ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 西棟午前六時半 ー知らずに通った道ー

これも蔵出し。玉置さんをテーマにして書きかけてた日記です。
アップするのをためらったのにはワケがあります。
そもそもわたしやオットがこの歌に出会ったのはオットがマレーシアに先に出向した時です。
彼はマレーシアでこの曲の入ったアルバム「かりんと工場のえんとつの上」に出会い、わたしはうちの近所のレンタルCDショップで借りてきました。どちらも偶然です。
ふぇるまーたでもこのアルバムのことは何回か紹介してますが、今日は趣旨が違うのでまた紹介しちゃお。
これ↓です。

カリント工場の煙突の上に

カリント工場の煙突の上に

相談したわけじゃなかったし、偶然ほぼ同時に夫婦してこのアルバムに出会ったのだと思います。
当時安全地帯にはあまり興味のなかったわたしたちが、どうして玉置さんのこのアルバムに心惹かれたのかはわかりませんが、言うなれば、ソロ、玉置浩二は命の歌を歌う歌手で、当時海外にいて、玉置さんのふるさと北海道にも転勤で行っていたことがあるオットにとっては、ものすごく郷愁を感じるアルバムだったのだろうし、乳飲み子と幼稚園児を抱えてひとり子育てでいっぱいいっぱいだったわたしにとっても、すごく癒しのアルバムだったのだと思われます。
その中に今回のテーマ、「西棟午前六時半」という曲があります。
多分当時歌詞カードを見なかったのかもしれないし、見たけれどもあまりよく読んでなくて心に残らなかったのかもしれません。
とにかくこの曲の本質を知らないまま、そのうちわたしたちもマレーシアに行き、四年の年月を重ねる間、マレーシアのハイウエイを車で走りながらよくこのアルバムを聴いてました。
ちなみに出向当時、他にどんなアルバムを聴いていたかというと、ホテルカリフォルニアやならず者などが入っているイーグルスのアルバム、クラプトン、ZARDの「TODAY IS ANOTHER DAY」というアルバム、そしてそれらに混ざってKinKiさんのBアルバム。これはシンガポールで買った中国版でした(笑)
当時、KinKiにも興味を持ち始めた頃でした。未満都市あたりからドラマも見始めたのを覚えています。
さて。
話を元に戻して「西棟午前六時半」です。
まずは聴いていただきましょう。この曲です。

あれ?玉置さんの歌と言いながら、主に歌っている声は女声です。多分よく聴くとお分かりになると思うのですが、この曲は当時彼の奥さんだった薬師丸ひろこさんが歌ってらっしゃいます。
ちなみにアルバムのクレジットには載っていません。プライベートな参加ということなのでしょうか。
で、綺麗な曲だなあ、いい曲。歌詞が不思議だけど、なんて言ってるのかしら?くらいは思ったような気がします。
ラジオ体操のかけ声が出てきます。オトナの声、子どもの声、生活の音・・・様々です。
でも、当時はなぜかあまり深く考えていなくて、その曲の不思議さと重なり合う美声の響きだけを楽しんでいたような気がします。
そしてわりと最近になって、たまたま歌詞をじっくりと読む機会があって・・・愕然としました・・・そんな歌だったのか・・・と。
というわけで、歌詞はこちらから。
よかったらご覧になってみてください。
そうなのです。
この曲は多分、心を病んでしまった玉置さんが、病院で過ごした時の日常が描かれていたのです。
穏やかな春の日差しのような曲調。当時の奥さんの穏やかで凛とした声。やさしくてこれまた穏やかな玉置さんの声。
綺麗に重なるどこか現実感が少ない羽衣のようなタッチのコーラス。
その美しい声のオブラートにくるまれて描かれている、同じ病棟に入院している患者さんたちの様々な日常。粗末な病棟のつくりや食事。
不思議と明るい空気をまとった歌ですが、よく聴くと「赤や黄色の山盛りの錠剤」とか「いつまでここにいるのだろうか 欠けた心のまま 欠けた身体のまま」などという歌詞が出てきて、心がシンとします。
一度知ってしまってからは、この歌のさまざまがどうしてちゃんと耳に入って来なかったというのがあまりにも不思議です。
そして知らないままこの曲になぜかとても惹かれていた自分への不信感。鈍感さ。ああ、がっかりだという思い。
でもでもでも。
そんなものかもしれない・・・とも思いました。
本気で見ようとしないうちは、どんな大切なこともなかなか心に届いてこないものなのかもしれないし。
でも月日が経ち、さまざまな経験をして、今ならば前にわからなかったことも少しは実感的にわかるようになる・・・ということもあるし。
この間からずっとこの歌のことについて日記に書きたいと思っていたのですが、なんとなく引き伸ばしていたのは着地点が見つからなかったから。
でも、先日安全地帯のライブを見てきた今なら書ける気がして、このエントリーを日記に乗せることにしました。
どんなにつらい日々も明日のための今日で、様々な日々の経験が明日の自分を作っていくし、誰かの気持ちに添い、理解するための第一歩になる。
その過程で起こる様々なことの中には、今本当にこれが自分にとって必要なのかどうか迷うこともたくさんあるけど、振り返ってみればムダなことなんて多分ひとつもないはず。
そう思ったら、うまくいかないことも、みんな明日への糧になる気がしたので、そう書いておきたいと思います。
玉置さんに関するエントリーは今のところあとふたつ。
実はもう書き終わっているので、今日明日には推敲してアップしたいと思います。
残りの二つはライブの感想です。さて、余力があるうちにがんばろう(笑)