ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 このしきもの、血が出るやつだ!

今朝玄関のチャイムで目が覚めました(笑)
ありえないことに、生徒が来た時間に起きたの。
しかもめっちゃ朝が早かったとかではなく、10時開始にも関らず…
世紀の大寝坊をしてしまいました。
朝からドッキリびっくりです。
オットは普通に起きていたので、オットにレッスン室に招き入れてもらって、練習してもらってる間に着替えて歯を磨き、5分遅れでなんとかレッスンをスタートさせたわけですが、こんなに肝を冷やしたのは久しぶりです。あーりーえーなーいーーーっ!!
ああびっくりした。
そのまんま3人続けて午前のレッスンをしての今。
昼食を食べて、何事もなかったかのように、次の生徒を待っているところです(笑)
さて。表題。
「このしきもの、血が出るやつだ!」
はぁ?という感じですが、これ、うちのちびっこの生徒が言ったのです。
うちの玄関マットのところで靴を履きながら「この敷物知ってる!うちのと一緒。これすぐ血が出るんだよね!」って。
ええ?なになに?よく意味がわからない。
聞いてみたら、なんでも三回続けてこの敷物のところで流血したのだそうで(笑)
家族みんな?とおそるおそる聞いたら「違う。わたしだけ」…って(笑)そりゃそうでしょ。
おてんばで、いつもあちこち転んだ傷やら引っかき傷やら、どこかにマキロンだバンドエイドだ包帯だって、ケガだらけの彼女。
どうもここのところ玄関に滑り込んでダッシュして上がろうとして流血というパターンが多いのだそうです。
そういや彼女、七五三の週に自転車ごと側溝に落ちて、お岩さんみたいに顔が腫れあがったこともありましたっけ。
「おかあさん、泣いたんだよ。なんでだろう?」と無邪気に教えてくれたこともありました(笑)
そりゃ泣くよ。一生で一回の七歳のお祝いだし、写真だってちゃんとお着物で撮るんだし。もちろん本人にとってはどこ吹く風のできごとだとしても(笑)
背が低くて手が小さくて、でも走るのが早くて誰よりもよく気がつく女の子。高校生のお兄ちゃんと6年生のお姉ちゃんがいて、フランス人形みたいにかわいい顔をしているのに、やることなすこと大胆不敵です(笑)
どんどん弾ける曲のレベルは上がっていくのに、指が届く幅が追いつかずイライラ。早く大きくな〜れ!
一方で手は十分に届くのに、カチカチで指と指の間が広がらず、オクターブが超苦手な中学生のMちゃん。
試験前だから、かえっていつもより練習したくなるんだよね〜とバッハのインベンションの暗譜が完璧なうぜーよちゃん。
試験前で、数学の試験の問題ができなくて、不本意ですが練習ができてません…とおっしゃる中学の先生。
そしてわたしは、なぜかここのところツェルニー40番が楽しくて楽しくて、弾き出すと止まりません。
ちょっと前に総復習を始めたと書きましたが、相変わらず続けてます。今は中級総ざらい。
オンタイムでやってた中学時代はとにかく大っきらいで、さらに吹奏楽をやってたから、部活の休みなんて一日もなくて、ほんのちょっと練習するなら絶対に楽しい曲の方でしょ。ソナタシューベルトシューマンはいっぱい弾いても、エチュードはほんとにさぼってました。
だからと言って弾いてないと烈火のごとく怒られるので、レッスンの時、いかに練習していないことがわかないように弾くか…そんなことばかり考えてたのに。
今はこんなにはまっているなんて。不思議〜♪(笑)
当時はショパンのワルツだのエチュードだの、シューマンの「飛翔」だの「夜に」だのに憧れて、早くそっちへ行きたくて、弾いていいよと言われたくて。
すっごく薄っぺでつまらなく見えたエチュードですが、今は弾けば弾くだけ指が気持ちよく動き、なんていうのかな、清涼感?
夢中で弾いてるうちに禅の心境?みたいな、心の老廃物がどんどん落ちてすっきり?デトックス?みたいな感覚があって、反復練習というものの気持ち良さ、やっているという充実感、その価値をこの年になってほんとの意味で知ったような気持ちになっています。
そういえば、先日生徒にお手本で弾いてあげたドビッシーのアラベスク、昔よりずっとなめらかに弾けた気がするのは気のせいかしら?
自分のレベルに合った、苦労しないと弾けないエチュードというわけでもなく、中学生の頃に一度やったものを復習しているだけなのに(まあ、ほぼ忘れてるけど。かろうじて先生が書いてくださった注意書きで時々思い出すくらい、笑)。
さらに以前よりずっと年を食ってるし、そこまで毎日ピアノに時間をかけていないわけだから、絶対に当時の方が上手だったはずですが、そのわりになぜかすっごく楽に自由に、思い通りに指が動く気がする今日この頃。
いやいや。気のせいかもしれないけど。
今のわたしで当時の超怖い先生のところにもっかいレッスンに行ってみたいとさえ思います。ほめてくれるかしら?やっぱりけちょんけちょんに言われるんでしょうか?(笑)
「だからエチュードは嫌がらず、いっぱいやった方がいいのよ?やればやるだけ身になるよ!」といくら生徒に言っても、かつてのわたしがそうだったように、時期が来なければ届かないものなのかもしれないけど。
たとえばショパンって弾くと気持ちいいのよ〜とか、リストはむずかしいけどやりがいはあるからね…というのは、わりと伝わりやすいですが、ツェルニーだってほんとは気持ちいいのよ〜!はなかなか伝わりません。
ああ、体感したことが上手にユーモラスに伝えられる技が欲しいなぁと思います。
そうそう。先日見たEテレの「亀田音楽専門学校」のように。
マッキーと亀田氏が時に大はしゃぎながら、時に真面目に、時に熱っぽく音楽のシカケについて語ってました。
あんな風な伝え方、理想です。
なんせ自分が楽しさウキウキワクワクを実感してなきゃ伝わらないと思うのですよね。
その興奮を伝える話術がなければやっぱり伝わらないし、なんと言ってもお手本がへたくそで、ちっとも魅力的じゃなければ、やっぱり一番伝わらないでしょうし…
そんなことを考えながら、防音室にたてこもり、遅くまで弾けるのをいいことに、この頃はよく夜中に弾いてます。
デザート的に弾いているのは、坂本龍一氏の「星になった少年」の楽譜です。象使いの男の子の映画のメインテーマです。
たまたま家にあったのですが、これを毎日のように弾くのが楽しみです。
なぜかどうしてもタイトルが覚えられず、今日も検索してしまった(笑)
象になった少年とか、星になった象とか…なぜかまともにタイトルが覚えられません。
と、ここまで書いたら大学生のNちゃんから「絵本をタイトルに曲を作るって宿題が全然できないから、先生見て〜30分でいいから〜」とメール。
というわけで、今日はほんとに大忙しになってしまいました。
なんだか最近は生徒がいっぱい来る日と暇な日が極端です。
それでもやっぱり教えるのはキライじゃないと思うこのごろです。
冷静なわたしは「そろそろ店じまい」と思っているのに、もうひとりのわたしはこうして生徒との日常、彼女たちの人生にちょっとだけでも関ることに大きな喜びを得ているわけで。
あればあったで面倒なことも多いですが、やっぱりなくなったらさびしいんだろうなぁと思います。
どちらにしても信用を裏切らないオトナでいたいです。どうせ大人なんてみんな信じられない…とは思われたくない。
普段はまあ週1回の付き合いだし、そこまで濃密な関係ではないかもしれないけど、本当に困った時に生徒たちが「助けて!」と遠慮なく言える場所でいたいなぁと思うのです。
なんだか最近世の中が矛盾に満ちていて、どちらを向いても「どうせ」が転がっているように感じるのですが、「どうせ」とか「しょせん」なんてボキャブラリーを使わなくていい場所にできたら…そんな風に思うこのごろです。
な〜んて…考えてみたらこのエントリーのスタートは「大寝坊」からだった。
どの口がこんなえらそうなことを言うか!という感じ(笑)わっはっは。わろとけ!わろとけ!ということで大変失礼いたしました〜(笑)