ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 堂本剛 十人十色 6月4日 その2

この日記は昨日書いた、その1の続きです。
簡潔にしようと思ったのに、付け加えて行ったらいつもより長くなっちゃった…という。
きのうより更に覚悟してどぞ〜っ!!
☆PINK
この曲にはつよしさん的、自分的思い出がありすぎて、いつも聴いているだけで胸が痛くなります。
地元で行われたsi:ライブの時のつよしさん。僕らの音楽でこの曲を歌ったのを見た時のドキドキ。

傷口に甘い苺 
スリ潰し舐めるの?

まだ当時断然アイドル色が濃かった人が作った歌としては衝撃だったなぁ…とか。
でありながら、当時からこの曲には心を捉えちゃって放さない魅力があって。
この頃はアシメトリーで「かわいい」「かわいい」とどこでも言われてたけど、本人どこかさびしげだったなあとか、私自身は当時かなり切羽詰まって曲を聴いていた気がするし、切実に歌を求めていたのは、心のどこかで、いつか彼が突然消えてしまうのでは?なんて思っていたからかも…とか。
目の前に今の彼がいるのに、一方で過去の彼にも想いを飛ばしていた気がします。
(ちなみにsi:の頃っていつ頃だっけ?と検索してみたら、2004年の8月ですって。もうかれこれ8年前でした。ひえ〜っ!!そんな前だっけ、笑)
今回は記憶していたのよりも若干アップテンポでしたが、個人的にはこのくらいの方が好き。
当時と比べると音楽としてまとまっていて、一見さらっと歌っているようにも見えるのに、とても心の琴線に触れる歌声でした。歌の表現力がかなり増しているようにも感じました。
この歌の詞が生まれた経緯はご本人からも何度か聞いているし、玉アリで聴いた時はほとばしる思いがあまりにもスレートに伝わって、聴いていて胸がつぶれそうになったこともありましたが、今の彼の歌はもうちょっと客観的で冷静に聞こえます。
力任せじゃなくて自分自身はものすごく冷静に見えるし、それでいて技巧に走り過ぎず、歌心、気持ちはしっかりと入っていて…ああ、あんな表現どうやったらできるんだろう…と最後は嫉妬まじりのため息が出ました(笑)大好き。
それは次の曲「街」にも感じたことです。
詞も曲もつよしさんワールド全開で、彼にしか表現できない世界だと思います。アルバムの中に入っている「PINK」というタイトルを見た時、こんな暗い曲だとは誰が想像したでしょう。
にも関わらずこんなに好きな不思議な1曲です。
バックの音は、オーケストラを聴いているかのような重厚な感じで、特にストリングスが際立って美しかったです。間奏のところの聴きなれた印象的なメロディーはそのままで、隙間なく敷きつめてあるかのような密度の濃いサウンドがドラマチックでした。


☆街
「PINK」とこの「街」では、会場のみなさんとステージのみなさんと一緒につよしさんの歴史を辿る旅をしているような気持ちで聴きました。
あとのMCで「あえてつらい部分も避けずに通りました」…的なことを言った時、真っ先にこの2曲が浮かびました。
「僕の靴音」の頃の彼のこと、この曲のPVの中の哀しい瞳を思い出した1曲です。
客席では、ところどころからすすり泣きの声が聞こえていて、ああたくさんの人が泣いてる…と思いました。
わたしは「僕が〜♪」というひと節だけで彼の歌声にすでに瞬殺されちゃって、その後はずぶずぶとつよしワールドへ沈んでいきました。
この曲も発売当時と歌い方がずいぶん変わった曲のひとつだと思います。
今回は最近で言えば、ライブCDにもなった薬師寺ライブの時のような感じでした。
このライブのセットリストは本当はあまり彼のことを知らない人にも聴いてもらえたらよかったのにとも思いました。
セットリストが彼の集大成的なものになっていたからです。
この声、表現力、そして彼が演奏している楽器の音…本当に音楽がわかる人にならジャンルを問わずきっとその凄さが伝わると思うのに、世の音楽好きにもっと届く方法がありそうな気がするのに、歌声や情報が限られたファンにしか届かず、切実によい音楽を求めている一般層にもまったく届いていないのがもったいないなくて、なんだか違う涙(悔し…)が滲みそうな気がしました。
音楽を生業とする者たちの広い広い裾野の端っこから、あらためて彼の歌声がもっと世の中に出て行きますように…とエールを送ります。
この曲のことに戻ると…
みんなつよしさんのことが本当に好きなんだなぁと言う空気が会場にあふれてました。
もちろん自分もその一人なのですが(笑)この人愛されてるなぁと思いながらその暖かい空気の中に一緒に入っているのはとっても好き。この人がずっとしあわせだといいなぁ…なんてついつい本気で思ってしまいます。
間奏のところのアイゴンさんのソロが、ものすご〜くよかったです。温かみのあるハートフルなギターソロ。『明日への希望』ってこんな音?という音が鳴ってました。
ここのソロはかなりメロディーが決まっているソロだと思うのですが、同じソロを弾くだけに、弾く人によってその人の個性が出ておもしろいです。
「鳥が飛んだ!」とメモに書いてあったのですが、はたしてほんとにこの曲だったかしらん。間違っていたらどなたか教えてください。


☆SayAnything
気泡が下から上へプクプクと上がるビジョンが印象的でした。つよしさんが客席が、巨大水槽の中にいるような気持ちになりました。
英語詞がとても心地よく耳に響きました。発音のことはよくわかりませんが、耳に残る音(おん)がとっても素敵に感じられました。
水の中を?空を?浮遊するようなファルセットがあまりにも気持ちよくて、この曲を聴きながらうとうとしたいものだと思いました。(もちろんもったいなくてそんなことはできません、笑)
これが俗に言う「つよファー波」というものかしら…!?なんて(笑)とにかく何か出てました(笑)
この曲の世界観は常々とても大きくて深いと思っているのですが、今このタイミングでこの曲を聴くとあらためてそのことを思います。
そしてこの曲と「Love is the key」で気がついたこと。
平岡さんの歌声とつよしさんのファルセットの境い目が時々わからなくなります。このおふたりの声がとっても気持ちよく混ざり合うのです。
あれ?つよしさん音域広がった?と思っていたら口が動いているのは平岡さんだった…みたいなことが何度かありました。
彼女の第一声を聴いた時には、似た声質だとは全然思わなかったのですが、聴いているうちにハッとする瞬間が何度もありました。
そして、つよしさんもあとで自分の声と平岡さんの声の相性が抜群だということに気がついたとおっしゃってました。
ふたつの声が絡まりながら対旋律を歌ったり、ユニゾンしたりハモったりするところをもっと聴いてみたいと思いました。
男声ならば相性がいい声のナンバーワンはコウイチさん…と常々思っていますが、女声ならばもしかしたらこの方かも…


ソメイヨシノ
曲の前にバックに現れる白い文字がはらはらと落ちました。
バックのスクリーンには桜。花びらをバックに少しアップテンポのソメイヨシノが始まりました。
この曲を聴きながら「清冽」という言葉が浮かんでメモ帳に大書きしてあります。
とても冷静で、清らかに澄んだ歌声だと感じたのだと思います。
はらはらと舞う花びら。包み込むようなギター。
この曲もあちらこちらから鼻をすする声が聞こえました。
この曲の中に自分の人生を重ねた人も、つよしさんのこれまでに想いを馳せた人もいるのだろうなぁと思いながら聴いてました。
「どこかで待ってる」のところ、「どこかで聴いてる」と歌詞変えをしていて、とても心に残りました。
つよしさんは安易に結びつけて考えられたくないかもしれない…と思いつつも、今回の震災で無念の想いを残してこの世を去ったたくさんの魂へのレクイエムのようにも聞こえて胸が痛みましたが、一方で時期が来れば桜はまたきっと咲く…という思いも沸いてきて、希望の光も見えたような気がしました。
お台場の頃、かなりスローテンポで歌われていたこの曲ですが、年月を経て、曲が更に進化成長して、より完成度が増したように思えてなりませんでした。凄いです。
リリースした時点である意味完成品であるはずなのに、そこでおしまいにはせず、そこからもずっと温めよりよいものにしていく、その粘り強さはものすごく尊敬しています。
間奏のところあたりのバックの音のことをわたしは「はじめちとせさん風?」とメモ書きしてあって、なんとなく奄美大島の島歌風のテイストを感じたのだと思うのですが、これがちょっと新しい感じがしました。以前からこんな風でしたっけ?違った気がするのですけれども。
終わりのところは、溜めやフェイクはなく以前と比べるとかなりあっさり気味でしたが、それがかえって心に素敵な余韻を残していていいなぁと思いました。


☆時空
キーボードの前にちんまりと座った姿があまりにもかわいくてひゃーっ!!となりました。
鍵盤に向かうかわいコちゃん(女子)たちは十分見慣れているはずのわたしですが(笑)小学生女子よりかわいいってどうよ!!(笑)
軽く足が内側を向いているのが更にかわいいです。まだ音楽が始まってもいないというのに、ただ座っただけで大興奮(笑)客観的に見たら絶対にヘンですから…(笑)
この曲の時は緑のレーザー光線がまっすぐにのびてました。
客席を照らすサーチライトのような光で、この光は次第に一点から放射状に広がっていきます。
DVDにならないかなぁ…ステージ全体を映し出していればカメラの切り替えも何もない記録用のでも十分なのだけど…
この曲では豪太氏の作り出すキレのある正確なリズムはまるで和太鼓のように重たく特別な音を鳴らしていました。
その上をスティーヴさんの自由で縛られない音が好きに泳ぎ回ってこのふたつのリズムがゆるぎない土台を作っているように感じました。
印象的だったのは多分縁を結いての時も使った鈴の音で、とても効果的に使われていた気がします。
このインスト曲は聴くたびメロディーが違っていて、ものすごく縛りの少ない、自由度の高い曲にしてあるのではないかと思っています。
わたし的に今まで一番好きだったのはCDではなくて(失礼、笑)平安神宮バージョンだったのですが、今回のもかなり好きでした。
それぞれが自由に出している音がまるで波のように寄せては返してゆき、十川さんの出す音は本流的なゆるぎない音。サスケさんやホーン隊の歯切れのいい音は素敵なアクセントになっていて。竹内くんは大きく身体を振ってダンサブルな演奏をしていました。
これらたくさんの音の上をつよしさんは時にオブリガード風に、時にふわふわと漂うように、生き物みたいな音を鳴らしていました。
この曲はインストですが、断然生(なま)がいいです。
鍵盤をたたくとどうしても指先に目が行くのは職業上の性で(笑)今回もやっぱりガン見してしまったのですが、鍵盤を叩く時の手首の位置が少し上がって鍵盤の上にほぼ平行になってました。ベストポジションです。前はもっと低かったはず。
今までの位置だと手の重みがすべてかかってぶら下がるように弾くことになるから、長く弾いていると疲れるのでは?なんていらぬお世話なことを思っていたのですが、この位置なら長く鍵盤に向かっても疲れにくくなったはず。
自分の、生徒の経験上なかなかこういうクセってどんなに指摘されても治りにくいのを重々承知しているのですが、短期間に進化が見えてさすがと思いましたのことよ。きっとものすごく努力をしてるんだろうな。
そういうところ、ほんとにすごいと思うのです。見習いたいところがいっぱい。


赤いSinger
別の日記にも書きましたが、この曲が一番今回のライブで心に残った1曲です。
「鼓動はうそをつかない」
と書いてあって、これはスクリーンに浮かび出された文字だったのかな?
自分で書いた癖にあいまいですみません。
メモには「赤」「赤」「赤」とあちこち書いてあって、よほど赤さが印象的だったのだと思います。
心臓を通う血液の赤。血液を循環させる、命をつなぐ力強い鼓動。

目蓋を落とせば
心臓が見える
君の名前は赤いSinger
生きているよを僕らは歌う

すでにここだけでノックアウトされました。
歌っている彼の横顔がなんて美しいんだろうと目はご本人に釘付け、耳は必死に音を追いながらも手は「とにかくあとから辿れる記憶を!忘れないで!」と動かしてました(まるでおばあちゃん、笑)
鼻筋が赤く浮かび上がって綺麗な顔だなぁ…なんてメロメロメロメロ…
バンマスの引っかかりのあるピアノの音がとても好きです。ちょっとなつかしくて暖かい。
つよしさんの歌声は気負い過ぎず自然な感じなのに、圧倒的な存在感で胸に迫ってきました。
この曲は詞も曲もとても好き。
そして歌い方もとても好みです。
昨年の後半、CHERIEも平安神宮もすごく楽しかったのですが、圧倒的に「歌」の力だけで聴かせる曲、声と表現力を余すところなく見せつけられる曲を聴かせるというよりも、セッションの楽しさやインストが前面に出ている曲などが多かった印象で、渾身の歌声というものに若干飢えているような感じがあったのです。
そのもやもやがこの1曲で晴れたようなそんな気がしました。
この1曲だけだったとしても聴く価値があった…と思えるようなそんな1曲だったのです。
歌い手ドウモトツヨシの実力を余すところなく発揮した曲だったのではないかと思います。
それにしてもそれにしてもです。
しばらく金縛りにあったように茫然としちゃうくらい凄かったです。
この1曲だけでも彼の歌に触れたくてたまらないのに涙を飲んだみなさんとなんとかして共有できないものだろうか!?とキリキリしながらそう思いました。
この曲が終わった後、いつまでも拍手が鳴りやまなくて会場の感動が伝わりました。うねるように拍手がやみかけるとまた大きくなります。
わたしはこの曲を聴くとお台場の「Rainbow Wing」を思い出します。そういうと友人たちは「全然似てない!」と言うのですが、わたしが似ているように感じるのはなぜなんだろう。
でもひとつだけ言えることは、あの時はあの時で凄い歌唱力だと思った覚えがあるのですが、今の方が絶対に何倍も凄かったということ。
決して力任せに歌ったりしないし、声質の良さにも頼りすぎずに、ちゃんと1曲全体のことを考えながら、隅々まで神経を行き渡らせた歌声だったと思います。
そういえばまだ「縁を結いて」の感想で全然赤いSingerまで到達していないので「あまりお好みじゃないんですか?」なんて言われたりもしたのですが、ノーです。全然ノーです。大好きです。
心臓をテーマに詞を書くなんて人は今までに出会ったことがありません。
わたしメモでは、歌の最後の方…と書いて
「いっぱいの『赤』の中、浮かび上がる十人十色」と書いてあって、これはどういう意味だったんだろう?!
あとで雑誌のレポ的なものとか、ブログなどでヒントとなる言葉を見たら芋づる式に記憶が辿れるかもしれないので、一応書いてあったとおりに書いておきます。
開き直って書かせていただくと…この感想は完成形とは思っていなくて、まだまだ途上です。
ほんとは完成形にしてアップしたいところですが、今回に限ってはスピード勝負と思ったので、途中ですが上げてしまいます。
正確だと胸を張って言えなくてごめんなさい。
とはいえ参加されている方が少ないライブなので、できるだけ正確に書きたいとも思っていて…もし参加された方で詳しく覚えてらっしゃる方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひ補足説明お願いいたします。
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