しばらく前になりますが、とんでもなくオトートが堪えてしまった話を日記に書いたら、たくさんの方からいっぱいあたたかい反響をいただきました。
その後、オトートくんはどうした?と聞かれることが増えてきたので、この辺でちょっとした経過報告をします。
オトートは相変わらず、同じ職場で働いています。
最初のひと月くらいはとにかく過酷で、その後もいろんな問題が噴出してきて、どうなることかと見守っておりましたが…
やっとひと筋の光が見えてきて、今はだんだんに馴染んできたみたいです。
過酷な日々だったこと、今後も過酷かもしれないことは重々承知ですが、今、生まれて始めて学ぶ、とても大事な勉強をしているかもね?という話を先日も飲みながらしました。
そうは言ってもやさしい人に囲まれて、どのグループでも最もハンディがあるのが自分で、守られ、手加減されることがあたりまえだったオトートが、初めてたくさんの障がいを持つ人や心の病気を持つ人と出会い、いろんな人のいろんな症状に触れたり、その人たちと日常を共にする機会を得たわけで。
彼は大学でも福祉の勉強をしているから、一応症例や障がい者に関わるさまざまな問題点や、その過酷さについてもひと通り知ってきていたはずですが、一緒にいることになると、紙の上とは違う感情がさまざまに沸き…とてもとてもカルチャーショックを受けていたようでした。
しばらくの間無視されていて、なかなか過酷だった、某発達障がいがある某先輩との関係は、いつしか改善されていたそうです。
最初の2週間くらいは完全無視だったのが、その次の2週間くらいで「仕事のことは話してもらえる」になり、次の2週間くらいで「困ったことがあったら相談にのります。」になり…
つい先日、何かオトートともう一人チームを組んでいた新人が何かトラブルに巻き込まれ、対策に追われたとき、もちろんその先輩は激昂したそうですが、オトートにわざわざ「怒ってるんじゃないんだからね。君に怒ってるわけじゃないから。」と何度も言いにきて、彼もまた、オトートとの事件のことを気にしているのだなぁというのが初めて実感的にわかったのだそうです。
オトートは、なぜ自分だけがこんなに気にし、苦しんでいるんだろう?という気持ちがあったみたいでしたが、実はそうではなくて、先輩は先輩で、オトートに怖い思いをさせたことをいつからか気に病んでいて、きっと彼なりに関係改善に心を砕いていたのだと思う…と言っていました。
心の中で…だけど、先輩だけ一方的に悪者みたいに思って悪かった…と今はそう思うと言ってました。
で、オトートのほうもまた、先輩に誤解を招くような言い方をしないように、とても気をつけているそうです。
もしかしたらこれからもむずかしい問題にぶつかることもあるかもだけど、それは双方向が気を使い、なんとかいい関係を保ちたいという気持ちなわけで、とても健全だと思うし、よかったね〜自分で乗り越えて!と心からそう思って乾杯しました。
先輩にも心からの感謝と、エールを送りたいです。
さらに。
その後も次々と障がい者枠の新人たちが入ってきて、気がつけば、オトートが先輩と同じ発達障がいを持つ同僚ととても仲良くなったのだそうで。
あたりまえのことだけど、この障がいの人はこういう性格って決め付けちゃダメだってことがよくわかったんだよね!とオトート。
一瞬その人が入ってきたとき、また先輩みたいに気を使わなきゃダメな人か?と身構えたそうですが…
それはいらぬ心配だったそう。
オレだって「筋ジスのやつってそういう性格だよ!」とか言われたらカチンとくると思う。ひとりひとり違うよね。
ましてや「障がい者ってああだから」って言われたら絶対に違うと思うし。
そういうところ、なんとなく病名や障がい者で十把一絡げにしがち、されがちだけど、それは大いなる間違いだね!とオトート。
そりゃそうだ!
今一緒にお弁当を食べたりしている同僚は、趣味も近く、普通の世間話もたくさんできて、楽しいそうです。
もちろん社内での関係だから、そこまで深い付き合いはしないけど、その人と仲良しになったのをきっかけに、いろんな人と少しずつ距離が縮まっていき、以前ほど針のむしろとは思わなくなったそうです。
よかったです。
さらに、金曜日。
以前の職場の営業所の先輩方が数人で本社に出張に来られ、屋上で同僚とお弁当を食べていたオトートをわざわざ探して激励してくれたのだそうで。
「オマエがいるはずの部署を訪ねたらいなかったので、やめたのかと思ってびっくりしたよ!」「屋上にいたのかよ!」「都内で働くようになってちょっとあかぬけたんじゃない?」といろいろ言ってくださったそうです。
男性の先輩も女性の先輩も、みんなが再会を喜んでくれて「がんばってるオマエに会えてうれしいよ!」「みんなに伝えておくからな」と言ってくださったのだとか。
オトートはとてもとても喜んでいました。
過酷なことがあって契約を切られた職場ですが、気にしてくださっていた方たちもいたんだなぁと心底実感したそうです。ありがたいことだなぁ。
一方で、某上司、健常者の主任の女性に一人だけ呼び出されて毎夕方終礼面接という、とってもおかしなことになっていて、それがほぼ2ヶ月続いたのだそうで、オトートはそのことをすご〜く嫌がり、怒っていて、しかもその上司の要求や注意があまりにもとんちんかんなので(毎日明日の目標とか将来のビジョンとか、そういうのをひとつずつ聞かれ、ちゃんと答えられないと帰してもらえなかったそう)どういうこと?と思っていたそうなのですが、それも試用期間終了とともに終わることになったみたいです。
他の障がいの人には猫なで声で「いいのよ、いいのよ。大丈夫。」という感じなのに、オトートにだけはとても厳しいように感じているのだそうで、なんだこりゃ?と思っていたそうなのですが
「だってあなた、別の部署とはいえ、この会社は2年目じゃない。」
って言われて驚いたという話と(やっている仕事がそもそも全然違うのに、心構えが違うはずとか、妙な期待をされるのは違うと思うととても冷静にオトート、笑)
さらにさらに。
「あなたは身体の障がいで、心は普通なはずじゃない!他の人は言ってもわからない人が多いから。言ってもわからない人じゃないはずのあなたに、期待しているからいろいろと言うのよ!」
と言われたのだそう。
なんだそりゃ!!
それこそ心の病気や障がいがある人に対するものすご〜い偏見ではありませんか!!
とはいえ、毎日おかあさんみたいな口調でくどくど叱られ、何階のどこどこさんのところに配布物を配りに行くのにAエレベーターを使ったのはダメだったのではないですか?みたいな重箱つつき系のどうでもいいことばかり言われて、それぞれについての反省の弁を述べよ…とか、まったく小学生じゃないんだからとオトート。
主任嬢(30代後半で幼児の子どもがいるらしいです。)からのくどくどメールは実に家まで追いかけてくるので、見せてもらったら、その人に「悩んでいるんじゃないの?聞いてあげようか?」と言いたくなるような…ちょっとヒステリックで稚拙な内容でした。
かなり病んでるし、伝え下手だし、ちょっといろいろと手法が間違ってる。
受け手のオットも人としてかなり未熟なら、主任の女性もまたかなり未熟。
彼女にとっては部下にはっぱをかけることが仕事なわけで、とても一生懸命、熱心なのだろうけれど、なんだかなぁ。それ、絶対に違うと思う…と心の中で思ってました。
ああ、話が長くなり、毎日帰りが遅いはずだ!と思いましたのことよ。
もちろんさすがに失礼だから、オトートにはそのことは言わなかったけど。
先週あたりで、やっとその毎日面接が終わったそうですが、本当に面接がイヤでイヤで仕方ない!とオトートが思っていた頃、ある同僚に、ぽつっと言われた一言があるのだそうで。
「○○さんだけ毎日帰りに面接してるんですね。なんだかえこひいきされてるみたいでうらやましいです。」
ええーーーっ!?
オトートは目が点になったのだそうですが、そういう風に思う人もいるってことで。
超びっくりしたけど、考え方は人それぞれなんだよなぁ〜とオトートは力なく笑ってました。
面接が終わりになって、ちょっとは早く帰れるようになって、本当によかったです。
今後のことはわからない。
いつかはちゃんと転職して、もうちょっと風通しがよく、理不尽なところが少ない職場に行きたいと思っているらしいです。
でも、今は今で大切な勉強をしている気がしているし、しばらくは一生懸命がんばる!と言っています。
金曜日は一人でご飯を食べて、オタク活動系の映画を見て帰ってきました。
昨日は一人カラオケ。
一人でも遊べるし、気分転換ができるところが彼の最大の強みかも。
もちろん友だちと遊ぶのも好き。
今は来るべき夏ライブの準備と、夏ライブで会うオタク友達との連絡や飲み会の計画に沸いているそうです。
ファイト!新人!と母は思う次第です。
蛇足ですが、これはオトートのために、何かできないかなぁと思って、以前アネやわたしが作ってもらった方にお願いして作っていただいたパワーストーンのペンダントです。
この方は関西在住の友だちに紹介していただいた、その人にぴったり合ったパワーストーンを作ってくださるお店の方なのですが、オトートの話をしたり、直接ちょっとだけ会話をしたり、生年月日や今悩んでいる話など、いろんな話をしただけで、どんな石になるかは全面的に信頼、おまかせして作っていただきました。
なので、まったくどういうものになるのかは想像さえしていなかったのですが…
できあがってきた石はなんとヒマラヤのガーネッシュヒマールというところで産出されたという水晶でした。
わたしとは直接関係ないですが「水晶」といえば…ではありませんか!!
なんだか元気が出たことは言うまでもありません…母が(笑)
「この石はオトートを守るというよりは、一緒に歩き、励ましてくれる、オトートが自分の力で歩けるように、見守ってくれ、成果をともに喜んでくれる石なんですよ!」
と言われ、なんだかとても心強い気持ちになっています。
もちろんがんばるのはオトートですが、力強い味方を得て、彼ががんばれるといいなぁと思います。
この努力が報われる日が来ますように。
上部のところについている飾りはオットがたまたま大好きで、我が家にとってもご縁がある守り神さま、スカラベ(ふんころがし)だったのも偶然とはいえスゴイです。
なんだかいろいろありましたが、オトートは元気です。
気にしてくださっていたみなさま、ほんとうにありがとうございます。今後ともよろしくです!