャガチャの仁王さまたちでしょ。

海外時代に大好きだったモルディヴのお魚図鑑ポスターまで(笑)

な〜んて雑多なんだ!この部屋は。

おっと話が逸れちゃった。


金堂や講堂も拝観券がセットになっていて、ここは初日に行きました。

人はひっきりなしに出入りしているし、そこそこにぎわっているのですが・・・

日差しが気持ちよく当たる入り口に椅子を置いて、座ってらっしゃるお坊さんが、なぜか下を向いて船を漕いでらして。

こっそり言いますけど、いにしえのマンガ、いなかっぺ大将の大左衛門も真っ青な見事な鼻ちょうちんを作ってらしたのが衝撃的でした(笑)

のどかだなぁ(笑)(笑)(笑)

もちろんうとうとしてらしても特に困ったこともなく(笑)

静かに参拝客が通り抜けていきます。

わたしたちもそっと彼を起こさないように静かに通り抜けました(笑)


それから、わたしがこのお寺でどうしても見たいと思っていた「水琴窟」がある西南院を指していきます。

左側に小さく見えているのが西南院へ入る門。どうしてこんなに左に寄っているのかというと、なぜかオットの後姿が大きく写り込んでいて、そこを外したからです(笑)

ここには江戸初期に造られたとされる書院と美しい庭園があって、お抹茶をいただくことができます。

庭園に入っていくと、わりと最初の方に水琴窟があります。

この自然が織りなす妙なる調べは、あまりにも美しくて。
どんな音かというと、アジアの国に行ったことがある方ならガムラン音楽に近いようなイメージと言ったらわかるかしら?
木琴の音のようでもあり。鐘の音のように倍音が響いているような感じでもあり。

聞いていると心の奥にかすかにあるとげとげした感情がするするっと丸くなるような、ヨガの瞑想みたいにだんだんに無我の境地へといざなわれるような不思議な気持ちになります。

そして何より江戸時代にもここにあて、その当時の人々の心を和ませたのかなぁ?と思うと時を超え、時空を越えて日本人の日本人たる心みたいなものが受け継がれているのかもしれない・・・という感慨。

これが竹筒から流れ落ちた水と、土の中に埋まっている素焼きの壷と、小石や砂で織り成す音なのだと思うとうっとりです。

それにしてもこの、かすかな音の心地よさってば。

去りがたくなってしまいました。

水琴窟は日本古来からの「音の文化」のひとつだと言われていますが、失くしちゃいけない大切な文化遺産だなぁと思います。
なんせ音を出すのに電気もいらないですし、環境も汚しません。
かすかな音は全然騒音じゃないから、そこにあって人の耳を和ませることはあっても、迷惑がかかることもありません。

ここにも「戻ることが未来」のヒントが隠れている気がして。
ずっと折に触れて考えていたらすっごくおもしろい偶然が起こりました。

たまたまほぼ同時期に東北を旅していた両親が、おみやげにくれたのがこれだったの。

ちょっと見づらいですけど、中尊寺の「癒しの水琴まもり」です。
「心の琴線に触れるやさしい音色でお持ちになられる方の心が癒されます様祈願されております。」と書いてありました。

そういえば「琴線」という言葉にも「琴」という字が入っているんだなぁ。

この鈴の音も美しいです。
これを両親がわたしに買おうと選んでくれたのもうれしいし、いろいろと同じタイミングでシンクロしたような気持ちになって、大切にバックにしのばせてあります。

またまた話が逸れちゃいましたけど、水琴窟の音色は思わず動画で撮りました。
はてなにも貼ってみなさまにお聞かせできたらいいんですけど。

たまたまこの日はつよしさんがわたしがいたところからほど近い場所で目撃された日で(笑)「ちょっと!大変よ!ニアミスしてるから!」とLINEしてきた友人たちに、ついでにこの動画を送りつけました(笑)

あそこからだと動画を送るのがとても簡単なのですよね。

友人の一人はヨーロッパ在住で、もうひとりは兵庫県在住。

3人で顔を合わせるのは、年に2回くらいですけど、関東民のわたしが天川からこの音を仲良しさんたちにおすそ分けしているという不思議(笑)
友人たちもとても喜んでくださって、ほっこりしたのでありました。

お庭の池に、西塔が映っていて美しかったです。
多分西塔も景観のひとつとしてお庭が形造られていて、とてもとても整えられた美しいお庭なのですが、中将姫伝説もあってか、女性らしいイメージもあって、とても素敵でした。

紅葉しかけた木々や、手入れの行き届いた花々や池などを見ながらお庭を一回りしたあとで、書院の方にあがって、お庭を見ながらお茶をいただいたのですが、わたしよりもずっとオットが喜んでました。

オットはお茶をたしなむわけではありませんが、なぜかとても茶室が好きで、前に奈良に行ったときも慈光院というお寺でお茶をいただいて感動していたことを思い出しました。

オットに聞いたところによると、慈光院とこの当麻寺の西南院はゆかりのあるお寺なんですって。
どういうゆかりがあるのかは、オットがめっちゃ語っていた気がするのですが、もはや聞いちゃいないワルイ妻は、一体何に気をとられていたんだろう?(笑)

そんなこんな、めいめい好きなことを言い合ったり、ふと黙り込んだりしながらしばしこの茶室を満喫いたしましたのことよ。

あともうひとつ。
当麻時の続きと石光寺について触れたあとは、最後のエントリー、西大寺について触れて、この旅日記は終了となります。

久しぶりの西大寺もとっても素敵で、しかも大好きな愛染明王さまがたまたま公開中。
御前立ではない本物の愛染明王さまに出会えてとってもハッピーでした。

その辺りのことは「うましうるわし奈良の10年」という本を見ながら書きたいと思っているのですが、なかなかamazonちゃんが運んでくれません。

「うましうるわし奈良」の10年

「うましうるわし奈良」の10年

こちらです。
なんだかびっくりするほど売れてるのだそうで(笑)

多分言葉を寄せているというウワサのつよしさん効果もあるのでしょうけれど、わたしはつよしさんが載ってなくても買ったと思われます。
そもそも、JR東海のCMもポスターも大好きなのですよね〜

何度ホームページに行って見たかわかりません。
そして、CMも録画するほど好きなのです。

明日には来るかなぁ?

一緒に頼んだこちらだけ先に来てびっくりしましたが、こちらもじっくり読みたいです。

語りだす奈良 118の物語

語りだす奈良 118の物語

なんてったって奈良が好き。

これは理屈じゃないレベルになってきました。
こんなご縁がつながるとは、高校時代夢にも思いませんでした。

水琴窟の音色を聴いていたら、17歳のわたしにふと出会えたりして。
おばちゃんのわたしが高校生のわたしに言うのです。

「あんたさ、30年以上もの時を経て、いっぱいこの地を訪れることになるよ。」
「先にも小さなしあわせがたくさんある人生が待ってるから、今を思いっきり楽しんでね!!」

そんな風に言ったら、かつてのわたしはなんて言うかしら?(笑)(笑)(笑)

そんなことを妄想しつつ、当麻での時間がのんびりと過ぎて行きました。