ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 唐招提寺

芸術新潮 2009年 12月号 [雑誌]

芸術新潮 2009年 12月号 [雑誌]

 大切な友達のひとりから、素敵な贈り物をいただきました。
 芸術新潮12月号です。
 表紙に大きく「唐招提寺 よみがえる天平の甍」と書いてあって、横に「金堂平成大修理記念特集」と書いてあります。
 ページをめくってみると、この間つよしさんが主題歌「昴」を歌ったTBSの番組でも紹介された唐招提寺の大修理のことについて、本当に細かく触れられています。
 何より雑誌が「芸術新潮」だということもあるのでしょうが、ひとつひとつの写真がとても美しいです。
 雑誌のほぼ半分くらいが唐招提寺についての記事で埋まっていて、修理のことについての記事、鑑真についての詳しい記事のほか、唐招提寺の国宝御三尊が、全体像のほか、気になる部分の拡大写真も含め何ページにも渡って載っていたり、軒下の「隅鬼」が2ページに渡りアップで載っていたり、眺めているだけで唐招提寺に行った気分になれる素晴らしい内容です。
 そもそも仏像を見に行っても、そんなに長々見てはいられないし、伽藍はたいがいうす暗くて、目が悪いのも手伝ってあまり細部にわたって詳しく見ることができません。しかし、こうして写真で見ることができると、仏さまの表情から手の形光背に描かれているものまでもが、とてもクリアーに見ることができて興味深いです。まるで双眼鏡で眺めているような気持になります。実際にはこんなに細部まで、とことん手が入っているのだなあと思うと驚嘆させられます。作り手のどれだけの思いがこめられているのでしょう。
 なんと言っても興味を惹かれたのが、今回の大修理で一度解体された千手観音立像の千にも及ばんとする(と書かれてます!)手が並んでいる写真です。
 これを並べるだけで1か月もかかったそうですが、腕一本一本に符号をつけて、外した場所と順番を記録して修理後元に戻していくのだそうです。
 ひとつひとつの腕には、穴に細い棒のようなものが刺さっていて、その棒にも番号を振り、釘の場所や刺さった角度がわかるように木釘やピンでマークしたのだそうです。さらにその1本1本にレーザー光線を用い、手の位置や角度などの数値を正確に測定していったのだそうです。
 なんという地道で恐ろしくこまかい作業であることよ!!
 あたりまえですが、全部ばらばらにしておしまいではなくて、これを元通りに戻していく作業もあるわけで…これらの作業に携わった方々に尊敬の念を覚えます。さぞかし根気のいる作業だったことでしょう。
 誌面にはX線写真が載っていて、創建当初からの釘跡や大正時代にゆるんでいた手を締めるための無数の釘のあとも見えます。しかもこんなにたくさん釘が打たれているのに、表面には一切亀裂がないのですって。すごいです。
 そんな細かいあれやこれやが載っているかと思うと、夜のお寺と雲の合間からひっそりとのぞくお月さまの静かで美しい写真があったりもします。
 あまりにも見どころ、読みどころがたくさんある雑誌だったので、日記で紹介させていただくことにしました。
 夜眠りに落ちる直前に、ちょっとくたびれた昼下がりに、この雑誌をパラパラめくるととても心やすらかな気持ちになれます。また行きたいなぁ。唐招提寺。来年行く機会があるといいなぁ…はぁ。
あまりに気にいったので、先日は大切な友達の誕生日のプレゼントとしてもう1冊手に入れました。多分まだ書店にもあると思います。
 先日のドラマやつよしさんの「昴」がよかったなぁ〜としみじみされているみなさまにも、ぜひぜひお勧めの一冊です。