ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

2014.5 春の奈良 旅日記 5月18日 その2 法華寺

平城宮跡から自転車に乗って、なるべく車が通らない道を選んで通っていたら、田んぼのあぜ道のようなところもちょっとだけ通りました。
あってるのかしら?大丈夫?なんて疑わしく思いながら、路地を入ってしばらく行くと、お寺らしき土塀が見えて、土塀に5本線が入っているのがわかりました。
以前京都で、格の高いお寺ほどこの横線の本数が多いという話をタクシーの運転手さんに伺った気がします。
今回あらためて調べてみたら、五本線が最高の格式で、天皇家に連なる人が住職に入ったいわゆる「門跡寺院」と言われる寺院にだけこの5本線が許可されたのだそうです。

入り口はこんな感じです。
中に入ったら、ここ法華寺聖武天皇の奥さん、光明皇后ゆかりの格式の高い寺院なのだそうで、こじんまりとしてましたが、お庭がとても美しく整えられ、たくさんの花や木が植えられていました。


水面がとても美しくって、とても深い色で吸い込まれそうでした。

菖蒲の花もたくさん咲いてました。
本堂はこちら↓です。

大きなソテツの木が植わってました。
特に印象的だったのが、光明皇后さまが薬草を煎じた蒸気で、重症のらい病の患者さんの身体をぬぐっている絵です。
ひどい病状の患者さんの膿をみずから吸ったところ、その病人が阿閦如来だったという伝説が有名ですが、このお寺の中にその伝説の「浴室(からふろ)」がありました。
中は公開されていませんでしたが、外から見て、茅葺屋根の光月亭をとなりに見ながら、華楽園というお庭をぐるっと巡ってきました。
ご本尊の十一面観音さまは、光明皇后を模して作られているのだそうですが、秘仏なので見ることはできませんでした。

今回の旅では、光明皇后さまのお話をあちこちで聞き、この方のことが頭を離れませんでした。
平城宮跡でも確かこの方のお話を聞いたのでした。
光明皇后さまは、平城京都大路に並木を造る際に、貧しい人が飢えないようモモとナシの木を選んで植えるようにおっしゃったのだそうです。
そういえば、以前東大寺展に行った時に、彼女が寄付したとされる漢方薬が展示されているのを見ました。
仏教を篤く信心され、今も残る、たくさんの寺院の建設は彼女の存在があったからという話も聞きました。

まったく関係ないのですが、この方のことをとりとめなく考えながら自転車を漕いでいたら、なぜかビリージョエルの「オネスティー」が浮かんできて、ずっと口ずさんでました(笑)
多分、久しぶりに訳詞を見てみたら、「オネスティー」を「誠実」と訳してあって、夫が時の権力のトップにいらっしゃるような方で、ご自身も多分権力闘争に翻弄されながらも、弱者のために尽くすことも忘れなかった、光明皇后の心の美しさに思いを馳せたからだと思われます。
こんな世の中だからこそ…信じるに値する方の存在が時を越えてとても心強く感じ、しばし物思いにふけりました。

な〜んて言ってますが、この日はとても暑い日で、ここから先、通りを走っている時は猛烈に日差しが強くてぼーっとしておりました(笑)
とりあえず最短距離で薬師寺をさして走っていて、車通りがとても多い通りをガンガン走行しておりました。
帰り道は前に行ったことがある自転車道の方へ行こうよ〜と誘って、そちらへ行ったのですが、そっちがあまりに快適だったので、「なんで行きからこっちを行こうって言わないの!!」とオットがプンプンしてました。
「だってこっちの方が近道だって言ったじゃないのよ〜!」と負けずにぷんぷんしてたのは、きっと暑すぎたからではないかと思われ(笑)
まだまだ自転車操業…じゃなかった〜(笑)自転車走行の旅は続きます。