ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 雪の日のレッスン

夕べはフィギュアのフリーがオンタイムで見たくてたまらなかったのですが、今朝は早くからレッスンが入っていたので、あきらめておとなしく寝ました。
きのうの朝から降っていた雪は、夜半には雨に変わったみたいでしたが、ずいぶん風が強くて怖いぐらいだなぁとは薄々感じていたものの…
一旦寝てしまったらドン深な眠りへと数秒で落ちて、目覚ましが鳴るまでまったく起きない方なので、夜中のことはわかりません。
あとで聞いたところによると、オトートはちゃんと2時半に目覚ましをかけてフィギュアの試合の行方を追いながら起きてたそうだし、アネも遅くまで仕事をしていたらしいです。
そしてわたしが起きた時には外は風雨ともに強くて、まるで台風みたいなお天気でした。
雨でベランダの雪が溶けてることを期待したのですが、いえいえまったく。
10時には一年生のモカちゃんが来ることになっているのですが、無事来れるかしら?とドキドキ。
にも関わらず、ついつい録画してあったフィギュアの結果とか見てしまったのですよね〜
そんなことをしている場合じゃなかったのに(笑)
ああ、がんばった日本の三選手には心からの拍手を!!
日本の選手に限らず、いろんな国の選手が順位や国を超えて、お互いの健闘をたたえ合っている姿にはとてもとても打たれました。
クロスカントリーのスキー板が真っ二つになっちゃった選手に、スキー板を持って助けに行ったライバル国のコーチの話にも心が温かくなりました。
もちろん勝負そのものもとても大事だけど、世界の国々の人たちが一堂に会してスポーツを共通言語として心の交流をすることには、相互理解という意味でも、「みんな想いは同じ」ということを実感し、見ている世界中の人たちにその心を伝えるということにも…大きな意味があると思います。
そうこうしているうちにも、メディアでは刻々と雪の被害状況を伝えていて、たとえば電車の脱線事故、屋根の落下、交通の麻痺。あちこちで起こっているらしい停電。さいわいうちの方はそこまでではなさそうですが、それでもただごとではない感じが次第にはっきりしてきて、テレビなんて見ている場合じゃない…と重い腰を上げました。
(オトートの学校の方は記録的なとんでもない雪になってました。テレビで100年ぶりとか言ってました。雪国か?というくらいのとんでもない雪です。4年生でよかったです、笑)
あまりに風雨が強かったので、新聞を取りに行くのもためらわれたのですが、そうも言っていられないので、とりあえずスニーカータイプの長靴を履いて玄関を開けたらびっくり。
門扉から玄関までの段々が完全に埋まって段差がなくなっているではありませんか!!
24年くらい住んでますけど、こんなことは始まって以来です。
先週の大雪よりはマシだろうと思っていたのですが、いえいえとんでもない。先週よりたくさん積もってます。うちの方で多分25センチ?30センチ弱くらいかな?
新聞を取ろうと一歩を踏み出したら、長靴ぎりぎりのところまでズボっと入っちゃった。うっひゃー!!これは大事です。
最初に来るのが120センチくらいのちびっ子なので、とりあえず玄関までの道を作ってあげないとくじけてしまうかもしれない…と思いましたが、雪かき用のシャベルを車庫の一番奥にしまったことを思い出しました。
車庫は家にくっついていますが、段々を降りて一瞬屋根のないところを通らなくてはなりません。
その時のわたしはセーターの上に厚手のフリースという恰好だったのですが、えいやーで段々を降りたらずぼーっ!ずぼーっとはまる、はまる。ああ、長靴が役割をはたしてくれません(笑)
しかも横殴りの土砂降り。こんなに雨が降ってるのに、雪はいっぱい積もったまま。
こんなに雪が深いと思ってなかったので驚愕しつつ数秒外へ出ただけなのに、雨に濡れてシャワーを浴びた人みたいになっちゃった(笑)
これだけ濡れたならとあきらめて、まんまちょっとだけ段々の雪をどけました。
幸いにも雪は全然硬くなかったので、すいすい押して行けましたが、道にできた車のわだちのところまで雪のないところをつなげようと思うのに、あまりに雪が多過ぎて一向につながらず。
そうこうしているうちにオットが出てきて代わってくれたのですが、レッスン5分前だというのに、髪の毛もフリースもありえないくらいびっしょびしょ。
ほんとびっくり(笑)
幸いにもなんとか髪の毛を乾かしたところでモカちゃんが来て、事なきを得たのですが、ほんとにびっくりしました。
そのモカちゃん、実は今日は振替レッスンで、本当は木曜日の夕方、一回うちの前まで来ていました。
うちの前まで来た時点で泣きじゃくってて、送ってきたおばあちゃんが途方に暮れてらしたので、仕切り直しで土曜日にまたおいでといって手を握ってさよならだけして帰したという経緯があって…
何があったのかはその時はおばあちゃんもおっしゃらなかったのですが、前の週ご家庭で不幸があって、学校もピアノもお休みをしていたし、きっといろいろ気苦労もあって疲れ果ててるんだろうなぁと思ってました。
実は前にも何度か泣きながら来たことや、2週間風邪で休んだらはじめましてに戻っちゃって、一瞬ピアノ部屋に入るのをためらったりしたこともあったのです。
そんなこんな、ちょっと繊細なお子さんなのだということはよ〜くわかってます。
だから予定変更は想定内として…今日に限ってあいにくの風雨で、本当に条件は最悪だし、大丈夫かなぁ?とずっとドキドキしていたのです。
そしたら彼女、ものすごい横殴りの雨風をものともせず「せんせー!!すっごい風だよ!!」とけらけら笑いながらやってきて「ママ、またあとでね〜」と自分からレッスン室へずんずん入っていきました。不思議〜♪
木曜以来、出してた課題が難しすぎたかしら?とか、なんか言ったかなぁ?とか、時間の経過とともにいろいろと心配していたわけなのですが、今日聞いたら、木曜日、ピアノの前に学校の宿題をやっていて、繰り上がりの足し算がうまくできなくて、おばあちゃんと喧嘩して泣いちゃったんですって(笑)それが後を引いたまま来ちゃったからああなったと。
ああ、ピアノやわたしがイヤだったわけじゃないのね。よかった〜とひと安心(笑)
「先生、ほんとむずかしい子ですいません。」とおかあさまはおっしゃってたけど
「経験上知ってるんですけどね。繊細でおかあさまがどこかむずかしいと感じるような子は、たいてい音楽にとっても向いてる子でもあるのですよ。」
と返しました。
他にも何人かうちの教室の卒業生や今いる子たちの中にも何かと物事を感じ過ぎてしまうような、考えすぎてしまうような、繊細で一見扱いがむずかしいような子もいますが、みんなすっごく個性的で表現力が豊かで、成長するにつれ、ものすごくいいピアノを弾くようになっています。
お迎えに来られた頃はもう雨が小降りになり、ご近所もみんな出てきて雪かきが始まった頃でした。
何もあんな最悪の条件の時に出て来なくても…という時間に来ちゃってすみませんでした〜でも、モカ的にはこんなあり得ない嵐の中、ずぼずぼはまりながらピアノに行くって言うのはすっごいビックイベントで、わくわくしながらピアノに来れて結果オーライでしたね〜なんておっしゃってました。
ほんとにね〜
そのあとの6年生にはバレンタインのチョコをもらってハッピー♪
午後からは中学2年生の子が30分近く歩いてほっぺを真っ赤にしてやってきましたよ。悪天候で運動部の部活もお休みになったというのに、ピアノは来るものだと思ってた。休むという選択肢は考えもしなかったし!!…と言ってくれてちょっと感動。
「だってもう1週間この曲やるのもうヤだし。今日見てもらえば絶対上がると思ってたし」って。おお自信満々!上等上等!!(笑)
最後の幼稚園の先生のKちゃんはやっぱりキャンセルでしたけど…時間前にメールを入れてきただけでも良しとしなければ。
とりあえず今回は「わかりました。」の後に「次はどうする?」という一言を付け加えるのをやめにしました。
雪に阻まれてほんとに運が悪かったとはいえ、6回続けてキャンセルを繰り返して、その半分は連絡すら取れないというのはやっぱり普通の事態じゃないし、他の生徒たちを見ていても、天候がとか練習をしているかどうかとか、そういう問題じゃなくて、レッスンに来たい子はどんな悪条件であれ、苦にもせず、当然のようにちゃんとやって来るということがよくわかったからです。
少なくとも今はあんまりレッスンの必要を感じてないのだろうなぁ。
なんだか別れ話を切り出されそうな恋人みたい(笑)カッコ悪…と自虐的になる土曜日の夜。
そういえば、モカちゃんの振替の相談をしていた時に、隣にいたのが、最近6年ぶりにレッスンに帰ってきたTちゃんでした。
彼女は今、またピアノを習えるしあわせを満喫中で、何を弾いても何を聴いても楽しくて仕方ないといった風情です。
そのTちゃんが、「ね、先生。わたしもさ、一年生の時、泣いちゃってレッスン室に入れなくって、幼稚園児の弟についてきてもらったことあったよね?覚えてる?」と言いました(笑)
ああ、あったあった!すっごく恥ずかしがりやだった彼女は、おばあちゃんやおかあさんについてきてもらわないと、なかなか一人でレッスン室に入れなかったのです。その時も相当苦労しましたっけ(笑)
その日はおかあさんもおばあちゃんもたまたまご用があって、2つ年下の弟の手を握りしめてレッスン室に入ってきました。
「あの時さ、勝手にくっついてきた弟にも先生、ご褒美シールくれたよね」って今ではすっごい笑い話。その時の弟も今では高校のサッカー部の精鋭です。
モカちゃんかわいいね。だけど先生って大変なんだね!わたしが言うのもナンだけどさ。とTちゃん。
むふふ。10年以上も経ってTちゃんとこんな話を繰り広げることになろうとは!!(笑)
モカちゃんともいつか笑ってこんな話するんだろうか?
ああ、歴史は繰り返す。
まっすぐに行かないことも多いからこそおもしろいことも多いわけで、楽しんで行こう!そう思った土曜日でした。