ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

夢を見れば傷つくこともある

ここのところ、毎日のようにKinKi Kidsがテレビに出ていて、ほんと、しあわせだなぁと噛み締めてます。

とはいえ、このまんまのペースでHDDにいろいろ溜めちゃうとすでにしてパンパンなので、いつか何かが「録れてない!」という恐ろしい事故が起きそうだし、この1週間は徹底的に溜まったドラマの消化に努めてます。

笑われそうですが、朝ドラは先週から見始めてやっと10月16日まで。まだまだ先は長いぞ!言ってる間に11月が終わっちゃう・・・(涙)
コウノドリがやっと4話まで。
デザイナーベイビーは、やっと今日、最終回を見終わりました。
さて。
KinKiさんの新曲の話。

今日は表題曲から書きます。

「夢を見れば傷つくこともある」は最初ラジオで聴いたときから、とってもいいイメージを持っていましたが、CDを手にしてリピートするほどに、さらに好きになりました。

そもそもわたしは、時々とんでもなく秋元氏の詞に惹きつけられることがあります。

「おとなりにいそうな集団アイドル系」よりも「唯一無二の一アーチスト」に心惹かれるタイプなので、びっくりするほど多作な彼の作品群を辿ってみると、知らない作品の方がずっと多いくらいですが、昔から時々「ちょっと待って!これ何?」と強引に振り向かされる秋元さんの曲たち。

うんと昔のものだと美空ひばりさんの「川の流れのように」。キョンキョンの「なんてったってアイドル」。
稲垣潤一氏の「クリスマスキャロルの頃には」。菊池桃子さんの「卒業」

なんだか他のことをしながら聴いていても「ちょっと待って!今なんて言った?」と歌詞を調べてしまったり、不意にとんでもない吸引力を発揮してくるから油断がなりません。

KinKiさんの曲で言えば「停電の夜には」は初聴きからドラマが浮かんで、とてもとても好きな1曲だし「SNOW! SNOW! SNOW!」も、最近の曲で言えば「君らしく生きる君が好きだ」もドラマチックでとても好きです。

さらに一見地味な「変わったかたちの石」もやっぱりハッとする言葉を孕んでいて。
わたしの中ではとてもとても大切な楽曲のひとつです。

ちょっとだけ引用してみると・・・

たとえば「SNOW! SNOW! SNOW!」の中の

溶けてく雪のかけらを
結晶に戻せないように
掌の上 
自由が残る

という歌詞の衝撃。
すごいなぁと思ったのを今でもよく覚えています。

たとえば「君らしく生きる君が好きだ」の2番の

部屋の(花瓶)
差した(瞬間)
どんな(花も)過去になるんだ
まるでこの先の未来
切り取ったように

とかもガツーンときます。
うまいこと言うなぁと言う感じ。

松本隆さんとはまた違ったトーンで、KinKiのことをよく捉えてらっしゃるなと思う作家さんでもあって。

さすが昔からよくふたりのことをご存知だけのことはある!
変わったかたちの石」の時も思いましたが、今回の曲も、実はとても的確に、KinKiの本質を掴んでらっしゃるんじゃないかしら?なんて思わされました。


そしてやっと「夢を見れば傷つくこともある」です。

この曲の素敵なところを書き連ねておくと。

まずはコウイチさんもつよしさんも、決してソロアルバムでは歌わない曲な気がして。

そして今までのKinKiにもなかったタイプの曲じゃないかな。

これまでの王道「こんな男でよかったら」系バラードでもなく(笑)「心中バージョン」なんてファンに副題をつけられそうな感じでもなく(笑)
せつない、あるいは儚い系とも少し違って・・・

これまでにない「メッセージの強さ」も新鮮だし、こういうのもアリだね!と思わされる、とっても「いいところ」を突いてきたな!と思います。

そして何より、最近のKinKiさんのイメージにとても合っているような。

ああ、この路線もあったかも!
「硝子の少年」や「僕の背中には羽根がある」が、それまでの彼らの流れを変え、新しい可能性を発掘した曲なら、この曲にもそんな力があるかもしれない・・・なんてことをふと予感しました。

そもそもが「夢を見れば傷つくこともある」って!!
このタイトルからして、一見とっても厳しくて「聴き手」を突き放している感じがします。

やりたいことしか 
やりたくないなら
そう しょうがない

ですよ!!

これを歌詞にできる秋元さんは、やはり只者じゃないな!と思います。
普通メロディーに乗せないでしょ。これ。

でも強烈に気になる歌詞。

その厳しい歌詞を、あんなに美しいハーモニーで歌われると、ものすご〜く現実感を増すなぁと(笑)
KinKiなら言いそうだ・・・とか言ったら言いすぎ?

いえいえ、ちょっと待って。彼らを貶めているわけではないのです(笑)

さらにさらに。

もうちょっと後の

可能性は
いつだって前にある

泣きたいときには
ちゃんと
前を向いて泣け!

Cry!

この辺。
ぞくぞくするくらい好きです。

この歌の場合の「夢」はよもや大きくなったら「トリマーさんになりたい!」とか「サッカー選手に!」というようなちびっこの純粋な「夢」というような色合いでもなくて、もっと深刻で根源的な、どうにもこうにもならない悩み事を打破するための「夢」のようにも思えて・・・

この曲を聴いていて、わたしが個人的にしきりに先日来思い出しているのは、オトートが小学一年生。難病の告知を受けて頭が真っ白になってなんだか生きた心地がせずに過ごした日々。

さらにはtank初期の頃、当時高校生のアネが「学校はもうイヤだ!」「死にたい」と言ったきり学校からいなくなって、川原で震えているのを見つけた日からの数年間。

「夢なんてもう二度と見れるわけない」「ああ、もう心の底から笑える日は二度と来ないかもしれない」ととことん追い込まれてしまうくらいの大事件。

今ならあれも経験だった!と笑って言えるけれど、その断面、断面は、大嵐に巻き込まれ、なすすべもなく。

こういう絶望的な気持ちに捉われているときに、甘い言葉で「大丈夫、また夢を見れるよ!」なんて言われても、心にはとても届かないわけで。
弱りすぎているから、うっかりやさしく慰められたら、がたがたと崩れ落ちてしまうかもしれないわけで。

そんな精神状態の中では、この歌のように、強い言葉、一見突き放したような言葉だけが、崩れそうな心を支え、しゃんとしろ!!がエールとして届く気がして。

ああ、そんなことを思い出すと、この歌の最大級の「応援歌」な感じ、とてもよくわかる気がするのです。


また秋元さんとタッグを組んだ、伊秩さんの曲もいいなぁと思います。

彼の作品と言うとKinKiで言えば「SNOW! SNOW! SNOW!」や「破滅的Passion」が思い出されます。

SPEEDの曲をたくさん書かれた方としても有名で「White Love」とか「my graduation」とかも大好きでしたが一見「長調」で書いたほうが断然わかりやすそうな表現を「短調」でされるのがとってもうまい方なんじゃないかと思います。

「夢を見れば傷つくこともある」も応援歌でありながら、短調
これがすっごく効いていると思うのです。

一見冷たくて厳しいようにも見えるけど、弱った人を支える、ほんとうは力強く心優しいエール。

ほらほらほら。

どこかイメージが似てませんか?KinKiさんに!!

ファンや視聴者に媚を売るようなことは決して言わない、しない「現実を突きつけるアイドル」の彼らに!!

でも表面を覆っている見えないバリケードみたいなものが不意に取っ払われると。

芯のところはふたりともとってもやさしくて真摯で・・・実はとても温かい。

決していい加減じゃないし、実は情に厚いし、言ってることも行動も人としてしごくまっとうだし。

だからと言って、安心して度を越えて夢みたりすると、痛い目をみそう・・・というおもしろ怖さ(笑)

なんだか曲とイメージがとてもとても重なるなぁと思っていて。

そういう意味では秋元、伊秩コンビが、KinKiさんにベストマッチの、とても素敵な楽曲を作ってくださったなあという気がします。

そして、わたしがこの曲を聴いて何度も思い出す曲に、KinKiの過去曲、DMBBライブの時に生まれたふたりの作品「Music of Life」があって。
この曲とどこかトーンが似ているような気がします。

どこがだろう?
骨っぽさ。ちょっと斜に構えたイメージ?
歌い方かな?

いやいや、違う気がします。

一見すると、冷たいほど冷静な視線の先にある温かさのようなもの。
あきらめているかのようで、決してまだあきらめていない感じ。

ごっちゃにしてはいけませんが(不愉快な方がいらしたらごめんなさい。単なるたとえです!)
人として「ゲームはまだ終わっちゃいないさ!」という気がするところ・・・かも。


ミュージックステーション」で、CDTVで、そしてベストアーチストで、短い間に、三度、テレビでこの曲を歌うKinKiさんを見ました。

どれもとっても満足度が高かったですが、中でもわたしが一番リピートしているのがミュージックステーションです。

ソロアルバムの声は、まったく違うのに、KinKiになった途端、ふたりの声質がとてもよく似ているなぁと思います。本当に不思議。

2番の上ハモとメロディーが入れ替わるところを、何度も何度も見たのですが、多分ファンじゃなきゃ、途中でメロディーとハーモニーの交代に気づかないのでは?と思うくらい、声のトーンが似ている気がします。

このふたりの合わさった声が好きな声だなぁと惚れ惚れ。

そしてやっぱりこういうマイナー(短調)な歌が断然似合う、ふたりの蒼い湿った声。

ただし、あまり彼らを知らない人に教えてあげるとしたら、聞き分けるにはとってもいいポイントがあって、それは上ハモを取るときの声な気がします。

ファルセットとか、高音を歌うときのふたりの歌い方は全然違う気がして、そんなところもおもしろいポイントです。

どちらが上ハモを取るかで、聴こえてくるイメージが全然違うのです。

これは何度聴いてもとても興味深いポイントです。

つよしさんの上ハモは、ふわっと包み込むようにやさしい包容力のある声。

コウイチさんの上ハモはレーザー光線のようにまっすぐでシャープな声。

そしてふたりのパートの入れ替わりの鮮やかさ。
この辺のあうんの呼吸は何者にも替えがたいと思うのです。

ところがこの声の個性は、主旋律を歌い出すと、また全然違った色に変わるのです。

声に厚みが増して、鋼のように強くなり、とても説得力を増すつよしさんの声。
一方のコウイチさんは、メロディーラインを歌っているときの方が少し繊細でやさしい声な気がします。

瞬時に歌声が伝えるニュアンスまで変わるのがミラクルだし、ただ歌ってるだけじゃなくて、細部まで細やかに表現しようとしているのが伝わります。

そんな風にふたりの声の特徴が違うように思えても、ユニゾンになると一気にとても近づいて、やっぱりどっちの声だか容易には区別できないくらい溶け合うのが本当に不思議です。


ここのところ、それぞれのソロ活動も充実しているし、それらを楽しんでもいるしで、個人的には、そこまで切実にKinKi「だけ」を求めているようなムードでもなかったですが、ここのところの流れを見ていると、また、いろんな欲が出てくるなぁ〜なんて思ったり。

まだまだ彼らの伸びしろはいっぱいある気がして。


ハーモニーもユニゾンも、既存のものを超えていくパワーがたくさん蓄えられている気がして。

これからのKinKiさんにもいっぱい期待していたいです。

世の中もきな臭いできごとが増え、気候も不安定で台風や竜巻もどんどん増えているし、火山の噴火の懸念や地震が来るんじゃないかという不安。

いろいろ心配ごとも多いですが、こんな時代であればこそ「夢を見れば傷つくこともある」がその真価を発揮するような気がします。

今後の活動もとてもとても楽しみです。

CDのほかの曲たちに関してはまた別途触れたいです。