ふぇるまーた2

かたよらず、こだわらず、とらわれず。好奇心のおもむくままにどこまでも。

[仕事] 恋人?!

 受験のためにほぼひと月ほど休んでいた生徒、Rちゃんがやってきました。無事公立高校に合格したそうです。
 さて、中3の3月になったということは・・・4月からピアノをどうするんだろう?!実はもう、やめようと決めていたらどうしよう?!とずっとドキドキしつつ切り出せなかったのですが、さすがにもうこの話を避けて通るわけにはいかないと思い、怖々「あのね、来月から高校生だよね。自転車通学とはいえ、結構大変だよね。ピアノどうしよっか。これから・・・」などと切り出しました。
 言い方が異様にたどとどしくなってしまい、挙動不審そのものです!こういうシチュエーション、どこかで見たことあるなあと考えて、はたと気がつきました。そうそう、恋人に別れを切り出される予感を胸に、ドキドキしている失恋直前の人みたい(笑)なんだか目が泳いでるし・・・どうしちゃったの?!わたし(笑)
 わたしのその挙動不審っぷりにただならぬ空気を感じたのか、彼女もまた同じように視線を泳がせながら、首をぶんぶんと横に振り、「やめませんから、わたし!!」と不自然に大きな声で言いました。ここにも挙動不審の人が一人(笑)まるで浮気疑惑を晴らそうとする人みたい?!いえいえ、わたしってば、妄想しすぎ(笑)こういう話ってホントに苦手です。汗が出ます。
 そこからは普通に戻って、何事もなかったようにレッスンを続けたのですが、なんだか愛を確かめ合った不器用な恋人同士みたいで笑ってしまいました。
 今年は卒業生が6人もいるので、今後あと5回もこういうやりとりをするんだと思うと、ぐったりです。だから3月って嫌いです(笑)
 今のところ、実質半年ほど来ていなくてすでに月謝ももらっていないので、多分やめるなという中学3年生がひとり。もうひとりの中3生は、通って来る気は満々なのですが、高校が遠いので通い始めてみなければちゃんと通いきれるかどうか不確かです。先生になるまで絶対に続けると本人も宣言している子がひとり。遠くの中学に通うことになって、実際問題として通えるのかどうか不確かな子がふたりです。
 それに対して新しい生徒はふたりは多分確定で、今のところあとひとり、もしかしたら増えるかもしれません。他の生徒たちも、時間割の変更とともに曜日や時間を大変更せねばならず、3月から5月くらいまでは大騒動です。
 Rちゃんのように高校へ行く子、中学へ行く子。クラス替えがある子、なにもなくても友達関係や新学年につまづく子。様々な嵐が吹き荒れる春。みんながうまく切り抜けてくれるといいなあと思います。
 ちなみにRちゃんは、小学校3年生の春、彼女曰く、別の音楽教室を首になって逃げるようにうちの教室に来た生徒です。「アンタみたいな子は、ピアノに向いてない!」といつも面と向かって言われていたそうですが、その時の先生に彼女の成長ぶりを見せてあげたい気持ちです。進度は決して速いとは言えないし、小学校の頃は時々レッスンをすっぽかしてはわたしに追いかけられたりしていましたが、今の彼女はなかなかです。部活ではお琴とピアノで「みずうみ」という曲を合奏したし、アイネクライネナハトムジークをアレンジして弾いてきたりもします。この間弾いていたブルグミュラーの「天使の声」のなめらかだったこと。あの時心ない言葉にめげずに、やめないでがんばって乗り切った彼女は本当にえらいです。
 レッスンが終わってから次の子が来るまで、10分くらい世間話をしました。口を開けば「ちゃんと来て!」「とりあえず、おいで!」「まず来る!話はそれからだよ!」なんて文句ばかり言っていた小さい頃がなつかしいなぁ。一人っ子の彼女は、フルタイムで働いていて忙しいお母さまを支えつつ、学校から帰ると隣に住んでいる認知症のおばあちゃんのところに通って、同居のおじさんが帰って来るまで話し相手になったり、お手伝いをしたりしているそうです。ホントに人として信頼のおけるいい子に育ったなあと思います。がんばれ、Rちゃん!!