ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 阪急電車

阪急電車 (幻冬舎文庫)

阪急電車 (幻冬舎文庫)

この本はわたしではなくてオットが買って先に読んだ本です。オットがさわやかで楽しいお話だから、読んでみれば!?って勧めてくれたのでわたしも読んでみた本です。
そして有川浩さんは、アネが大好きな作家さんのひとりで、アネの部屋の本棚を見渡せば彼女の著作がぎっしり。
図書館戦争」シリーズ「植物図鑑」「塩の街」「クジラの彼」「レインツリーの国」。
たいがいのものは揃っていますが、彼女の本棚にあるということに安心して(いつでも読めると思って)わたしは図書館戦争シリーズ以外は読んだことがなく、「フリーター家を買う」のドラマは欠かさず見ていましたが、久しぶりに有川浩さんの作品を読みました。
オットは大阪出身なので、そもそも阪急電車というタイトルにとても惹かれたみたいです。
馴染みが深い阪急電車の駅がたくさん出てきて織りなされる物語にとても親近感を感じたそうで、海外出張に持って行って飛行機の中で気軽に読もうと思って買ったそうです。
実際とてもおもしろかったそうですが、わたしは阪急電車のことをちっとも知らないし、電車の駅がどこいら辺なんだか、駅のイメージがどんなんだか、さっぱりわからないので、そんなんでも大丈夫なのかしら?なんて思ったりもしました。
しかし読み始めてみたらわからないなりに楽しめて、数時間で読み終わってしまいました。
最近電車の中では音楽を聴いたり携帯でメールを打ったり、かと思うと眠りこけたり…ということが多くて人と交流することはめったにありませんが、この物語の中では、走り出したら止まるまで動きようがない電車の中だからこそ、他人の話がうっかり聞こえてしまったり、理不尽なことがあれば思わず口を出したくなったり、なにげなく前にいる人を観察してしまったり…そんなこと、あるある…というエピソードもあったりして、おもしろかったです。
物語は駅ごとに8つの章に分かれていますが、前の物語の主役が今度は次の主役に絡む脇役としてちらっと現れたり、何章か前に出てきた子のその後が描かれたり、登場人物たちがそれぞれに主になったり脇になったりするのがリアルな感じでとってもおもしろかったです。
当たり前のことですが、誰の目線で見るかによって見ている景色や状況もまるで違ったものに見えてくるし、老若男女、いろいろな人が出てくるからそれぞれの視点があって、あっちに感情移入してみたりこっちに感情移入してみたり。
以前に自分もちくりと痛い目にあった人が、今度は別の誰かを励ましていたり。
ひとごとなのに、目の前で起こっている理不尽な出来事に思わず口出ししたくなったり(実際にしたことはないですが、笑)。
盛り上がっているグループの話を聞くでもなく聞いているうちに思わず話術に引き込まれて、全然関係ないのに吹き出しそうになってあわててこらえたり(笑)
あるある…と思うエピソードもいっぱい。
どの話もほのぼの〜と読後感がさわやかなのがとても気に入りました。
ちょっと心がくたびれた夜に、その日の気分に合わせて一章だけ読み返していい気持ちになって眠りにつく…心のサプリみたいなそんな本にしたいかも。
先に読んだオットに、個人的に一番好きだった登場人物は?と聞かれて、「高校生の彼女と社会人のアホな彼氏のお話」と答えたらオットはものすご〜く意外だと言っていました(笑)
わたしは「絹」という字が読めないアホだけどとっても心がやさしくて我慢強い(笑)彼氏と、そんな彼氏にツッコミまくりで、一見強そうなのですが実は強がりなところもある、彼のことが大好きな悦っちゃんにメロメロしながら読みました。えへへ。
同年代?とおぼしき女性たちのエピソードにはちょっとドキっとしたり、言いたい放題、孫に負けないおばあちゃんにクスっと笑ったり、かわいいカップルたちに「いいな〜このコたちはこれからで〜(笑)」とため息をついたり(笑)
このお話を読んだ後は、登場人物みんながみんなしあわせでありますように〜と素直に思えるようなそんな気がしました。
中谷美紀さんや戸田恵梨香ちゃんが出演する映画が来月には封切られるみたいなので、ぜひぜひ映画も見たいです。
こんな風に短編の登場人物があとあと出てきたりするお話は、有川さんのお得意のパターンみたいで、「阪急電車おもしろかった!」と言ったら、アネが「もっとおもしろいのがいっぱいあるよ!」と言うので、今度はどれを読もうかな〜とただ今物色中です。