ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 薬師丸ひろ子さんと品(ひん)

BSで放映された薬師丸ひろ子さんのオーチャードホールのコンサートの映像とSONGSを見ました。
薬師丸さんはセーラー服と機関銃の頃からずっと好きな女優さんで、好きな歌手でもある方です。
今年になってからも久々にアマちゃんで歌った一度限りの「潮騒のメモリー」には強烈に惹きつけられたし、久しぶりのコンサートということで、どんな番組になるのかとても楽しみにしてました。
実際に見てみたら、期待以上の素晴らしいライブ&SONGSもとっても素敵でやっぱり彼女の歌の世界も大好きだなあと再確認しました。
透明感のある美しい声は相変わらずで、そこに女優としての経験をたくさん積んでらっしゃるというのもあると思いますが、表現力に円熟味が加わった気がします。
終わっちゃった後ですが、ぜひぜひオーチャードホールに行って聴いてみたかったです。
(あのホールはとっても音がいいから、いつかわたしの好きな方々にもあそこでライブやって欲しいなぁ。)
どうして彼女の歌声がこんなに好きかというと、多分クラシックとポピュラーの間くらいのイメージで聴けるからなのかなぁ?とも思います。
コンサートの映像でも、着てらっしゃる衣装が声楽家のリサイタルのそれのようでもあり、形のみならず、発声そのものがほんとにまっすぐで美しくて、透明感があって、多分音大の声楽科に行かれたとしたら、全然違う道が拓けていたのではないかしら。
いえいえ、彼女、大学に入る頃にはすでに大スターでしたから、そんな未来はなかったでしょうけれど。
こうして彼女の歌を聴いていると、女優さんとかシンガーとか、肩書きはあんまり関係ないなぁと思います。
どんな仕事が主とか、売り上げが良いとか悪いとかに関らず、凄い人はやっぱり凄いのだ!
多分たゆまぬ努力で培えるものと、努力だけではどうしようもないもの、その両方がそこにある。それはその歌声に触れてみれば誰にでもわかるもので…
ここ最近、たとえばジョンレノンスーパーライブに行くたびに、なんて自分がジョン・レノンビートルズの音楽に、いえいえもっと言えば洋楽方向に無知なんだろうと思い知るということがあって(笑)
なんでなんだろう?みなさんが青春時代、これらの音楽に身を焦がしている頃、わたしは何をぼんやり暮らしてたんだろう?とずっと疑問に思ってたのですが、最近ふと気がつきました。
わたし、その時代は多分もっと本気でクラシックをやっていたんだということに(笑)完全に失念してました。それってどうよ(笑)
彼女の歌にはこのクラシック脳の方を刺激してくる何かがあって、忘れていた自分の音楽のルーツの方に引っ張られます。
こっちの方向へわたしの感性を引っ張ってくれたのは多分趣味でクラシック好きだった父ですが、この間父に会ったら父もまたこの2番組をがっつり見てはまっていたという…やっぱりなぁと思いました(笑)
父はクラシック以外はほとんど聴かないので、これは希有の出来事です(笑)
さて。
武部さんは薬師丸さんを評して、天性の声。鈴を転がすような、あたたかい声と言ってらっしゃいました。
そうなんです。音楽監督さんが、あのKinKiさんやフジテレビの音楽番組でもお馴染み、武部さんなの。
往年のヒット曲はもちろんすごく素敵で…
「聴いてくださっている方にとっては大切な思い出になっている曲たちを、自分が壊してはならない。なるべく原曲のキー、原曲のイメージを大切に歌って、ファンがかつて聴いていたものと違わないものにしたい。」
みたいなことをおっしゃっていて、それもひとつの素敵な考え方だなぁと思いました。
そうはいってもずいぶん表現力は当時より増してらっしゃいますけれど。
さらに「役として、伝えなければならないこと、そのバックグラウンドを背負って歌う場合、必要以上に緊張したことがない」ということに気付いたそうです。
そこから自分が歌を歌うということに意味を見出し、舞台で歌うことへの意欲を見つけられたそうです。
そういえば、わたしの大好きな歌い手さんもみんな、歌そのものの役?に入り込むように歌う方が多いなぁ。
ライブなんかで鳥肌が立つほど感動する時はたいていステージの人がその人であってその人でないような、神がかりな歌の世界観そのものの化身のようにさえ見える時があります。特に誰とはあえて言わないけど、多分思い浮かべている人が同じ人はいらっしゃるかと(笑)
薬師丸さんは「ふるさと」とか「冬の星座」とか「秋の子」とか日本歌曲、童謡という部類の歌も歌ってらっしゃいましたが、こちらにも、思わず涙が出るくらい惹きつけられました。
「秋の子」はSONGSでサトウハチローさんのふるさとを訪ねてましたが、サトウハチローさんという方も大好きで「小さい秋みつけた」とか時々意味も伴奏を弾いて歌っちゃうくらい好きなので、ドキドキしながら見てました。
8つ年上のオットはサトウハチローさんの生前の破天荒なインタビューを見たことがある気がすると言ってましたけど、わたしは見たことなかったです。音楽室の写真の人…くらいの印象でした。おぉ、ジェネレーションギャップ!(笑)
薬師丸さんは、これらの歌の詩をとても大切に歌っていて、郷愁に満ちた歌声は、どの世代の方が聴いても、日本語の美しさ、情感を表す言葉選びの素敵さを実感できると思います。
美しい日本語をメロディーに乗せた時のなんともいえないマッチした感じとか。ひいては日本という国の美しさ、あんまり好きな言葉じゃないけど、愛国心?のようなものが思い出されるのではないかなと思います。
シンプルに武部さんの伴奏一本で歌っているのもすごくよくて、この歌曲コーナーの武部さんの演奏共、痺れました。特に「冬の星座」の伴奏の素敵だったこと。
武部さんは大学の先輩なのですが、彼のピアノの繊細でしみじみとした美しい調べがとっても好き。あんな風に弾けたらどんなにいいだろうと思います。
その繊細なタッチはもちろん、姿勢、指の形、置き方、運び方もとっても好き。
その意味からもこの番組を録ったわたし「Good Job!」とか思ってしまいました(笑)
オットは「夢で逢えたら」がすごく好きだと言ってました。
意外や意外、彼女のためにあるような曲じゃないか!!って(笑)
原曲のラッツ・アンド・スターの歌もとっても素敵ですが、まるで違う曲のような夢見る一曲になってて、カヴァー大好きレインとしては、ものすごい宝物を見つけた気分になりました。
そしてそして…です。
思わずポチったCD。

カヴァーアルバム好きにはたまらないラインナップです。
「黄昏のビギン」なんていう往年のラブソング、ヒット歌謡曲もあって、こちらはSONGSでも披露されましたが、またすっごくいい雰囲気でしたよ。
景色やその時の男女の絵が浮かぶような美しい歌声。
蛇足ですけど、ちょっと書きたいテーマがあったのですが、それは「品(ひん)」です。
たまたまこの間ジョンレノンスーパーライブで初めてその存在感に触れ、トークや歌声に触れた井上陽水さん。薬師丸ひろ子さん。そしてKinKiさんにも共通する美点として「品」ということがある気がします。
これは作ろうとしてできるものじゃなくて、多分幼い頃から培われてきたものでもあるのだと思うのですが、品がある人は素敵だなあと思います。
たとえば、この方たちに共通して、たとえ一見ふざけているような場面でもどこかちゃんと礼儀正しくて、とっても言葉の選び方が綺麗です。
そしてにじみ出る人へのやさしさとか思いやり。人の良さ。育ちの良さ…かな?
これは金持ちとか庶民とか、いい学校を出ているとか、そういうこととは全然別の話です。
たとえば政治に携わる方々とか、日本を背負ってらっしゃる方にこそ、本来必要不可欠なものだと思うけれど、最近そういう方々に品があるとは思えないなぁ。
なんだかすさんだ世の中が浮き彫りになるにつれ、「品の良さ」が今こそ見直される時代になった気がしてなりません。
品はもちろんお金では買えないし、今日から身につけようと思って突然身に付くものでものないから、わたしなんて今からではとんでもなく遅い気もするけど?(笑)ちょっと品のいい皆さんを見習って、品のないことを言わないように気をつけたいです(成り行きとはいえ、なんてヘンテコな終わり方でしょ、笑)