ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 2017年、春の奈良旅日記 その3 洞川自然研究路散策

朝拝から帰ってきてすぐに、8時頃から朝食をいただいたのですが、なんとオットは朝っぱらから5杯もごはんを食べました!!どこのお相撲さん??とびっくり(笑)

そのくらいごはんがおいしくて、おいしくて。

いえいえ、人のことは笑えません。

わたしも実はものすご〜く久々にごはんのおかわりをしました。


そもそもわたしの朝ごはんは、手作りのカスピ海ヨーグルトとにんじんジュースとプルーン1個という生活がもう震災以来ずっと続いているのですが・・・

ここに来るとおいしいのでついつい食べちゃう。

こんなところも天川マジックです。


ちなみに・・・川魚の甘露煮は、昔だったら絶対に食べなかったもの。

吉野や天川に行くようになって大好きになりました。

頭からとてもやわらかくて。滋味にあふれていて。

まさしく天の恵み、命をいただいていている・・・という神妙な気持ちになります。

朝からおだしの効いた煮物やさしい味の煮物を食べられるのも最高の贅沢です。

そうだった!いつも来るたびに思うのです。

こんにゃくがいつも、とても味が沁みていておいしいの。

どんな風にしたら、こんなおいしいこんにゃくの煮物になるんだろう?
いつかマスターしてお弁当に入れたいです。


さて。

この日は元々みたらい渓谷に行くつもりだったのですが、どうも温泉街がにぎやかだぞ?と思ったら。

Kobo Trail』というイベントが土曜日から日曜日にかけて行われるのだそうで、土曜日の朝の洞川温泉街はとてもとても活気に満ちていました。

気がつけばあちこちにのぼりがひらひらしています。


のぼりの字を裏から読もうとして『Kopo trail』って何?と聞いて、オットに「オマエってほんと天然!!」とまたバカにされました(笑)

(今回もまた、数々の勘違いエピソードを増やし、オットがそのたびニヤニヤ。格好のネタを作ってしまった、沈!)


Kobo」とは弘法大師のことで、天川村洞川温泉をスタートして、高野山金剛峯寺まで43.2キロもの山道をひたすらに走るイベントが行われるんですって。

実際に参加者が走るのは日曜日だそうですが、土曜日の午後から龍泉寺で水垢離をしたり、土曜日の夜は温泉街に宿泊して翌日に備えるんですって。

スゴイなぁ!とひたすらに驚くのみのわたしたちですが・・・


それはそれとして、お宿の方もお忙しそうだったし、みたらい渓谷散策はやめにして、わたしたちは、今回は車を宿の駐車スペースに置かせていただいて、宿から歩いて行ける範囲を散策することに決めました。


宿から歩いて行ける範囲といっても、10キロくらいはゆうに歩けるし、そもそもがスタート地点からすでにして、ずいぶん高い山だから。

十分に大自然の中に浸ることができます。

ここのところ、山を歩くことにはまっているし、せっかくだから女人結界門ぎりぎりまで歩いて行ってみようということになり、はりきって出発です。



今回温泉街を歩いていて、とても気になったことがあって。

いつもとちょっと違うこと。


それは、温泉街のどこを歩いていても、自然と耳に入ってくるはずの水音が、いつもよりずっと少ない気がしたのです。

実際、いつもなら水が染み出しているような場所が完全に乾いていたり、苔が元気がなくなってはがれていたり。

なんとなく違和感を感じたのですが、これはこの地のこの季節柄なのか、今年が特別雨が少ないのか?

あくまでも旅行者の感想だけど、水がいつもと違うなぁという感じがしました。



そうだ!ちょっと画像を載せよう!


こっちが朝の洞川。
ちょっと光線の入り方がヘンですが・・・


そしてこんな風に、ほんとにすっきりと晴れた日でした。


宿から温泉街の道をしばらく行くと、ごろごろ水の採水場があります。

わたしたちはあえて前日に飲みきったペットボトルを持って出発していて、ここで水を汲ませてもらいました。
すご〜い贅沢。



そしてこれは、帰り道。
採水場を、川を挟んだ反対側の遊歩道側から撮ったちょっと自分的には新鮮な画像です。

そしてまた車道に出て、ごろごろ水の原水のところに行ってご挨拶。

ここからはひたすら車道を歩いていきましたが、土曜日、山開きも終わっていて、大峯山に向かうお参りのツアーや『講』のバスが通り過ぎたり、いつもよりも乗用車も多めでした。

以前、たまたま通りすがっただけなのに、コーヒーをいただいたり、とてももてなしてくださった母公堂の前を通り過ぎ。

さらにずっと車道を行くと、やがて見えてきました。

大橋茶屋。

シーズン中にここまで来たのも、歩いて来たのも実は初めてだったのですが、結構大きな建物で、中で飲食もできるようで、その規模の大きさにびっくりしました。

近くにあったトイレもとてもキレイで、暖房便座も入っているのには驚きました。


画像の茶屋の建物の左側に見えているのが大峯奥駈道で、右側の端っこの方に大峯山寺があります。


これが山々の写真。

大峯山は女性は絶対に行けない場所でもありますが、なんだかとても神々しくて。

鳥になって飛んでいってみたいなぁ〜なんて子どもみたいな妄想をしていたわたし(笑)


画像の左へ左へと行くと至吉野です。


わたしが妄想にふけっている間に、普段はそんなことをしないのに、望遠鏡を見つけて、オットが100円を入れて見ようとしているではありませんか!!

オットは昨年友達と大峯山に登っているし、あの辺がかの有名な『西ののぞきだな!』とか、うれしそうに見ていて。

自分も登ったからさぞかし感慨深いんだろうなぁなんて、他人事のように思ってたら・・・

わたしにも「早く!覗いて!覗いて!1分しかないんだから!!」と急かしつつ見せてくれました(笑)


さすが望遠鏡!!そもそも望遠鏡ってこうやって使うものだった!!

遠目の誰かさんたちを観察するためにしか、最近は望遠鏡というものを使ったことがなかったなぁ!!な〜んて(笑)


久しぶりに遠くの景色にフォーカスしてみたら、それはそれは夢のような山の美しい景色でありました!!


ここは、大峯山に行く方々のスタート地点が間近にあって、この辺はまだ女の人たちもたくさんいます。

向こうから引き返してくる白装束の女性ばかりの一団は、きっとご主人たちを結界門の前で送り出した奥さまたちかしら。




そしてもうちょっと行くと、供養塔や記念碑がたくさん立っている場所があって、そこを過ぎると「ここだ!!」という女人結界門が現れます。

さすがにシーズンインしているので、見送る人、入って行く人。行者さん。般若心経を唱えて送り出すために来ていらっしゃるお坊さんなどなど。

門周辺はとんでもなくごった返しておりました。

ものすご〜く強い声で般若心経を唱えて、山への方々をかっこよく送り出したお坊さんが、行ってらっしゃい!!と別れた途端、「蜂!蜂!!」と急に人が変わったように走り出してびっくりしたり。

のどかに碑の周りでお弁当を食べるおじさんたち。

なにやら楽しそうに数人でおしゃべりしながら戻ってくる奥さまたち。

いろんなドラマが展開しているようでありました。


そうそう。

ほら貝の音があちらからこちらから響き渡っていて「さーんげさんげ(懺悔懺悔)、ろっこんしょうじょう(六根清浄)」の声もあちらこちらから聞こえてきます。

「ミーーソ ラー ラー シーラソ ラーラー♪」

どうしても階名で歌ってしまう性(さが)

むふふ。

ちょっと気を抜くと、この歌(歌じゃないから!!)が口をついて出てしまい、ぐるぐるしてしまうので、とても困りました(笑)


そしてわたしたちは門の前で引き返し、石碑の間を通り抜けて、来た道の反対側、石だたみの道から遊歩道へ。

のんびり歩いてきたので、この辺までで徒歩2時間くらい。


ここから引き返して温泉街の方へ戻ります。


先ほど歩いてきた車道とは違い、川を挟んだ向こう側はとても気持ちのよい山道です。

ほどなくオットが苦手だと言いならしている傾斜のある石階段が出てきて、落ちていた長めの枝を2本拾って、一本をわたしに手渡してくれました。


この木を杖代わりにして、足場が悪いところで付きながら行くとバランスがとてもよくて、ずいぶん助けてもらいました。


そこそこ長くてしなる枝だったので、オットはしばしばその枝を横にして『短槍だ!』とか言って振り回し、バルサごっこ@精霊の守り人(笑)

還暦過ぎたヒトでしたよね〜確か!!(笑)(笑)(笑)


たまたますれ違う人も滅多にいない場所あたりだったので、やりたい放題!子どもか!!(笑)


地面もとても乾いていて、きっといつもならぬかるんでいるんだろうなぁという場所がからっからだったりしたので。


わたしも「乾きの相が出ておる!!」とか聖導師になりきったりして(笑)

な〜にやってんだ!!な「精霊の守り人」ごっこに興じる、おバカな夫婦でありました!!えへへ。


かく言うオットは、わたしの勧めに従って、守り人シリーズを着々と読み進めていて、もう確か7冊くらい読んでいるのではないかしら?

さらに、共通の話題があったら楽しいよ!!と三浦しをんさんの「神去なあなあ日常」と続編の「夜話」も読んで!読んで!と勧めたので、この天川の旅で読んでいて。

「なあなあ」とか「なっともしゃーない」も合言葉になったりして。

至るところでネタトークをしては、笑いころげるおバカ夫婦。

神去なあなあの世界観は、天川のそれとやっぱりそっくりだと思います。


しをんさんもKinKiさんのファンでもある方だから、もしかして少しは天川も意識されたかなぁ?なんて。


もちろんその辺りは妄想ですが・・・

続編の「夜話」になると、その昔、神去の住民たちが、大峯に出かけた帰りに事故に合った・・・という痛ましい事故のエピソードが出てきます。

もしも天川に旅行に行かれる方がいらしたら、合わせてこの本を読まれるといいかも。

悲しいエピソードはそこくらいで、基本は山が大好きになること請け合いの、ユーモアにあふれた素敵な物語です。

神去なあなあ日常 (徳間文庫)

神去なあなあ日常 (徳間文庫)

神去なあなあ夜話 (徳間文庫)

神去なあなあ夜話 (徳間文庫)

そして、この物語を読んだ感想は、あちこち書き散らしているのですが、両方の感想がいっぺんに読めるとすれば・・・
この時の日記を貼ればいいかな?

オススメです。

おっと話が逸れちゃった。

山歩きとしては、帰り道のこちらの方が断然楽しいです。


たとえばこんな橋を渡ったり。



こ〜んな素敵な美しい苔を見つけたり。
  

確かここが「かじかの滝」かな?

この日、オットは歩きつつ、ずっとたくさん生えている背がわりと高いシダに見惚れていて、いいなぁ〜いいなぁ〜と繰り返していたのですが・・・

この滝の周辺で、なぜか3人の行者の格好をしたおじいちゃんたちが、はしゃぎながら、ずっとその辺りで自分たちの画像を撮り合っていて。

その方たちの手に、オットがずっとほしがっていたシダをビニールに入れたものが、握られているではありませんか!!

それを見つけた時のオットの顔ったら!!

無言で目と目を見交わして『絶対にダメでしょ!!』と思ったものの・・・

あまりにも無邪気にしあわせそうに持ってらっしゃるし、あまりにも人生の大先輩風の方々で、とても言えなかったわたしたち。


叱られそうですが、まるで巷のレイヤーさん(こっちの意味です!)のようで。

ポーズを変え、ホラ貝をぷお〜っと吹いて静寂を破って笑い合ってみたり。

わたしたちにもにっこりとほほえみかけて来られたので、もう何も言うまい・・・あいまいに笑い返して通り過ぎました。

びっくりしました!!



こんなに美しい水辺もありました。

なんだかとても幻想的。

思わず息を飲みます。



ややしばらく行くと「トウロウの岩屋」という場所が出て来ます。

ここは洞窟なのですが、近くまで行くととても冷たいです。

ひとり300円を払って、お塩でお清めをして、置いてある白衣?のようなものを羽織り、懐中電灯を持って中に入ります。

修行の場なのだそうですが、とても厳かな雰囲気。

静かなのと暗いのと、そしてちょっと怖い感じでドキドキしながら行ってきました。


ところがところが・・・

出て来たら、またくだんのおじいちゃんたちがにこにこと笑いながら、まさしくわたしたちも着た白衣を着ようとしているではありませんか!!

「トイレ行ってきていい?」とか「わしも!わしも!」「わし、ここで待ってるな」とか。

なんだかとってものどかなおじいちゃんたちの遠足という風情。

やっぱりコスプ・・・

げほげほげほ。


そんなこんな、いろんなドラマを生みつつ(笑)楽しい遠足を楽しみました。


ちなみに正確ではないですが、ほぼ9キロくらいは歩いた模様です。

宿のそばまで帰ってきたら、午後13時ちょっと過ぎ。

出かけたのが9時半だから、3時間半くらい歩いたことになります。

不思議とそんなに疲れもなく。

朝あまりにも食べ過ぎたので、お昼はいつもここに来ると必ず寄ってしまう、雰囲気の素敵な名水コーヒーの店、喫茶ともさんへ。

チーズケーキと名水コーヒーで簡単にお昼にして、ひと休憩。


この日の4時くらいには、次の宿泊地、天河辨財天のそばのペンションへと移動する予定ですが、午後の予定はほぼ未定。

ねえ、どこ行く〜!?なんてのんびり言い合っていたのですが、思いもよらぬ買い物と邂逅が待っている、不思議な展開になりました。


いい加減長くなったので、その話はまた次で。