ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

 風が強く吹いている

 このお話が映画化されると聞いてからというもの、早く見たい!早く見たい!ととても楽しみにしていました。
 なぜって三浦しをんさんの原作が本当に大好きで、それこそ何人もの人に勧めたかわからないくらいです。出版社の回し者?ってくらい、あちこちで宣伝しまくってきたのです。だって本当にいい話なんですもん(笑)
 ありがた迷惑かも!?と思いつつも、アネにオトートに姪っ子に妹に、友達の家族に、KinKiファンの友人に…いろいろ回しまくって、昨日から今度はご近所の家族4人で読みたいと言うのでまた回したところでした。
 そんなに好きな原作の映画化なので、期待し過ぎてがっかりする内容だったらイヤだなあと予防線を張っていたのですが、そんな心配は無用でした。
 映画版も本当に素敵な内容で、夢中で見ているうちに、あっという間に終わってしまいました。
 原作と全く同じではないところがいくつかありましたが、本は本として映画は映画として十分楽しめるし、映画が原作の素敵なところを台無しにしたりもしていませんでした。
 今日はアネが中学高校時代の友達たちとディズニーシーに行ってるので、オットとオトートと3人で見に行ったのですが、最初オットは全然乗り気じゃなかったのに、出てきたら「すっごくよかった!」と言ってましたよ。
 「箱根駅伝の話!?きっと地味でドラマ性の薄いものなんじゃ?」と思っていたそうですが、全然そんなことなくて感動したそうです。
 エンドロールが流れても席を立つ人がとっても少なくて、最後の最後までしみじみといいシーンだったせいもあるかもですが、素敵な余韻を楽しめる本当に素敵な映画でした。
 本でも大好きだったハイジ(名前もダイスキ!)役が小出恵介くんだったのもすっごくイメージに合っていてよかったし、走(カケル)役の林遣都くんも走りが本当にサマになっていて、本物のランナーのようでした。
 途中せりふがなく、10人の選手ひとりひとりに次々ライトが当たっていく場面があって、ジーンとしました。全員が唯一無二のとても大切なチームの一員と思える素敵な演出でした。
 また、画面や音で、強い風を感じることができる場面がいくつかあって、そういう演出もとてもよかったです。
 「長距離を走るために一番大切なことは、速いことではなくて強いこと」と言うハイジのセリフは、原作の時もすごく好きだったのですが、映画でもとても心に残るシーンでした。
 何年もその世界に身を置いて「走る」ということのむずかしさや厳しさを知っているからこそ「絶対無理だ!」と断言し、無謀な挑戦をやめさせようとするカケル。
 そのカケルがハイジという人の本質を知っていくうちに、全面的にハイジに信頼を寄せ、ただただ一生懸命走ることでハイジの想いにこたえ、チームを引っ張っていく姿もとても心に残りました。
 一方で、10人の性格を知りつくして、メンバーの栄養や体調管理から、練習メニューの管理、心のケアまで一挙に引き受けて、暖かくみんなの気持ちを受け止めながらも、決して箱根への想いを投げださずあきらめない、その精神力の強さや牽引力にも心打たれました。
 ハイジがアオタケのメンバーひとりひとりと向き合っていくやり方は、駅伝に限らず「育てる」ということに携わっている者にとってとても大切な何かを持っている気がして、いろいろと考えさせられたりもしました。
 すでにうちの近くの映画館では、どこでも夜1回上映になっているところが多くて、もうちょっと早い時間をと探した結果、埼玉副都心の中にある映画館まで行って見てきました。
 この映画をオットみたいに「ただ駅伝をしているだけの話なんじゃないの?」と思って先入観だけで見ないでいる人たちがいるとしたらとっても残念なことだと思います。
 原作ファンにも、そうでない人にも…とってもオススメの映画です。
 実は見たかったのよ〜という方はお早めに〜。やっぱり宣伝マンになってしまいました(笑)
PS:この映画の原作はとても分厚い本なので、映画の短い時間の中では、語りつくせないエピソードもたくさんありました。
 限られた時間の中では、これ以上エピソードをたくさん入れると散漫になってしまうだろうし、十分まとまっていてよかったとも思いましたが、このままのメンバーでドラマ化とかされたらどんなにいいか〜なんてちょっと真面目に思ってしまったわたしです。
 10人の箱根挑戦を、連ドラで時間をかけてじっくりていねいに見れたら、毎週とても楽しみなドラマになりそうな気がします。