ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 十人十色 水声 奈良100年会館 10月22日 (その2)

ずいぶん時間が開いてしまいました。
あまりにもスケジュールがキチキチでどうにもこうにも時間が取れずにいました。
そんなことが容易に想像できたので、今回はいつもよりていねいにメモを取ったのですが、字がぐちゃぐちゃにせよ(笑)それが功を奏してか、意外と書き始めたらちゃんと覚えてました。
ライブの感想は今後あと一回分の日記で完成の予定です。
実は先週の金曜日、絶好の「感想を書くタイミング」がやってきて、今だ!と思ったのですが、テレビをつけたら「君に届け」をやってました。
子どもたちが大好きなお話ですが、わたし自身は全然見るつもりはなくなんとなく画面を見ていたら、最初の方で黒沼爽子ちゃん役の多部未華子ちゃんのおでこに桜の花びらが貼りついている場面があって、それが強烈に奈良ライブの「ソメイヨシノ」から「街」への一場面を思い出させて思わず全部見てしまったという…
もちろんつよしさんは出てきません(笑)
それって何のこと?という皆さんは、続きを読む…からへGo!(笑)
子どもたちによれば、この映画、原作はもっともっと全然おもしろいとのことでしたが(笑)わたくし、この映画でも十分にキュンキュンしながら見てしまいました。相変わらず少女趣味ですみません(笑)
そんなおバカな日常の中ですっかり遅くなってしまった続きの感想。
いまさらじゃない?という声も多分にあると思います。そんな方は華麗にスルーしてくださいね(笑)
KinKiなFMのことやこれから始まるA面な季節の話題の方でお目にかかれたらと思います。
一方で拍手コメントやメールで「続きも待ってるよ!」「レインのを読まなきゃまだまだ水声は終われない…」なんて光栄なことをおっしゃってくださる方もいらして、本当にしあわせなことだと思っています。
いつも拍手や拍手コメント、スターをいただいているみなさまがた、本当にありがとうございます。
拍手コメントも隅々までちゃんと読ませていただいてます。
ちょっとずつ落ち着いてきたところなので、レスはもう少々お待ちくださいませ。
この感想はその1からの続きです。
ここから目にされた方は前の文章からお読みいただくとつながりがわかるかと。

☆時空
一瞬の暗転のあと、キーボードの前に座り音を鳴らし始めるつよしさん。
ピアノから一直線に一本のレーザー光線が客席側に伸びていて、それがとっても綺麗でした。
最初彼の音から始まった音楽は、曲の進行とともにだんだんに厚みを増し、レーザーの光、照明もまた音に連動して多彩になり、映像では水面の右から左へ水の波紋が伝わり流れてゆきます。連動してレーザーも四方八方へと広がりを見せます。
この日の「時空」はシンセサイザーのピコピコ音が常に鳴っていて、宇宙を思い起こされました。
この音が、今までにいろいろな場所で演奏されたこの曲の、大河ドラマのイントロのような壮大さ、和な感じとはまた違った印象を運んできました。
テクノな音。過去から未来へ。地球から宇宙へ。宇宙から地球へ。
「音と光のページェント」とどこかからパクってきたかのようなメモもあって、自分で読んで笑ってしまったのですが(笑)レーザーや照明の美しさと鳴っている音の多彩さに時間軸を越えて、別の世界をあちこち旅しているような気持ちになっていたのだと思います。
途中で珍しくショコラ嬢が「ねえ、顔見て!顔見て!超かわいい。綺麗」と興奮気味に言ってきて、ふたりで双眼鏡をのぞいて「ひゃ〜っ!!なんてかわいさ」とメロメロしました。
わたしたちはキーボードに近い側だったのでわりと目の前であの美しい顔が見れて大満足(笑)
うわん、おぼっちゃま!美男子!美麗!しゅてきすぎ〜(はあと)
むらさきの照明の中浮かび上がる静かな横顔は、いつもとちょっと違う感じで、とても心に残りました。
シンセのピコピコ音と対峙するようにホーンの鋭いカッティングが入って音楽に絶妙のスパイスを与えます。
さらに、舞台左手で満月のお月さまのように浮かび上がる大太鼓。幻想的です。
太鼓を叩くレナードさんはどこかファンタジーの勇者みたい。
彼がおなかに響く包容力のあるドーンという音を鳴らすと、水に波紋が広がるような映像が広がって、さらにイメージがふくらみます。
この太鼓の音が、いつもより更にこの曲に包容力と説得力を持たせていたように思いました。
最後の方はつよしさんのキーボードはていねいなテヌートで、一音一音、大切に大切に音を置くように鳴らして終了。
余韻の残る素敵な演奏でした。


ソメイヨシノ
「産声をあげた日 ぼくたちは水を奏でた」
このテロップを見たとき、始め「縁を結いて」かな?と思ったら違いました。
文字はもうちょっと長かったのですが、書きとれず。
最後文字列が崩れて、一文字ずつばらばらに「はらはら」と落ちて、その様子がまるでさくらの花びらみたい…と思っていたら、まさしく「ソメイヨシノ」が始まりました。
この演出、とっても心に残っています。素敵だったなぁ。
始まった音楽は正統派な感じ。テンポがわりと速めでわたしはこのくらいの方が好き。
つよしさんは座って歌ってました。
左足を右に流して組んでいて、着替えたわけではないのですが、一見するとまるで着物を着ているみたい。書生風…とわたしメモ。明治大正のオトコみたいでカッコイイ。
バックの映像は桜でした。花びらを万華鏡みたいにデザインしていて、この映像もとても綺麗でした。
歌声はとってもていねいですが飾り過ぎず、テンポがいいのでさらっとせつなく。
途中はらはらと桜の花びらが降ってきて、つよしさんの肩に髪に舞い降ります。まるで映画のワンシーンです。
1曲1曲が素敵なストーリー仕立てになっていて、短編小説を読んでいるみたい。
前髪の中にピンクの花びらが一枚しがみつくようについていて、髪をかきあげても取れないのですが、これがとってもステキな効果をあげてました。
花びらナイス!
そんな中次第に彼の歌声の力が増し、急速に引き寄せられて胸をがしっと掴まれたところ、絶妙なタイミングでこのあとの「街」へと続いていきます。


☆街
この曲は「東京フォーラム」で行われた他流試合!?(笑)以来、ますますイントロを耳にしただけできゅーんとなるヤバイ曲になっていて、今回もまた心が震えました。
前曲ソメイヨシノの時におでこのあたりの前髪に貼りついた桜の花びらが奇跡的にずっと貼りついたままでいて、映像の幻想的な雰囲気と相まって、彼のどこか儚げなビジュアルに更に素敵な効果を添えてました(笑)
映像は水面に薄明かり。日本という国の四季折々の美しさを思いました。
この曲もオリジナルにかなり近いテンポで、アレンジも崩さずオーソドックスな感じで歌われましたが、それが逆にとっても新鮮。
「近頃の『愛』やけに狭く映るな〜♪」と歌詞変え。
夕焼けの空に渡り鳥かな?画面の向こうから鳥の群れが飛んできて飛び去ってゆく映像。
ああ早く帰らなくっちゃ…という子どもの頃の感情が不意に蘇ってきました。
バックのみなさんがとても感情のこもった郷愁漂うお顔で音を鳴らしていらっしゃるのが不意に目に入りました。
彼らの表情にも胸を掴まれます。
名越さんの弾く間奏のフレーズの胸を打つこと。大好きです。
この曲は若者の心をテーマにした曲かもしれないですが、本当の意味でこの曲が刺さり、この曲に励まされるのはむしろ今現在必死で社会を背負っている、もうちょっと上のわたしたち世代かもしれない…なんて思ったり。
初めてドラマで聴いた頃から比べて、この曲のなんと育ったこと。
ドラマを見ていたのが2002年だから、そろそろ10年が経ちます。
最近のヒット曲は回転が速すぎて長く味わうということがしにくい世の中ですが、こんな風にこの曲の進化を長きに渡り一緒に感じられるしあわせを思いました。


☆縁を結いて
前回の十人十色ではいっとう最初がこの曲でした。
もちろんその時も十分素晴らしかったのですが、もうちょっと喉が温まってからこの曲を聴きたかった…と書いたことを覚えていて、その望みが叶って絶妙な場所にこの曲が入っていました。
多分まだ聴く準備が十分にできていなかったわたしの方の問題かもですが、今回の順番の方が個人的にずっと好き。
平安神宮の時はつよしさんが泣いて歌えなくなってしまったし、この曲だけはまだ聴くべきものを聴いていないようなもやもやした感じが残っていたのですが、今回、この曲を聴くために呼ばれたかも?と思うくらい、この曲のことがいつまでも耳に心に残りました。
素晴らしかったです。
テロップは確か歌詞で、最後の一行が「水海天地球体…愛」。
この「愛」にジーンとしました。
白いスポットがひとつ。シンプルな演出が更に胸を打ちます。
最初はシルエットだけに見えました。
イントロはswingoさん。十川さんとはまた違った味。
こんな風に奏者が変わると歌も音も変化して、いろいろなバージョンで聴けるのがまた楽しいです。叶うかどうかは別として、今後この方のピアノで聴いてみたいと思う方の筆頭は武部さん…彼の手にかかったらどんな音になるのかな。
歌声が始まったらちょっと感じが違う。この日は低音がいつもより更に落ち着いた響きに聴こえて、どっしりと地に足がついた歌声でした。
あとで「最近風邪をひいた」という話が出て、そのわりに声にまったく影響がないように思えたので心底驚いたのですが、あとから考えるにもしかしたらちょっとだけあえてキーを下げていたかも?と思いました。
だからと言って高音が響かないとかそういうことではありません。かすれもしなければ出しにくそうな感じもなく…歌声に関しては「完璧」を求める彼らしいこだわりなんじゃないかと思ったのです。
あとで会場を出てから、ショコラ嬢とあまりの感動に黙りがちに歩いていた時に、近くを歩いていた人がやっぱり調性がいつもと違った気がする(音を下げていたのでは?)という話をされていて、やっぱり同じことを思っていた人がいた!と思いました。
何にせよ素晴らしかったです。今回のこの音源、ライブCDで出してくれないかしら。
照明の色は気がつけば青紫になっていて、美しかったです。
いつもよりやや長い間奏があって「水ひとしずくが〜♪」からの一番いいところは、思わず目を閉じて聴いてしまいました。
歌声を演奏を身体中に隅々まで行き渡らせたい…なんて思ってしまった乙女心(ドあつかましい、笑)
シルエットだけで終わる…とわたしメモ。
3月にとんでもない出来事が起きて一変してしまったわたしたちの生活。
テレビに釘付けになって、ただただ放映される映像に目を見開いて一緒に泣くしかなかった春。
節電と原発事故のさまざまが日々明らかになって、無くしたものの大きさと自分たち人間のなしたことの責任の重さに茫然と立ち尽くした夏。
日本の、地球のこれからをやっと考え始めた秋。
そして今日。
わたしは直接被災したわけではないし、ただただ目の前に起こっていることに目を見開き、感じていただけですが、そんなわたしでも日々心が折れそうになって、暗澹たる気持ちになりました。
そんな日々をそっと支えてくれたのはこの曲だったような気がします。
どうしても浮上できない気持ちになるたびエンドレスで一曲リピートにしたまま1時間とか…そんな日も何度もありました。
この曲が共にあってくれて本当によかったなぁと思います。
そして目の前で歌われたこの曲は、CDのそれをはるかに超えて胸に迫ってきました。
つよしさんの歌声はていねいでちゃんと隅々まで心が入っているのはもちろんのことですが、決して力まかせではなくて、プロの歌手が歌う歌として神経が行き届いて十分に計算し尽くされてもいて、そんなところにも打たれました。
鳥肌がたつような感覚の下、曲が終わるといつまでもいつまでも鳴りやまない拍手。
多分ここで切れてアンコールなのだなぁということは容易に想像がついたのですが、それでも我に返ってお水を飲んだり汗を拭いたり…そんなことをする気にはなれず。
ただただ「この気持ち伝わりますように!」と一生懸命に拍手を続けてました。
まわりもみんなそう。
今目の前で歌われた音楽に圧倒され、茫然としていたのか声を出す人も少なく、ただただ拍手だけが会場にいつまでも響き渡り、そしてそのまんまアンコールに突入です。
そうだった、本来アンコールってこういうものだった…なんて、そんなことを思いました。