ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 映画 舟を編む

昨日の夜は、お休みだったオットと一緒に、ちょっと前に録画してあった「舟を編む」の映画を見ました。
松田龍平くんと宮崎あおいちゃんで映画化されていたのはもちろん知ってましたが、原作が大好きなので、あんまり違っていたらイヤだなぁと…ちょっと警戒してもいました(笑)
でも、実際に見てみたら全然そんなことはなくて、逆に原作ではイメージしきれなかった「大渡海」という辞書のタイトルに秘められた壮大なロマンとか、重ねた年月の重みとか、原作ではわたしの想像力では限界があったいろいろなシーンが、映画で見せてもらうことによって、ちゃんと心に迫ってきて、とてもよかったです。
主役のお二人はもちろんですが、映画も脇を固めるみなさんもとっても魅力的で見ごたえがありました。
松本先生の加藤剛氏とか、荒木氏の小林薫氏もほぼイメージ通りですっごくよかったし、馬締くんが唯一心を開き、本音で話ができるたけばあちゃんの渡辺美佐子さんとのシーンもなんだかとっても心に沁みる名シーンでした。
個人的には、原作でも一押しキャラだった西岡くんが、やっぱり映画でも一番好きなキャラクターでした。
演じたオダギリジョー氏が果たしてイメージに合ってるのかどうか、見るまで全然想像できなかったのですが、彼がチャラ男というキャラをまといつつ、その実、ハートがとっても温かくて頭がよくて主人公を陰になり日向になり支える役をとっても魅力的に演じてました。ああ、やっぱりとっても大好き西岡くん。
細かい設定が若干映画と原作で違ったり、大好きなサイドストーリーがいくつか削られていたのはちょっと残念だったけど。
たとえば馬締さんと香具矢さんのエピソード、もっといいとこあったよなぁとか。
西岡さんが部署をさることになった時の池脇さん扮する恋人三好さんとの大事なエピソードとか。
(あっ、池脇千鶴ちゃんも三好さんの役にしては美しすぎる気がしたけど、すっごく存在感があって、その包容力は原作のままでとっても好きでした。あの三好さんは化粧を落とすと…っていう原作の設定も大好きだったんだけどなぁ。そんな彼女のことを大好きなチャラ男くんと共に、笑)
これも西岡さん絡みだけど、黒木華ちゃん扮する新しい部員が、辞書の世界の独特さに戸惑い行き詰った時に、西岡氏のタイムマシーン的機転により、素敵なアドバイスをもらう話とか。
あの辺が描かれてたら最高だったんだけどな〜でも、きっとそういうのも描いて欲しいとか思っちゃったら、連ドラにならなきゃだなぁと思ったり(笑)
映画のあの時間の中で…と考えるとやっぱり上手にまとまっていたと思います。
こうやって何年も何十年もかけて、地道な作業を積み重ね、ひとつの仕事を成し遂げて行く群像劇がそもそも大好きなのもあると思うのですが、見終わった後が本当にさわやかでHAPPYでした。
作品として芯が一本通っていて、すっごい充実感。
そもそもずっと辞書に情熱を傾けてきた先輩たちがいて、後から来た若い者たちも次第にその情熱に巻き込まれ、引き継ぎ、みんなで総力を結集して成し遂げていく感じ…すごくすごくよかったです。
最初は噛みあわなかった年齢も個性の全然違う人たちが、だんだんに心を通わせいく、そんな過程もすごくよかったです。
映画を見て、また原作を読みたくなりました。