ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 自分を選んで生まれてきたよ

自分をえらんで生まれてきたよ

自分をえらんで生まれてきたよ

「胎内記憶」について始めて知ったのは、多分アネが3歳くらいの時だったと思います。
何で知ったかと言うと、当時の妊娠出産誌のバルーンとか、そういうので読んだのではなかったかな?
胎内記憶を持っている子は実はたくさんいるけれども、3歳くらいまでに大概完全に忘れてしまう。
稀に、言葉が早い子にさりげなく聞いてみると、たとえばおかあさんのお腹にいた頃はこんなだった!あんなだった!と話してくれる子がいる・・・とかって話だったと思います。
アネはほんとにしゃべり出すのが早くて、あふれるように言葉が出てきたので「もっと早くそのことを知ってたらおもしろかったのに」くらいの気持ちで捉えていたのを覚えています。
さらにオトートは極端に言葉が遅かったし、無口だったこともあって聞けず。いまだに残念なことしたなぁなんて思ったりはしてましたが・・・
そんなこんなでちらっと興味がある分野だったので、最初は手に取ったというのが正直なところです。
しか〜し!!
この本はそんな軽い好奇心を満たす本ではありませんでした。
商品の説明のところには、こんな風に書かれています。

内容紹介
りおくんは、心臓と肺に疾患をもって生まれ、これまで入院は30回以上、のべ2年にのぼります。
そんななかで、りおくんが語った不思議な話――
それは、生まれる前の世界、そしてこの世に誕生するということ。
命とは? 生きることとは? 神さまとは?……。
そんな小さな哲学者が語ったたくさんの言葉を、高橋和枝さんのイラストを交え、きれいな本にまとめました。
ページをめくるごとに、心が透明になっていくのをきっと感じることでしょう。
内容(「BOOK」データベースより)
病気をもって生まれた“りおくん”が語る生まれる前のこと、いのちのふしぎ…。ホッと心が癒される“小さな哲学者”の言葉。

りおくんは、胎内記憶だけじゃなくて、おかあさまのおなかに宿る瞬間のことや、どんなことを思って生まれてきたのか?ということも覚えていて、わたしが思っていたようなお話とは少し違っていました。
この本は、そのりおくんが発した言葉をおかあさまが拾い、まとめたものですが、たくさんの病気、たくさんの痛みと闘いながら育ってきた子どもであるはずのりおくんから発せされる言葉はどれもとてもおだやかで春の日差しのように暖かいです。
カバーのところに書いてあるりおくんの言葉は

ぼくが病気で生まれたのは、
ずっとずっと、幸せになるためだよ

と書かれています。
なんとなく「スピリチュアルな本なんでしょ?」とそこだけで敬遠される方もいらっしゃるかもしれないし、書かれていることの信ぴょう性はどうやって証明するの?なんて思い始めてしまうと、とたんにつまらなくなっちゃうかもしれませんが、わたしはそういうことはあえて気にせず読みました。
「そんなことはこの際どうでもいい」と思えたのは、わたしが最近薄々感じていた「生まれてくる意味」や、楽しく生きていくことを妨げる様々な問題をどう捉えればいいのか・・・というようなことに対する答えがとても素直に信じられるかたちでもらえたような気がしたからです。
さらに、この本は障がいを持って生まれた子の子育てをしているおかあさま方、お子さんを亡くされた方、流産の経験を持つ方、お子さんに関することで罪悪感に苛まれてつらい思いをなさっている方、そういう方を身近で見守ってらっしゃる方々にもオススメの本です。
きっと袋小路から抜け出すきっかけをもらえる気がしますし、誰もが笑顔になれる本です。
さらにさらに、ちょっと前に「出生前診断」のことについて、ちょっと考え込んでいるというようなことをふぇるまーたでも触れましたが、この本を読んで、生まれなくていい子どもなどいないし、どの子もちゃんと幸せになるために生まれてくるということが信じられるような気がしました。
本文は、りおくんのママが、りおくんの言葉をそのまま拾った詩のような文章や、話し言葉そのままの部分もありますが、彼の言葉ひとつひとつは、小さな哲学者のそれで、どのページにも希望が溢れているのがいいなあと思います。
たとえば、しんどいということや、悲しめるということはすごくしあわせなことなんだというりおくん。
しんどくてたまらなくても、その後に疲れが取れると更に元気になる・・・とか、悲しんだあとは、前よりももっと大きいHAPPYになるから、悲しみって大切。だから人は、いろんな気持ちを持たなくてはならない・・・とか。
そうそう、怒りという感情もりおくんは大切だと言っていて、怒ったあとに「ああ幸せ」と思い、その幸せが前よりも深くなるところが、怒りと悲しみは似ている・・・と言ってましたが、このあたり、ものすごく深くて素敵だなあと思わされました。

最後にこの本の中で特に好きな言葉たちを少しだけ引用させていただきたいと思います。

赤ちゃんは、どのお母さんにするか、
どんな体にするか、どんな性格になるか、
自分で決めて生まれてくるのが、ふつうだよ。
ぼくが病気で生まれたのは、
病気で生まれる子や、お母さんたちを、励ますためだ。
だから、ママは、
ぼくの言葉をみんなに教えていい。

病気になる理由は、人によってそれぞれ。
でも、ぼくのいまいえる言葉は、
病気は、体を、じょうぶにするためにある ということ。
病気をすると、新しいことが入って、古いものは飛んでいく。
あまり悪い病気だと、治療がたいへんかもしれないけど、
大きなことを学んでいるのだと思う。

さらに、りおくんのおかあさまが彼を産んでしまった自分に対してずっと罪悪感を持ち続け、彼にごめんねと思い続けることはりおくんに失礼ではないかと気がつくところ・・・そこはわたしも通った道だったので、とても共感しました。
最後は神さま(これは特定な神さまを指して思っていることではありません。強いて言えば、自分と共にいてくださる神さまとでも言うのかな?)に委ねてしまう。
神さまから見て最もいいことが行われますように・・・と願う。
ある意味結論を神さまに押し付けて放り出してる?とも思われそうなことにも見えますが(笑)意外とこの方法で成り行きにさからわず、神さまに任せたとたんにうまく行ったことが、今までにもたくさんありました(笑)
さらに「病気を持って生まれてきたことが彼にとって必要なことなら、彼が病と共にしあわせな日々が送れますように」と願うこと。
それはまさしくわたしがいつも訪れた神社仏閣でお願いすることでもあり、先天的な病気の人に限らず、天災などで過酷な運命に苛まれている人にも、突然の病に倒れた人にも、心の病と闘っている人にも、誰にでも応用がきく祈りなんじゃないかと思います。
この本が必要なひとの手にたくさん渡るといいなあと思い、書いてみました。